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役割等級制度のデメリット

役割等級制度と採用背景

役割等級制度とは、社員の役割や職務内容に紐づけた給与体系や人事評価制度です。多くの大企業で採用されています。

変遷

年功序列制度→能力評価制度→役割等級制度(高度経済背長→バブル崩壊→リーマンショック)になっています。ひとつずつ解説します。
①年功序列制度
年齢や勤続年数で給与が決定します。背景に高度経済成長があり、企業の安定成長をベースに”将来の高給を保証”して社員のモチベーションアップと”雇用の安定”が両者のメリットとなっていました。
②能力評価制度
社員の能力を評価し、給与ベースや人事評価が決まります。同時に目標管理制度も導入されることが多くありました。時代背景としてバブル崩壊により”企業の安定成長”が見通せなくなり、全員に将来の高給を保証するが難しくなりました。実態としては、給与ベースが”年功給+能力給”など年功序列を半ば残した制度になっていたりします。
③役割等級制度
先述の通り多くの企業で現在採用されている制度で、時代背景としてリーマンショックがあります。能力給と違い"役職がないと高給をもらえない”ので、会社側は人件費削減を柔軟に行うことが可能になりました。一方で役割は能力より透明性があり社員には納得感のある制度になっています。こちらも能力評価制度と同様に”年功給+役割給”など年功序列が残っているケースが多くあります。

役割等級制度のデメリット

①降格が機能していない
降格による入れ替えがないため、いわゆる”順番待ち”などの問題が発生します。

上の記事でも触れていますが、人事制度の運用問題のデメリットです。
色々なしがらみで、降格に値する考課はつけられないケースが多いです。

②無理やり役割を作る
例えば”係長は必ず〇〇をやる”など独自のルールを作りがちです。
必要な仕事であれば問題ないですが、そうでないケースが多いです。忙しい人に仕事が集中する要因になったり、〇〇って役職が一番忙しい・・などの問題が起こる要因になります。またジョブローテーションを阻害します。
勤怠管理は課長がやるなど、明確に誰がやるべきか決まっていることならそうすべきですが、細かい仕事を上位役職がやったり”分業や権限移譲”も阻害します。特にこの風潮が定着すると”なんで係長なのに〇〇を下にやらせるんだ”などの批判が発生し仕事の抱え込みや権限移譲による次期人材育成を阻害します。

③まだまだ残る年功序列と逃げ切り世代
先述の通り変遷が年功序列から始まっているため、入社時から制度が変わる世代が多く完璧な移行は難しいです。そのため新人若手は”能力や役割”を上げないと給与は上りにくく、すでに年功で給与や役職が上がった中堅以上の社員は逃げ切り世代となってしまいます。

次回予告

今回は役割等級制度について考察しました。
人事制度の歴史も少し考察できました。今後ジョブ型に移行するのか要注目ですね。
次回は革新とソフトランディングについて考察したいと思います。

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