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才能、遺伝と環境

覚え書き。

才能は遺伝するのかという話。

例えば、我が家は6人家族だが、多少なりとも絵画の才能があるのは、多分わたしと母だけである。

母の絵を見たのは数回だけしかない。

経営していた店のポップに添えてあったのが一度、晩年デイケア先で描いてきたのを持ち帰ったことが何度か。
いずれも丁寧な作業で、平均よりはよく描けているかな、といったレベルで、ボケが進んでからはきちんと描けなくなった。

父の方は、彼が文字以外のものを書くのを見たことがない。

きょうだいは4人だったが、校内の写生大会レベルまで含めても、絵画で賞などもらったことがあるのはわたしだけであった。
また、他のきょうだいが、図工の時間が好きだっり、成績が良かったという話も聞いたことがない。

つまり家庭においては、わたしは一人、突然変異的に絵が描けたといえる。

一方、教員としての自分は、何組かの兄弟姉妹を見てきたが、
突出して上手い者のきょうだいが、同等に上手い、という例に出会ったことがない。
ただ、片方が特別に上手く、他方が目に見えてひどい、という組み合わせにも、同様に覚えがない。

双子に関しては、二組しか知らないが、美術的能力は、どちらも作品の見分けが難しいくらい近かった。

父親や母親が美術関係者で、子供も絵を良くする、といった例は多数知っている。

以上の乏しい経験から、才能は遺伝するのだが、さほど決定的なものでもなく、また家庭教育の影響も同じく限定的であること、

遺伝と環境の相互作用で才能は出現すると思われること、

程度のことは言えるのではないかと思う。

この世界に古くからある、「画家は三代つづいて本物」という言葉にはそれなりの妥当性があるのだろう。

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