シューマン 黄昏のアリア/ミシェル・シュネデール
精神分析医でもあるフランスの作家ミシェル・シュネデール (1944-2022) が1989年に執筆したシューマン論。日本では1993年に初版が筑摩書房から出版された。フリードリヒの絵画の表紙が美しく、黄昏時の輝きと後に控える暗闇を予感させる。帯に記されている「音楽に秘められた悲劇」という言葉は、誇張ではない。それは読み進めていくうちにじわじわと感じられてくるものでもなく、突如現実として有無を言わせず立ちはだかる。シューマンの音楽に通じれば通じるほど、彼の音楽は痛みのように無視