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介護の仕事は誰もが出来る?

介護の仕事は「誰でもできる」と勘違いされ、職業として軽くみられることが多いです。
しかし、実際に現場を見てきた私からすると、介護は専門的な技術が求められる仕事であり、誰にでもできるものではありません。
なのに「簡単な仕事」と誤解が生じる背景には、いくつかの要因があると私は考えています。
ここでは、特に「家族介護の経験」と「生活支援の混同」に焦点を当て、その誤解を解くために考察してみたいと思います。

まず「家族介護の経験」が介護の専門職と同じだと考えられてしまうことについて。
40代後半から50代に入ってくると、大なり小なり高齢の家族を自宅で介護する経験を持っている人が増えてきます。この経験から、家族介護ができたのであれば、介護施設での仕事も同様にできるだろうと考える人が少なくありません。
しかし、家族介護とプロの介護職は全く異なるものです。

家族介護は、その対象が一人であることが多いです。
一方で、施設での介護の仕事は、約10〜20名の利用者のニーズに対応し、個々の状態や疾患に応じた専門的なケアを提供することが求められます。
特に、認知症のケアや身体的なケアは、専門知識と技術が不可欠です。ベッドから車椅子への移乗や、褥瘡(じょくそう)の予防ケアは、適切な技術を持たないと利用者の健康を損なう危険性があります。また、薬の管理や緊急時の対応など、専門的な知識が必要な場面も多々あります。

そして、それらは一人に向けて行なっていないこと。
ここが一番、違うところですが家族介護を経験している人が「自分はできたのに、なぜ施設の介護職員は出来ないのか?」「自分も介護職として働ける」と誤解してしまうところでもあります。

次に「生活支援」との混同について。
多くの人が、介護の仕事を単なる「生活支援」と捉えがちです。例えば、食事の準備や掃除、洗濯などの家事を手伝うことが介護の主な仕事だと考える人もいます。
これは、介護施設が「こんな生活をしていますよ」と伝えているからの誤解だと思います。

また、多くの利用者が家族の介護が限界に達してから施設に入所します。
自分たちで難しくなってから、施設に入所しているのですが、そこを忘れてしまいがちです。

介護の仕事は、単なる「お世話」ではなく、プロとしての責任と専門性が求められる職業です。介護職には、利用者一人ひとりの状態を正確に把握し、適切なケアを提供するための専門知識と技術が必要です。
また、利用者の生活環境や心理状態にも配慮し、安心して生活できる環境を提供することが求められます。

したがって「誰でもできる」という考えは、大きな誤解であり、介護職の重要性や専門性を正しく理解することが必要です。

介護の現場で働く人々は、日々利用者の生活を支え、その健康と安全を守るために努力しています。

介護の仕事を軽視するのではなく、その価値を正しく認識し、支援する社会を築くことが今の日本社会には求められているのではないかと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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