歯を食いしばって文に綴る


彼は今、頑丈で安全な殻で避難している。

少し刺激の強い世界からの、避難。

エネルギーを蓄えているんだって。

私はそれをじっと、そっと待つんだって。

彼の冬が終わるのを。気長に。

調べたらそう書いてあった。

彼に春が訪れたら、桜を見に誘ってみる。

その時にはもう桜が散ってしまっていたら

君が私にとっての桜だよ

なんて恥ずかしい事を平気で言ってみる。

いや、平気では言えない。

恥ずかしくてカタコトになるだろう。

思ってたよりも大きい声が出てしまうだろう。

そして彼の顔はどんどんピンク色に染まって

春になる。




歯を食いしばったら顎が痛い。
視界がぼやけてめんどうくさい。
ここまでにしておく。
おしまい

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?