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【映画感想文】グッド・ウィル・ハンティング|自分の好きな道を選ぶ

「グッド・ウィル・ハンティング」は、会社の先輩に"1番好きな映画"として紹介してもらった映画だ。
普段お世話になっている先輩が好きなものを知りたいという単純な好奇心から再生ボタンを押し、気づいたら3回も見てしまった。

「都会に生まれていたら、いい塾に通えるのに」
「家がお金持ちだったら、音大を目指せるのに」
「被災しなければ、お金を気にせず高校を選べたのに」
という"たられば"ばかりの思春期を過ごしていたあの頃の私に見てほしい映画だと思う。
自分の人生は、自分で選択するしかないんだ。

あらすじ

主人公は、数学界のノーベル賞「フィールズ賞」を受賞した名門大学のランボー教授を超える天才でありながら、幼い頃の虐待が原因で心を閉ざし、非行を繰り返す孤独な青年ウィル・ハンティング。
暴行事件を起こして起訴されたウィルは、保釈の条件として週に1回のカウンセリングを受けることになる。ふざけた態度で真面目にカウンセリングを受けないウィルには著名なカウンセラーたちもお手上げ状態。
最後の手段としてたどり着いたのが、妻に先立たれて人生を見失った精神科医ショーン・マクガイヤだった。
最初は今までのカウンセラーと同様にショーンをからかって怒らせるウィルだったが、次第に心を開いてショーンの影響を受けることを選択し、人生をを出発する。

印象に残ったセリフ

①好きな道を選べるんだ。なにをしたい?君はなにを情熱を?

カウンセリングを繰り返し、次第に打ち解けてきたウィルとショーン。
それでも傷つくことを怖がって先に進もうとしないウィルに、ショーンは
「好きな道を選べるんだ。君は何がしたい?君はなにに情熱を?」と聞く。
答えられないウィルに、
「何を聞いてもああ言えばこう言う。なのに簡単な質問には答えられない。答えを知らないんだ。」
と、カウンセリグの途中でウィルを追い出してしまうというシーン。

就職活動のときに出会っていたら、かなりHPを削られそうなセリフだ。
「先に進まない」とは、それを選択しているのではなく、何も選択しなかった結果だと思う。
変わろうとして、それが吉となるか凶となるかはそのときになってみないとわからない。
自分が傷つくかもしれない、だったら吉ではないけど少なくとも凶よりましな「そのまま」でいる方が楽だろう。
人生のオールを環境や他人に任せ、他責で生きていけば悲劇のヒロインでいれられる。

とはいえ、好きな道ってなに?好きな道を選んだ状態ってどんな状態?
私は、自分を肯定できている状態だと思う。
充足感(不足がなく、満ち足りた状態)を感じるには、自分が満足しているかが鍵になる。
誰も解けない難問を簡単に解ける才能を持っていたとしても、ずっとモヤモヤを感じているのであれば、自分で自分を肯定できない。
好きな道を探す一歩は、自分のポジティブな気持ちもネガティブな気持ちも事象としてフラットに認めることだと思う。

②僕には彼女がいる

これは、映画の最後、素晴らしい就職先でも一緒にバカをやってきた親友たちでもなく、別れた恋人に会うためにカルフォルニアへ向かうことを選んだウィルが、ショーンに宛てた手紙に書いた言葉である。
実は、これはショーンのセリフを引用したもの。
野球界の歴史に残るほど素晴らしい試合のチケットを捨てて、バーで出会った奥さんを口説くことを選んだかつてのショーンが言ったセリフだった。

ショーンのセリフを引用したことからも、恋人を選んだことからも、ウィルはショーンの影響を大きく受けていることがわかる。
しかし、ウィルが保釈されるように働きかけたり、ショーンを引き合わせたり、誰もが羨むような就職先を紹介したりなど、ウィルの人生が変わるきっかけになったのはランボー教授である。
一見するとランボー教授の方がウィルにとって影響力が大きそうだが、一緒に大学で研究をしないかと誘ったランボー教授に対して「つまらない」と一蹴する。
ウィルは、フィールズ賞を受賞した著名なランボー教授よりもショーンの影響を受けることを選択したということだ。

人はあらゆるものの影響を常に受けているし、意図的にじゃなくても常に誰かに影響しているんだと思う。
SNSの影響で情報や誰かの意見・考えを簡単に知れるようになった分、触れる影響の数はとんでもないくらいあるんだろう。
いちいち全てに影響を受けていては、それこそ自分の好きな道を見失っていく。

そうならないために、どうすればいいのか?
それは、自分のあり方がまっすぐであることだ。
自分のあり方がまっすぐとは、どう生きたいのか?なにを大切にするのか?がはっきりしていて、心と行動が一致している状態を指すと思う。
これはこの映画を紹介してくれた先輩がいつも私に言ってくれることとも同じで、先輩のこの考え方はこの映画からきているのかもと思ったりする。

自分のあり方と好きな道は似ているようで違う。
自分のあり方を基準に選んだ道が好きな道で、その道を歩み続けた結果自分を肯定できる。
自分のあり方を見つけるには、自分の心に素直になってたくさんの影響の中から「これは好き、これは好きじゃない」を分類していく作業が必要だと思う。
ウィルはショーンとランボー教授、恋人、親友たちなどたくさんの人の影響から、自分の道を選んでいった。
それに正解はないし、自分で正解にしていくもの。
恋人の元に向かったウィルは、きっと恋人と再会して一緒に暮らし、就職して幸せに暮らしていくんだと思う。

まとめ

この映画は、ウィルという青年がショーンとの心の交流の中で、蓋をしていた自分の気持ちに素直になり、自分の好きな道を選んでいく物語だ。

タイトルの「グッド・ウィル・ハンティング」を直訳すると、ウィル・ハンティングはいい人となる。
ウィル・ハンティングって名前、珍しいなと思って調べてみたところ、グッド・ウィル=好意らしい。
従って、グッド・ウィル・ハンティング=好意(好きな道)を探しているとも読める。

自分のあり方に迷ったとき、好きな道を見失いそうになったときに、この映画を観ようと思う。


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