新芽 取亜 ―symmetria―

アメブロにて主にクラシック音楽CDなどのレビューを綴っています。このnoteにも (コ…

新芽 取亜 ―symmetria―

アメブロにて主にクラシック音楽CDなどのレビューを綴っています。このnoteにも (コピペですが) エッセイを中心に少しずつ投稿できたら、と画策中…。 「唯我独尊的クラシックCD聴聞記(仮)」➡️https://ameblo.jp/symmetria59-95

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  • note クラシック音楽の普遍化を達成する

    • 1,869本

    クラシック音楽の歴史や作曲家、作品について、哲学的な視点から分析し、その普遍性や深さを探求する和田大貴のnoteです。クラシック音楽について語り合えることを楽しみにしています。参加希望の方はマガジンの固定記事でコメントしてください。

最近の記事

ブーレーズによるC.P.E.バッハ/フルート協奏曲&チェロ協奏曲

思わず目を疑うようなアルバム。あの現代作曲家ピエール・ブーレーズが指揮した、おそらくは唯一のC.P.E.バッハ/協奏曲録音。ジャン=ピエール・ランパルとロベール・ベックスをソリストにフルート協奏曲&チェロ協奏曲を演奏している。オーケストラは明記されていないが、パリ国立歌劇場管弦楽団(現在のパリ・バスティーユ管弦楽団)のメンバーによるものと思われる。通奏低音パートとしてユゲット・ドレフィスがクラヴサンを担当している。 ブーレーズが演奏したバロック音楽で思いつくのはラモーのオペ

    • 「Morimur」(バッハ/シャコンヌ異説に基づく)

      モノトーンのフォトグラフが印象的な、ECMレーベルらしいスピリチュアルな雰囲気のアルバム。バロック・ヴァイオリン奏者クリストフ・ポッペン&ヒリヤード・アンサンブルとのコラボレーションで「バッハ/無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番」を中心に、コラールを配置した独特なプログラムになっている。輸入盤(当盤)には80ページにわたるリブレットが付属しており、美しい写真とともに解説がスコア付きで詳細に記されている。2000年録音。 いにしえの聖母マリアにも見えるジャケット写真は、ジ

      • 佐渡裕によるブルックナー/交響曲第9番&武満徹/セレモニアル

        ✳️当記事は2021年10月に投稿された記事の再編集版となります―。 何よりもカップリングに興味をそそられたアルバム。佐渡裕/トーンキュンストラー管弦楽団によるブルックナー/交響曲第9番ニ短調(全3楽章版/1894)と、宮田まゆみをソリストに迎えての武満徹/笙とオーケストラのための「セレモニアル-An Autumn Ode-」(1992) という、独創的なコンビネーションを楽しめる演奏である。2017年、ウィーン・ムジークフェラインザールでのライヴ・レコーディング。SACD

        • ヴィルヘルム・ケンプによるバッハ/ゴルトベルク変奏曲

          先日のコンサートの道中、ブックオフに寄って購入したアルバム。もし見つけたら購入しようと密かに思っていたケンプ盤のゴルトベルクに、まさかこうして出会えるとは夢にも思わず、コンサート開演前にも関わらず満足感を味わったのだった―。 グールド盤を筆頭に、数多くの名盤に恵まれているバッハ/ゴルトベルク変奏曲。ピアノ以外でもオリジナルのチェンバロによる演奏や、弦楽への編曲、室内アンサンブル版まで現れ、多種多様な「変奏」を楽しめる。かくいう僕も世に出回っている数種類のグールド盤を可能なか

        ブーレーズによるC.P.E.バッハ/フルート協奏曲&チェロ協奏曲

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          詩人の恋/深水黎一郎

          ✳️本記事は2023年3月に投稿したアメブロ記事に基づいています 深水黎一郎氏の作品を読むのは今回が初めてで、事前情報が殆どない状態でタイトルに惹かれて読み、読了してからネットで調べて色々知ることができた。どうやらクラシック音楽にまつわる作品が幾つかあるようだ―「トスカの接吻 オペラ・ミステリオーザ」(2008)、「五声のリチェルカーレ」(2010)、「ジークフリートの剣」(2010) など―。趣味がピアノとドイツ・リートの弾き語りというだけあって、作品の節々から音楽への造

