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マイノリティ問題解決に必要なこと|第6回宗教マイノリティ理解増進勉強会【上】

「第6回宗教マイノリティ理解増進勉強会」を3月16日に東京都内で行いました。

今回は新宗教の元役員の方が初参加、「信者の人権を守る二世の会」のメンバーも初参入、主の羊クリスチャン教会の中川晴久牧師の参加も頂き、三つの宗教から、合計20名が参加しました。

はじめに私が「宗教マイノリティ」についてまとめた内容を発表、その後、参加者全員で意見交換をしました。

以下は発表内容の要旨です。

マイノリティ問題について

一般的な「マイノリティ問題」について、以下のサイトを参考にまとめてみました。

マイノリティとは?

「マイノリティ」とは「あるグループにおいての少数派のこと」を言います。

社会的マイノリティ

社会問題としてのマイノリティを「社会的マイノリティ」と言い、それには、よく聞く「性的マイノリティ」以外にも、障害者、外国人、宗教等、様々なものがあります。

この会で扱うのは、「宗教的マイノリティ」ですが、資料にもあるように、「日本では『特定の宗教を信奉する』という概念自体が希薄なため、宗教的マイノリティな人々への配慮が進んでいない状態」です。

前回の勉強会で、「月に1回以上、特定の宗教施設に訪れる」人は、日本では約7パーセントという統計を紹介しました。この7%の人たちが「自覚的に特定の宗教を信仰している」「宗教的マイノリティ」にあたると思います。

日本の宗教的マイノリティの中には、世界的にはマジョリティ宗教であるクリスチャンやイスラムも入りますし、新宗教も入ると思います。

マイノリティの人々が抱えてる問題としては、少数派であるがゆえ差別や偏見を受けやすいというのがあります。

家庭連合の信徒の場合だと、宗教的な理由で、「お酒を飲まない」とか、一般的に言う「恋愛」をしないことで、偏見を受けることがあるようです。

マイノリティ問題解決に必要なこと

マイノリティ問題解決のためには、

第一にマイノリティとマジョリティの間に認識の差があることに気づくことが必要になります。マジョリティ側がマイノリティとの差に気づくことも必要ですが、私たち宗教マイノリティ側からも、違いを知ってもらう取り組みが必要になると思います。

第二に、マイノリティに対する正しい知識を知ることが大切ですし、マイノリティとしては正しい知識を普及することも必要だと思います。

三番目として、「お互いが理解し合い得るまで話し合う」こと。私は、これは非常に重要なことだと思っています。

この会は特に、この三番目を目指しています。まず様々な宗教の方が共に話し合い、宗教者間で理解を深めていきながら、宗教者以外の方も交えながら理解し合う場を広げていくことを考えています。

大学における宗教的マイノリティの環境

次に名古屋大学で宗教的マイノリティの留学生についての取り組みをまとめた論文「宗教的マイノリティーとしての留学生と大学の環境 名古屋大学 国際教育交流センター 田中京子」から抜粋してみました。

それによると、留学生にはイスラムやクリスチャンなど宗教を持ってる人が多いので、留学生が持つ宗教は以前から意識されていたが、実は「日本人学生にも宗教的マイノリティがいるけれども顕在化し難い」という指摘がありました。

そこで「留学生の宗教的マイノリティが中心となり、隠れていた一般学生のマイノリティたちも対話や活動に参加することになった」そうです。

そうして分かってきたのは、イスラムの学生は「ハラール食がないと信仰が守れない」という思いよりも「ハラール食を尋ねることで、待っている他の学生たちの列を止めてしまうことが申し訳ない」という思いがあるということ。

礼拝場所も「他の人たちがいると落ち着いて礼拝できない」というのより「非イスラムの人たちに対する不快感を与えたくない」という気持ちがあるということです。

従って取り組みとしては、日本社会では「他の人に迷惑をかけない」という文化が社会通念として広く共有されているので、そういう社会通念を通して歩み寄って理解を深めることが大切だと分かってきたというのです。

恐れや無関心から来る忌避感の解決を

人はよく知らない異文化対しては、恐れや忌避感を持つやすいものです。

宗教が嫌がられる一つには、宗教は何か異質で分からないというのがあると思います。例えば、「あの宗教施設の中では何をしてるんだろうと」いう知らないことに対する恐れみたいなのがあると思います。

他の新宗教の方から聞いたんですけど、新しい宗教施設ができた時、地域住民を招いて「住民説明会」をしたところ、住民から出てきた言葉に、「サリンは作ってないのか」というのがあったそうです。

良く知る人からしたら、笑い話みたいな質問だけど、住民はそういうイメージなんです。ちょっと知っていれば、「そんなの作っているはずない」と分かるんですけどね。

それでも、ちゃんと住民に挨拶に行って、施設内に呼んで「説明会」をするのはいいことだなと思いました。住民との相互理解を深めるのは重要なことだな、と思いました。

宗教マイノリティと職場

次は、「雇用者と被雇用者のためのガイドブック 宗教・信仰と職場」というガイドブックがあったので、ここから抜粋をしてみました。

「2003年12月2日の雇用平等(宗教・信仰)規定の施行以来、労働者を宗教もしくは宗教的信仰によって差別することは違法となった」ということです。

ただし、「宗教とは何か」「信仰とは何か」については規定されてないので、差別を受け裁判になった場合は、宗教や信仰が何かについては裁判所が判断するということです。

職場における差別には、直接的差別、間接的差別、ハラスメントという大きく分けると三つがあると言われます。

直接的差別

直接的差別としては、特定の宗教や信仰を信じていることで採用しないとか、信じている宗教が理由で、職場で不利な扱いをされるというのが該当します。

ある会社が、家庭連合の信徒ということで採用しなかったという話もあるんですが、それが事実なら違法になると思います。

間接的差別

間接的差別としては、職員全員がすべき規定があったとしても、宗教的理由でできない場合もあるので、それについては実施してはいけないというのがあります。

例えば、社長が全社員に対して(帽子等)被り物禁止と言い渡しをしたとしたとしても、シーク教徒がターバンを宗教的理由から外すことはできないのを無理にシーク教徒に対しても被り物禁止とした場合は、間接的差別に当たるそうです。

ハラスメント

ハラスメントは攻撃的で恐怖心や精神的圧迫を与えるような行為が該当します。

例として、これは宗教者側が気をつけないといけないことですが、スタッフの一人が敬虔な信仰を持っていて、同僚を「邪教徒」と呼んだり「報いを受ける」などと、職場で言ったりしたら、ハラスメントになるということです。

宗教者側が受けるハラスメントには、自分の奥さんの宗教について、からかわれ侮辱的で精神的苦痛を与えられる場合があります。

また、特定の宗教がメディアで大きく取り上げられ、その宗教の信者全てについて型にはまった差別的侮辱的なコメントが職場で行われたりしたら、ハラスメントになります。家庭連合は今、こんな状況にあるかもしれないですね。

※次回はこの発表の続き「宗教とカルト」についてです。

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