どうして母親だけなの?父親はどこへ?と思ったあなたへ

レイモンの「いちばんわかりやすくていちばん辛口な心の処方箋」へようこそ。


前回、「子どもにとって一番大事なのは母親が上機嫌でいること」と書いたわよね。

そして、それに対して「どうして母親だけなんですか!?父親はどこへ行ったんですか!?」と噛み付く人がいるということも書いたのだけれど、今日はそこを掘り下げるわね。


この話に限ったことではないのだけれど、私はいつも「この人はどうしてこのようなことを言いたくなったのだろう?」と考えることにしているの。

顔も名前も知らない誰かが「母親が上機嫌でいることが子どもにとって一番大事」と言っただけなのに、「父親は!?」と突っかかりたくなる人ってどんな人だと思うかしら?

私は、不公平さを感じている人だと思うの。

つまり、「母親である私は母親であるがために損をしている」ということね。

母親だから、お金も時間も自由にならなくて、労働ばかりさせられて、毎日疲れ切ってヘトヘトで……

それなのに、さらに上機嫌であることまで要求されて、私は一体どうしたらいいって言うのよ!いっそ死ねってこと!?と怒りたくもなるのでしょうね。


この突っかかりマザーはこの不公平感を「自分が母親であるせい(子どもがいるせい)」だと思っているのでしょうけど、じゃあ、子どもがいなければ心が穏やかでノン突っかかりレディだったのかしら?

私は、そんなことないと思うのよね。

たぶん子どもができる前は結婚は女性にとって不公平だと思っていたのでしょうし、その前は非正規雇用で不公平だとか学歴社会で不公平だとか思っていて、もっとさかのぼるとブスは不公平だとかデブは不公平だとか家が貧乏なのが不公平だとか、とにかくずっと「私は不公平な目に遭っている」と思っているの。


でも、不公平な目に遭っている人がみんな不機嫌かというと、そんなことないじゃない?

非正規雇用で貧乏でブスでデブでも、子どもと一緒にゲラゲラ笑いながら幸せに暮らしている人はたくさんいるの。

ということは、現実が不公平かどうかはもはや関係ないということなのよね。


突っかかりマザーが突っかかりマザーになってしまったのは、子ども時代に「ありのままの自分」を認めてもらえなかったことが原因だと私は思うわ。

人って誰しも、器のようなものを持って生まれてくるのだと私は考えているの。

その器には「ありのままのあなたを愛してる」という周りからの気持ちが溜まっていくようなイメージね。

その器がいっぱいになれば、安定した大人として次世代を育んでいけるの。

でも、突っかかりマザーは子ども時代に誰からもその器を満たしてもらえなかったから、なんとか空っぽな器を埋めたくて「得」をかき集めているのね。

自分は他の人より得をしていると思いたくて、逆に損をしていると思いたくなくて、公平や不公平に過剰にこだわりたくなるの。

器はそんなことでは埋まらないのに、ね。


そして突っかかりマザーに育てられた子どもは、同じく器を満たしてもらえず、次世代の突っかかりガールまたは突っかかりボーイに成長してしまうのよね。

まさに負の連鎖。地獄のスパイラル。


そこから抜け出す方法は、またおいおい。