          詩人の恋/深水黎一郎

          「青い海と森の音楽祭」プレイベント室内楽コンサート(2024/06/08)

          来年2025年夏から青森で開かれる「青い海と森の音楽祭」のプレイベントとして行われたコンサート。「名曲の花束」に相応しい音楽が用意されたが、特にシューマンの歌曲と室内楽を中心としたプログラムに魅せられた。しかもシューマンの誕生日の6月8日に行われるとは「天啓」というほかなく、錚々たるメンバーによる名演奏を楽しむことができた。 青森県五所川原市出身のソプラノ歌手、隠岐彩夏が音頭をとった形で実現した当コンサート。ピアノに横山幸雄、ヴァイオリンに矢部達哉 (2人は音楽祭の特別顧問

          「青い海と森の音楽祭」プレイベント室内楽コンサート(2024/06/08)

          特別対談「シューマンについて僕が語ること」

          今日6月8日はロベルト・アレクサンダー・シューマン(1810年06月08日/ツヴィッカウ-1856年07月29日/エンデニヒ)の誕生日です。僕がコレクションしている数少ないCDの中でも3分の1を占める推しの作曲家シューマン―今回特別企画ということで、自称「シューマニアーナ」であるわたくし新芽取亜が、シューマンについてインタビュー形式で語ってみたいと思います。この度、フロレスタンとオイゼビウスの調停役として知られる「マイスター・ラロ」こと、ラロ楽長にわざわざお越しいただきました

          特別対談「シューマンについて僕が語ること」

          シューマンの指/奥泉光

          ✳️本記事は2021年5月にアメブロで投稿した内容に基づいています 作家・奥泉光 (1956-) がシューマン生誕200年の2010年に執筆したミステリー作品。テーマが「シューマンのピアノ曲」であり、特に「幻想曲 ハ長調 Op.17」から物語が展開してゆく内容に魅せられたのだった。 実際、「幻想曲」についての描写は全ページの中心に位置し、物語のキーパーソンであり根っからのシューマニアーナである「永嶺修人」が夜の音楽室で弾いていたのがこの作品で、それぞれの楽章の分析と周囲の

          シューマンの指/奥泉光

          マイルス・デイヴィス/カインド・オブ・ブルー

          ✳️本記事は2023年4月に投稿したアメブロを下敷きにしています。5月26日はマイルスの誕生日でした。 言わずと知れたジャズの超名盤。あまりにも名盤過ぎて、ジャズ評論家たちも(語り尽くされたと感じ)あえて語ることがないように思えるほどだ。マイルス・デイヴィス・セクステットによる1959年セッション録音。脇を固める(というには豪華すぎる)「キャノンボール」アダレイ&コルトレーンたちも素晴らしいが、このアルバムの真の立役者は何といってもビル・エヴァンスのセンシティヴなピアノであ

          マイルス・デイヴィス/カインド・オブ・ブルー

          今日5月20日はクララ・シューマンの命日

          クララ・ヨゼフィーネ・シューマン(Clara Josephine Wieck-Schumann, 1819/09/13 - 1896/05/20) ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番~第3楽章カデンツァ。 モーツァルト/ピアノ協奏曲第20番~第3楽章カデンツァ。いずれもクララ作で彼女がコンサートで演奏。 71歳のクララは1891年3月12日にフランクフルトで最後の公のコンサートを行った。彼女が演奏した最後の作品は、2台ピアノ版のブラームス/ハイドン・ヴァリエーションであ

          今日5月20日はクララ・シューマンの命日

          映画「クララ・シューマン 愛の協奏曲」(2008)

