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「先生」自称は必要悪

 月・火曜は学校教育の話です。今回は、自分の事を「先生」と自称する事への考察です。
 最近、相互フォローしていただいたnoterの「みんなで公立小学校教員になろう!」さん。毎回、刺激的で考えさせられる記事を書いています。その「みんなで公立小学校教員になろう!」さんが先日、次の様な記事を書いていました。

 ここで書かれている内容を大雑把にまとめると、概ね以下の様になると思います(違っていたら御指摘ください)。

 教師は自分の事を「先生」と自称する事で、教師が上で子供が下と言う「無意識先生マウント」をしている。教師同士も「先生」と呼び合うが、それも教師が上で子供が下と意識し合うために行っているのだろう。
 今の時代、教員など凡人の集まりなのだから、「そんな自分が、人になにかを授け育てることなど簡単にできるはずはない」と謙虚になる事が必要だ。

 この記事に書かれている「謙虚さが必要」は、本当に、その通りだと感じました。自分の日常を大いに反省させられます。
 そして「無意識先生マウント」についてですが、ここは部分的に賛成…と言う感じです。何故なら、自分は「意識的先生マウント」をしているからです。つまり、意図的に「教師が上、子供が下」と示すために「先生」呼称を使っている訳です。
 若い頃の私は、「教育技術の法則化運動」から多くを学びました(「教育技術の法則化運動」については、また別な機会に述べます。直ぐ知りたい方はウィキペディアで調べてみてください)。
 そこで学んだ事の1つに、「教師は学級を統率しなくてはならない」と言う事があります。これは相当に重要な事で、きちんと統率できないと「学級崩壊」してしまいます。そうなったら教育活動を行うどころか、子供たちの安心や安全を守る事さえ難しくなります。
 子供たちから謙虚に学ぶ事は大切ですが、完全に平等な関係では人間の集団をまとめる事は難しい…私は、そう考えます。何故なら、完全に平等な関係では、リーダーシップを発揮する事が出来ないからです。
 これは少し考えれば分かります。話し合って意見をまとめるためには、誰かが話し合いを進めなくてはならない…司会(議長)が必要です。では、誰が司会になるのか…完全に平等だと、この司会を決めるのにも一苦労です。「私がやりますよ」「何で貴方なの? 私がやってもいいでしょう」「それなら私が…」みたいな事が発生する可能性が高いからです。
 結果、発言力があったり目端の利いたりする人が司会となるでしょう。子供の場合だと、ジャイアンが仕切る…となる訳です。
 ジャイアンが仕切る事の是非は、本題とズレるので置いておきます。ここで大事なのは、ジャイアンが仕切る事に対し、心の中では不満をもちつつも、子供たちが従うという事です。では、そうなるのは何故かと言えば、「(この辺りの町内においては)どの子よりも腕力が強い」と皆が理解しているからです。「ジャイアンが上、他の子は下」と理解している訳です。
 この様に、ある集団をまとめ、動かしていくためには、統率する人物が立場的に上であると理解してもらう事が必要です。
 ですから、学級を統率するためには、教師と子供の立場の違いを明確にする必要があります。「教師が上、子供は下」と理解してもらう事で、教師の指示に子供たちは従ってくれます。ここが崩れると、影響力のある子供たちが好き勝手をする事が可能になり、最悪、学級崩壊して学級内の秩序が無くなってしまいます。
 教師は学級に責任をもたなくてはなりません。子供たちが安心して、安全に学習へ取り組める様にするのは、学級にいる教師の責任です。
 もちろん、子供たちにも少し責任はあります…が、主たる責任は教師にあります。仮に学級崩壊した場合、中心になっている子供たちが批判を受ける事はあるかもしれませんが、責任を追及され非難されるのは教師です。
 この事実を明確にし、「私は、この学級に責任を負っている。貴方たちには、より良い学級作りに協力してもらいたい」と言うメッセージを伝えるため、私は「先生」と自称しています。つまり、意識的に「先生マウント」を行っています。それにより、「教師が上、子供が下」と子供たちに周知している訳です。
 この考え方が「絶対に正しい」と言うつもりはありません。私としては、「必要悪」的な感じで行っています。
 自分の事を「先生」と呼ぶ事には、この様な理由で意図的に行っている人もいますよ…と、お伝えしたかったので今回記事にしました。御意見があれば、是非、聞かせていただけると嬉しいです。

 おまけですが、教師同士が「先生」と呼び合うのは、単なる役職名で読んでいるだけだと思います。民間企業で、相手を「係長」とか「部長」と呼ぶのと変わりありません。
 その証拠に、「校長」や「教頭」には「先生」呼びをしないのが一般的です。例えば、山田太郎さんが一般の教師であれば「山田先生」と呼ばれますが、校長であれば「山田校長」と呼ばれます。民間企業でも課長の事は、「山田課長」と呼ぶのが一般的なはず…それと同じな訳です。

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