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能はこんな易面白い

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能の初心者が能を妄想する。
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能はこんなに面白い・その四 「船弁慶」後場

能はこんなに面白い・その四 「船弁慶」後場

静御前への思慕を振り払い、義経主従は船出していく。

 舞台では“イヤ― ヨ―イ”と掛け声とともに、太鼓や大鼓・小鼓をお囃子方が激しく打ち鳴らす。 
 それを合図に海は荒れ、義経主従の前に怨霊と化した知盛が現れ、主従に襲い掛かる。 知盛は、なんとも無念な形相で瞋恚の焔をたぎらせ、義経を海に引き込もと立ち回る。
 
その時 ”あわわ  ”
 船をこいでいたヨシコは目覚めた。
 
“なんだよ 寝てたの

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能はこんなに面白い・その三 「船弁慶」前場

さあ! 古典を片手に、身体的共感を求めて、能を感じよう。

源義経(九郎判官)は今日でも人気のあるヒーローの一人だろう。
能で登場する義経は、どうした訳かほとんど(知っている限り)子方(*1)として登場する。
過日、MOA能楽堂で鑑賞した「船弁慶」の義経も子方だ。 

MOA能楽堂のホワイエは、船弁慶(宝生流)を楽しもうと集まった観客でムンムンしている、ヨシコもクニオもその渦中の人、少々上気した気

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能はこんなに面白い その二

能はこんなに面白い その二

能「石橋」(宝生流) 後場
 
突如として赤と黒の獅子が出現し、紅白の牡丹に戯れ激しく乱舞する連獅子の振る舞いが後場の見どころだ。
 
ヨシコ
“連獅子の乱舞に もうー 釘付け!”
クニオ
“舞台を圧倒してたね”
連獅子の威風堂々とした舞に心をわしづかみにされた二人。
 
ヨシコ
“獅子って霊獣(*1)でしょ”
クニオ
“文殊菩薩の乗り物だよね”
日本の釈迦三尊では、左脇侍に獅子に乗った文殊菩薩、

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「能はこんなに面白い」 その一

「能はこんなに面白い」 その一

「石橋(シャッキョウ)」はドラマチックな能と言われている、古代中国は唐土清涼山の石橋を舞台に、前場と後場が劇的に変わる演出は見ものだ。
グランシップ静岡能(*1)で披露された「石橋」は小書(*2)により新たな演出を取り入れた意欲作だ。
 

能「石橋」(宝生流) 前場
「出家して寂昭法師と名乗る大江定基は、清涼山(唐)の文殊浄土に係る石橋の麓に着く、そこに現れた樵童(しょうどう)は、石橋を渡ろうと

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