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農業・飲食関係者が「食育」に協力するメリット・デメリットと、その対応

リッカ・コンサルティングのフクダです。
私は「さいたまヨーロッパ野菜研究会」(ヨロ研)の事務局や、農業・飲食関連のサポートの仕事をしている関係で、教育機関から「(地元農家やシェフに)食育に協力して欲しい」というご相談をよく受けます。
私自身も、保育園から大学、さらにはシニアまで、さまざまな年代の方々に、食育や農業についてお話してきました。
今回は小規模農業者・中小飲食関係者が食育・教育に関わることのメリット・デメリット、さらには対応策についてお話します。


食育にかかわるメリット

以前、こちらの記事でも触れましたが、メリットについて改めてまとめてみましょう。

メリット1:地域内での知名度が上がる

自分のブランドで農産物を生産・販売している農家、自分のお店を持っている飲食店にかたには、食育で学校などに訪れることがそのまま、知名度と売上の増加につながります。
子どもは学校で学んだことを夕食の場などで家族に話しますし、それじゃ次のお休みに、直売所で◯◯さんの野菜を買ってみよう、家族でお店に食事に行ってみよう、となりやすいからです。

メリット2:将来のお客さんにつながる

「10歳の子どもは、10年後にはお客さんになる」
これは、ヨロ研の会長でありレストランオーナーでもある北さんが、よく口にされている言葉です。
実際、北さんのレストランで「子ども料理教室」に参加した子どもたちが、10年以上経って、お客さんとしてレストランを訪れてくれるようになったそうです。
また先日、とある地域講演会でヨロ研の話をしたところ、今年、大学を卒業して学校栄養士になったという女性が、こんな話をしてくれました。
「小学生のころ、食育で地元シェフが給食を作ってくれた。その給食の美味しさに感激して、学校給食に関わる仕事を選んだ。学校給食でぜひヨーロッパ野菜を使いたい」
食育に10年以上関わっていると、こういう「後から効果が出てくる話」もたくさんあるのです。

メリット3:業界の理解度が上がる

農業や飲食業って、就職先の中でも避けられがちな業種です。
常に人材不足ですし、肉体的にキツいイメージも持たれています。しかし、学校給食の場などにシェフや農家さんが行くと、もう「スター扱い」なんですよ。
ヨロ研のメンバーの1人は、中学校の自主研究授業で「日本の食料自給率が低い」ことを知り、農家になることを決めたそうです。
いま、日本の農業人口は116万人、だいたい100人に1人ですから、特に都市部では農業について具体的なイメージを全く持っていない子どもがほとんどです。職業を知ることは、業界の将来の人材を育てることに繋がります。(といっても、直接のメリットは少ないですけどね)

食育にかかわるデメリットと対策

時間と手間を取られる→パッケージ化

食育への関わりって基本、学校ごと、先生ごとの「オーダーメイド」なので、事前の調整にとても手間が取られます。
日程調整に始まり、テーマ、時間配分、場合によっては複数回の参加を求められます。
そこで私たち(ヨロ研)では、教育委員会と連携協定と結び、窓口を1本化しました。また、食育協力について年間スケジュールを決めて「◯月は学校農園で野菜の栽培指導、◯月~◯月は学校での講話」といった形でパッケージ化しました。

一部の人に依頼が集中する→受け入れ枠を作り、資料を共有

都市農業にありがちな話ですが、農家の数って限られていて、その中でも「比較的若くて、話がうまくて、子どもたちが興味を持ちそうな作物を作っている農家」
って、学校からの依頼が集中しちゃうんです。
そこで、年度初めに教育委員会へ「今年の食育受け入れ枠は◯校まで」とお伝えして、申し込み校を調整してもらいました。
さらに、学校講話では事前の資料作りが大変なので、事務局の私が発表用のスライド資料を作り、メンバー内で共有しました。
これで「何を話したら良いかわからない」「話が苦手」というメンバーも食育講話の分担ができるようになりました。

「無償」で頼まれることが多い→できることの「線引き」

特に公立小中学校の場合、食育への協力は無償です。また、熱心な先生ほど、「プロジェクトに関わって欲しい!あれもこれもやりたい!」と仰ることが多いです。たとえば

「規格外野菜を使って、生徒が新メニューを開発したいと言っている。そこで、農家とシェフにぜひ関わってほしいんです。畑見学に行くので、規格外の野菜を提供して欲しい。それから、お店でも実際にこのメニューを出してもらえませんか?全体を通してアドバイスや講評も欲しいです」

事務局の私からすると「マジか…」というお申し出ですが、毎年数件は、こういったご依頼があります。

農家もシェフも暇じゃありません。学校に行っている間は、自分の仕事を誰かに代わって貰う必要がありますし、そのぶんの人件費も発生します。なにより人材不足で、代わりに仕事を頼める人がいないんです。

まずは「どんな人に、いつ、何回協力してほしいのか」「それは無償か、有償であれば一回いくらか」を確認します。そのうえで、無償ならここまで、有償ならここまでご協力できます、ということをお伝えしています。




私の開業の経緯はこちら
https://note.com/witty_peony490/n/n61a37da0a3e1

マイナビ農業で、私の開業についてご紹介いただきました!


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