          原題「Geliebte Clara」。ブラームス家の末裔であるヘルマ・サンダース=ブラームスが監督・脚本を手がけ、ロベルト&クララ・シューマンとヨハネス・ブラームスとの関係に迫る (伝記) 映画。2008年ドイツ上映。カンヌ映画祭や日本では翌年上映された。以前にDVDをレンタルして視聴したことがあったが、この度はYouTubeで全編観ることができた―。 邦画タイトルからすればクララが主人公のように感じるが、ドイツ語の原題からすると「最愛のクララ」となるので、クララを巡るロベ

          映画「クララ・シューマン 愛の協奏曲」(2008)

          街とその不確かな壁/村上春樹

          ✳️本記事は2023年10月に投稿したアメブロに基づいています 2023年の春に発表された村上春樹の新作。珍しくあとがきが付されているが、それによるとオリジナルは1980年にまで遡り、作者にとっては「喉に刺さった魚の小骨」のような存在だったそうだが、ここに来てようやく明確な形を得て僕たちの前に現れてくれた―まさにWork in progress。図書館での貸出も既に20人以上の予約が入っており、今年中に読むことが叶うかと思われたが、意外に早く貸出が実現し、読了を果たしたのだ

          街とその不確かな壁/村上春樹

          ラドゥ・ルプーは語らない。―沈黙のピアニストをたどる20の素描/板垣千佳子(編)

          ✳️本記事は2022年3月に投稿したアメブロに基づいています 2019年6月に惜しまれて引退し、2022年4月に天に召されたピアニスト、ラドゥ・ルプー。インタビューを一切受けない彼が心許した日本人マネージャー、板垣千佳子氏の一声で出版できた1冊。「何か語れるとしたら、音楽を通してだけだ」という帯封の言葉通り(タイトル通り)、ルプーは一切語らず、彼と親しかった音楽家や周辺の人々、そして(最初の)ルプー夫人のコメントで構成された20の寄稿に基づいている。 去年 (2021年)

          ラドゥ・ルプーは語らない。―沈黙のピアニストをたどる20の素描/板垣千佳子(編)

          不機嫌な姫とブルックナー団/高原英理

          「ブルックナー生誕200年」を意識して読んだ1冊。 以前から綺麗な表紙と面白いタイトルが気にはなっていた。ページ最後に載せられているブルックナーに関する大量の資料が劇中劇のような小説パートで存分に生かされていて、中には初めて知るエピソードもあり(フィクションの可能性ありだが)とても興味深く読み終えることができた―。 著者の高原英理氏は初めて知った作家で、作品を読むのも初めてである。主に評論を中心に執筆活動を開始、作家デビューを果たしたのは2001年だそうだ。 本書は2016

          不機嫌な姫とブルックナー団/高原英理

          評論について僕が語ること

          ✳️本記事は2021年11月に投稿したアメブロを大幅に改訂したものとなります 僕自身は評論家でないばかりではなく、目指してさえいないのだが、執筆中に頭の片隅で常に思考し続けているのは「評論」そのものの必要性である。 ブログでもツイッターでも「評論」までいかないが、感想や意見が(時に忌憚なく)語られることがある。人は表現する生き物だから、音楽を聞いて湧き上がってきた感情や感想を自分の中にそのまま落とし込んでおくことは基本的にできないであろうと思う。これだけ簡単に個人が発信で

          評論について僕が語ること

          「音楽と構造」

          ✳️本記事は2021年9月のアメブロ記事の再投稿版です 音楽を初めて聞いた時のことを思い出していただきたい―。どんな反応をしただろうか。どんな感情や思いに捕らわれただろうか。おそらく、美しいメロディに、演奏する様子にうっとりしたり、テクニックに驚愕したりしたのではないだろうか。最初から音楽の「構造」に注目した聞き方をした方は、多分ほとんどいらっしゃらないと思う(皆無だとは思わないが) こう考えると、「構造」を聞き取るということが普通は自然にできることではないことがわかる。