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【1分で読了。即興小説】経験のない強奪

【お題】


経験のない強奪


【本文】


「クリア!」

「こちらもクリアです!」


今のところ、銃を抜くこともなく、計画通りに進んでいる。

私たちは、さらに奥へと進んだ。


「ここから先は、二手に別れる」

「健闘を祈る」


バディと別れ、それぞれの任務に向かった。
彼は目的のブツの回収。私はこの施設の破壊工作へ。


私の方の作業は早々に終え、バディに連絡を入れたが無線が通じない。
私は嫌な予感がして、合流場所からバディがいるであろう地点へと向かった。

すると道中、無線が入った。


「相棒は預かった」
「助けたければ、五分以内に第三研究室へ来い」

「五分経ったらこいつを殺す」


罠だとはわかっていたし、こうなった場合はバディを切り捨てて、撤収することとなっていたが、
ブツの回収という任務、そしてバディの命を諦めるわけにはいかない。


私は第三研究室へと向かった。






しかし途中、どうしてもお腹が痛くなってきて、
急遽トイレへと駆け込む。昨日辛いの食べたからな。

その間、二、三人殺したが、仕方がない。糞のためだ。
ドアを蹴破って、便所の蓋を蹴りあげ、思いっきり糞をした。


「間に合った…」

私は糞を漏らさなかったことへの安堵のため息を漏らした。


しかし、あることに気づいた。


「紙がねぇ」



指定の時間はあと、数秒。




「すまぬ。バディ」


「紙がねぇんだ」


私は涙を流して、途方にくれた。
仕掛けた爆弾の起爆スイッチを握りしめて。




この後、また糞が出た。

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