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バットは長くて/重いもの。


■生まれてこのかた、そんな”棒”は振ったことがありません

私自身の指導方法言語化シリーズ(久しぶり第5弾!)です。
少年野球における週末指導者(特に自身が野球経験あり)の方と接していると、野球初心者の小学生へのバッティング指導の時に初めから「金属バット」と「軟式ボール」を使って、”慣れ”や”本番同様”というキーワードをもって指導されている方を目にします。
是非忘れて欲しくないのですが、バットって「長く」「重い」んですよね。本日のポイントは以下です。

  1. 長くて重い【バット】を取り扱うことは非日常的な行為である。

  2. そんなギアを振るだけで大変なのに、飛んでくる”軟式”ボールを打つなんて至難の業。

  3. 身体的に負荷のかかることをすると、その負荷を分散しようとしてバッティングに不要な身体の部位が働く。

  4. 結果的に上記の”カバーする身体動作”が【癖】となることがある。

上記で伝えたいことは箇条書きしましたので、以下からは駄文にて。
ウホッと行きましょう。

■楽器の練習は”ゆっくり”から始めるもの

いきなり主題を変えますが、楽器をしたことがない方は、
 「あんなにピアノが速く弾けてすげ~」
 「あんなにたくさんのドラムを連打してすげ~」
 「あんな大音量のサックスが吹けてすげ~」
と思って演者を観られたことはございますでしょうか?

私自身ドラムの経験者ではありますが、楽器を始めるにあたって誰もが通る練習方法に「ゆっくりなテンポから丁寧に演奏を行う」という練習があります。これは、
 ・譜面のリズム(音符)をきちんと理解する
 ・手順や運指を頭と体で覚える
 ・フレーズなどを耳で覚える...…etc
といった意味があります。

すなわち、難しい曲を演奏するときに原曲と同じテンポで何度も何度も繰り返して”慣れ”させるというような練習はあまりしないです。
楽器学習において、何かしらの”段階”を経て学習していくというのは王道です。

そしてこれは【ドラムに限った】ことかもしれませんが、上記で書きました通り耳ができてから(フレーズをきちんと聞き取れるようになってから)演奏できるようになったりします。

”何か今までできなかったことを学ぶ”という点においては、楽器もスポーツも変わらないと思うのですが、どうして”できるサイズ”に落として段階的に練習するのではなく、「慣れる」だろうという期待でスポーツは反復練習を繰り返すのか、いまいち分からなかったのです。

■せめて神経系(技術)/筋肉系(出力)には分けるべきでは?

バッティング一つとっても、
 ・動体視力でボールを捉える
 ・重たいバットを振る
 ・タイミングを合わせる
 ・バットコントロールをする……etc
といったように、非常に複合的な要素が含まれている身体運動だと思います。
これをそのうち「慣れる」から、という名目で指導することにずっと違和感を覚えておりました。できない子にとってはとても難しいだろうと。

そのため私が指導するときは、初心者の子には「プラスチックバット」を持たせてスイングする練習を取り入れておりました。

まずは長くて/軽いバットを全力で振ることを身体(運動神経)で覚えさせることを優先しておりました。(※軽いが故にバットコントロールも容易になり、ボールを打つ行為も楽になります)

こういう練習をしていると野球経験者の週末指導者の方に、
「そんな練習では試合では打てないですよ。(そもそも試合でプラスチックバットは使えない)」
というような揶揄をいただくことがありました。

確かに、この練習では直ぐに試合で軟式ボールは打てないと思いますが、難しいバッティングを無理に行うことによって変な”癖”が付く方が、中長期的には子供にとっては不利益だと思うんですよね。

当時監督との指導方針の違いによりすべての子を上記のような考えで指導しきれなかったのですが、我が子には軽いバットで「全力で振る感覚」「綺麗な軌道」を意識するように話していたので、結果的に彼は今でもスイングが綺麗と周囲から言われております。

現在はおうちユル練習でスポンジボールをおもちゃバットで打つ、という練習も取り入れており、ミート力もメキメキ付いてきており、先日は試合でライナーのヒットを打っておりました。

我が子の例はたまたま上手くいったパターンかもしれませんが、
個人的には”練習目的”を明確にすることができれば、本番さながらの金属バットと軟式ボールを使わなくても効果的な練習はできると考えております。

〇〇じゃなきゃダメ、という風に考える指導の方が、長期的に見ると遠回りになることがあるのではないか?と思う今日この頃です。

以上、本日はここまでとします。

長文にお付き合いいただきありがとうございました。
少しずつ発信してまいりますので、どうぞ気楽にお付き合いください。ノシ

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