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男の嫉妬を気付いてあげられなかった話

女の嫉妬は怖いというけれど、男の嫉妬だって怖い。それに、女の嫉妬はすぐ表面化するけれど男の嫉妬は表面化しなかったりする。

気付いた時にはもう取り返しがつかないのだ。




19歳夏。私は大学の先輩と付き合っていた。どうしようもなく芋だった当時の私を好きになってくれて告白された(ような気がする。覚えてない。)

女子高から急に男性社会みたいなところに出たせいで、当時の私は世間をよく知らなかった。片思いかお遊びのお付き合いしかしてこなかったからちゃんと付き合うのがどういうことかもわからなかったし、箱入り娘が箱から出てきたばっかりで何でもかんでも新鮮だった。

お付き合いした彼は年上だったこともあって何もかも引っ張ってくれた。世間を何も知らない私に対していろんなことを教えてくれた。

でも、きっと一人で悩んでいた。弱みをさらけ出せるほどの強さは彼にはなかったし、それを受け止めるだけの強さも私にはなかった。信頼関係も作れていなかった。

そんなことに気づかずに私はいつも違う男の先輩と一緒にいた。家にも何度も遊びに行ったしいっつもくっついて回っていた。その人はちょっと変わり者でとっても厳しくてちょっと優しかった。

それが恋愛としての好きだったかは、結局今でもわからない。



年上の彼に振られたのは、付き合って3ヶ月ほど経ったデートの日だった。花火大会に初めて行って、その帰り道にメールで告げられた。

納得がいかなくて、イライラしたまま彼の家まで行って怒って泣いて。浴衣を着ていたのにもう着付けはボロボロになっていた。

その時に嫉妬していたことをやんわり伝えられた。理解ができなかった。理解できないことをまた思ったままに突きつけた。

どれくらいの時間話していたのだろう。初めて意見を交換したものだからお互いに加減も分からずぶつけ合った。


あれから10年以上経つ今でも、私は恋愛、いや人間関係が全般下手くそだ。

友達には距離がある、と言われ、会社では怖い、と言われ。だったら距離をできる限り縮めて仲良くしようとすれば近すぎる、チャラチャラ遊んでいる、軽い、と言われる。もうどんな距離でいったらいいの!と毎日思っている。

でも、少しだけ変わったのは、自分の人間関係を全て曝け出したりしなくなった。後ろめたいことは何一つなくても、余計な不安を産んでしまうし、自分の彼女が外で遊んでいることに疑念をもつ人だっている。


隠すのは良くないのかもしれない。我慢して続ける恋愛なんて不健全なのかもしれない。でも、これも私なりの愛だ。大切な人を傷つけないためのかくしごとだ。


そうやって、うまく自分を納得させた。

今日も家を出て、夜の街へ。

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