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白昼夢(ショートショート)

 今日は朝から雨がしとしと降っていた。
 子供の頃からこんな日は決まって誰かお客さんがやってくる。
「ピンポーン。」
 本当に来た。
 私は玄関へ向かう。
「はーい。」
 ガチャッ。
 玄関を開けると宅配の人が荷物を持って立っていた。
 私は荷物を受け取りサインをする。
「ご苦労様ー。」
 荷物を持ってリビングへ戻り、荷物をテーブルの上に置いて、まずは一服。
 少し肌寒いので、ティーバッグをカップに入れてお湯を注いでメープルシロップをちょっと入れてみた。
 紅茶の香りと一緒にほのかに甘い匂いがただよう。
 座って小説の続きを読む。
 ただ雨の音だけがしていた。
 静かな静かな午後。

「ピンポーン。ピンポーン。」
 チャイムの音にはっとする。
 えっ?私寝てた?
「はーい。」
 慌てて玄関へ向かいドアを開ける。
 宅配の人が荷物を持って立っていた。
 私は荷物を受け取りサインをする。
「ご苦労様さまー。」
 デジャヴだ。
 荷物を持ってリビングへ戻り、荷物をテーブルの上に置いて…。
 あれっ?
 さっき届いたはずの荷物がない。
 テーブルには読みかけの小説と飲みかけの紅茶だけがあった。
 雨もいつの間にか止んでいる。
 雲の切れ間から陽が差し込んでいた。
 これはきっとあれだ。
 白昼夢。
 さて、荷物を開けてみよう。
 何が出てくるかな。


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