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コスメの開封と、女の子を脱がすこと。

新しく発売される涙袋ペンシルが欲しくて、平日仕事終わり、いつもはしない寄り道をする。

色は3色で一本1600円くらい。

売り切れ必至のその商品は、私が頑張った甲斐あってか3種類全部在庫があった。

3種類買うと結構な値段になるから、1本だけにしようかなあ。
そもそも全種類あるかわからないし。

そんなことを昼休みに考えていたけれど、いざ商品を目の前にすると
「必ず売り切れることがわかっている商品なのだから、全部試してみたい」
という衝動にも似た考えが脳を支配して、次の瞬間には思考停止で3色ともレジに持って行っていた。

私の顔なんかたかが知れているというのに。

いくら涙袋メイクの第一人者が手がけた涙袋ペンとはいえ、それをつけても劇的には変わらないわけである。

私はその商品をレジに持って行く時、本当は何が欲しいんだろうか。

家に帰って着替えもせずに、まず買った商品を机に並べる。

パッケージの箱すら破るのが勿体無いような思いが湧いてくるのはなぜだろう。

この新しいアイテムは自分の顔をどんなふうに変えてくれるんだろう。
最高の商品!!と呟くシミュレーションまでバッチリ。

コスメのパッケージを開ける時ほど気分が高揚する瞬間があるだろうかと思う。

そして、その瞬間はなんだか男が服を脱がせている時の雰囲気に似ている気がするのだ。

逃げないのになぜか必至で、恥ずかしいほどに急いた手元の動き。
期待で真顔になっていたりする。

化粧品の話に戻ろう。

不思議なことに、包装を開けて出てくる商品を眺めることもせず。
蓋を開けて自分の肌に試して3秒後。
なぜか私のテンションはピークに達し、ガクッと落ち着く。

怖いほどに、ああなるほど、と
どんどん冷静になる。

そんな経験を私たちは多分全員が腐るほどしているのではないか。

先ほどの服を脱がす例えが、コスメを開けた後のテンションの下がり方のところまで同じだとしたら、女性としては少し悲しいことである。

でも、服を脱がすことが、コスメを開封するわくわくドキドキきらきらと本当に一緒であるというのであれば、
服を脱がすときに期待で真顔になってしまうのも、手元が急いて仕方ないことも
責められないと思うほど
あの瞬間は最高だよねという話である。


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