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【1分で読了!即興小説】茶色い妹

【お題】


茶色い妹


【本文】


「やはりここにいては、すぐに見つかってしまう」



私は妹の手を取り、あてもなく駆け出した。

後ろの方では銃声が聞こえる。
一歩遅ければ、今頃、蜂の巣になっていたに違いない。


「おねえちゃん、待って」
「私、もうダメ」


妹は負傷した足を引きずりながら、立ち止まろうとする。


「私のことはいいから、先に行って」


私は、彼女を置いていく気はない。
必ず一緒に逃げ切る。

体格の変わらない彼女を、担いで再び走り出した。




追っ手はどうやら、セキュリティロボットが三体。
それも最新型なのか、従来のものよりも動きが早い。




随分と奥まで逃げてきた。
私の体力も限界に近い。

その様子を見かねて、妹が、



「おねえちゃん、私のことはもう大丈夫」

「今度は私がおねえちゃんを助けてあげる」



妹はにこりと笑って、私から離れ、追っ手の方へと足を引きずりながら走っていった。

妹は爆弾を使って、自爆するつもりだ。



「だめー!」


私が叫んだのと同時ぐらいだっただろうか。


妹は追っ手と共に散った。



私は妹に駆け寄った。

漫画みたいに茶色く焦げた姿でなんか笑えた。

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