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メンタルマネジメントの難しさ

転職後の会社の雰囲気になじむ事というのは簡単ではありません。「なじむ」というのは、自分の心が「平時」の時だけでなく、「非常時」の時も非常時なりになじむ事を意識しないといけないと思った出来事がありました。


それは、前職と現職の会社の雰囲気が全く異なる事から端を発しています。
前職は年功序列で「会社の事をよく知っている人から偉い」感じで中途で入社される方も非常に少ない会社でした。昭和から平成初期によく見た会社です。こういう会社の特徴は

”自分の全人格をある意味会社組織と一緒に巻き込んでいく事・巻き込める事”


が出来るかどうかで、その会社を「いい会社」という社員もいれば、「良くない」という社員もいるという感じです。いわゆる「合う・合わない」というものです。会社の飲み会があれば参加し、休日も社員で遊びにいく。社員の家族とともにBBQなんて事もある場合もあるでしょう。社風ってやつです。


一方で現職は真逆です。入社メンバーのほとんどは中途採用の方でバックボーンは異なります。

”会社と自分は仕事を通じてのみ繋がっている。他の社員とも仕事を通じてのみ繋がっている”


という雰囲気です。全然違います。総じてこういう雰囲気の会社様が多くなってきていると思います。このように変わってきている原因・要因を考えたんですがやはりハラスメントに対する意識が一部分では過剰に出てきていると思います。

この前、ある社員さんが他のメンバーと会話をしていました。「そういう仕事は派遣にやらせておけばいい」と発言しました。隣には”そういう仕事”をやってはいませんが、派遣社員さんがいます。こんな時皆さんの会社の雰囲気はどうですか?発言者に注意しますか?

前職の会社だったら、「その言い方はおかしい」と注意していました。やっぱり個人個人は全人格を会社にぶつけています。社員=家族にも近いような感じです。他人の考え方が会社の「企業訓」と異なればどんな事でも注意します。相手の領域にズケズケ入り、会社の方針に沿うように皆で矯正していきます。

現職の会社ではスルーです。誰も何も言わないけれども、皆がその発言はダメだと心の中で思っている。これは一例ですが、言い方が間違っている=考え方が間違っているわけで、仕事の進め方が間違っているわけではありません。何か不手際を起こすヒヤリハットで注意するわけでもありません。その人の思考回路を注意するわけで、これって注意の仕方を間違うと人格否定側に繋がりかねない。よって注意する事が逆ハラスメントに通じる可能性もあるわけで、どうしても躊躇します。異分子を排除や矯正はしない、その代わり入社時に徹底的にふるいにかけて異分子要因を持つ者は排除しておくという感じです。



どちらが良いかではなく「それぞれ、そういうものだ。会社だからといって同じではない。違って当たり前。」と思って対応してきました。平時はこんな考え方でいいんです。


問題なのは、仕事でミスをして落ち込んだ時。ミスしてしまった事がきっかけで心を病んで休職になってしまわれる方も少なからずいらっしゃるようです。客観的に損害が目に見えるミスもあるでしょうし、会社に損害を与えたとかそんな事ではなく、とにかく自分自身を責めてしまう方もいます。他人からみたらそんな事気にしなくてもいいのにと思うケースもあるでしょうが。


こんな非常時のメンタルの回復の仕方の一つに、自分がミスをした時とか自分だけで回復出来ない、他の方の力を借りてやっと回復出来るケースもあります。


前職会社では「どうした?今晩飲みに行くか?」とか「話を聞くよ」とかリカバリを周りがしてくれるケースがあります。「話を聞いていただけませんか?」とこちらから声をかけるケースもあるでしょう。ミスの具体的な事って社外の方と話すのは、そもそもどんな仕事なのかという前提を伝達する必要があり、社内の人との会話の際にはその前提をすっ飛ばして話が出来るというラクな側面もあります。


現職だったらどうでしょうか。周りも足を引っ張る事もしなければ手助けする事もない。全員個人主義、仕事上でのみの繋がりの為、自分の領域に影響があれば対応するが、それは「自分」に関係あるからで、「全体に関係あるから対処しよう」「あなたの為のメンタル回復の為に何かしよう」という発想でそういう事をしているわけではありません。


こうなると、非常時のメンタルマネジメントとしては「自分で何とかする」しか方法がありません。


自分自身で回復手段を持っている事が必要です。


自分で何とかする方法を持っていない、他人の力を借りるタイプの方は案外(現代では何かと否定されがちですが)家族的な雰囲気の会社の方がいざとなった時にあなたを助けてくれるかもしれません。


キャリア志向の高まりで会社との関係性や働くメンバーとの関係性は薄くなっていってるように思います。それが良い悪いではなく、自分にとって、特に自分のメンタルが病んでしまった時に、どう対処するか。自分自身で何とか出来る方は良いですが、周りの力を借りて回復出来る方もいます。「自分は大丈夫」はない。そんな事はあり得ないと思って普段から考えて対応したいです。


転職する際の会社選びにこんな事は優先順位からいくとかなり下の方だとは思いますが、最後の最後にどちらか1社を選ぶ段階になって両社の社風が全く違う時に参考になれば幸いです。



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