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父の日に

 現在、施設で生活している父と、父の日ぐらいは家族で一緒に過ごせたらと思い、施設から外出許可をもらい、私たち姉弟が幼いころよく連れていってもらったレストランに予約をとり、ステーキのコースを父と私たちで頂いた。
 ウェイターが予約席に誘導し座った席は、4人掛けの机を壁に寄せて一人分の空いた席にランチョンマットを掛けて空席とし3人席として私たちに用意してくれていた。
 食事中、その空席としている席がとても気になった。本来ならそこに母が座るはずだったのではないか、とか、もしかしたら私たちには姿が見えない母が今そこに笑顔で座っているのではないか、と考えを巡らして涙が出そうになった。
 更に、祖母もこのレストランのことを気に入っていて、家族で外食に来た際、お気に入りのドレッシングを買ってかえり、家でも食事の際出してくれたことを思い出して更に、切ない気持ちになってしまった。
 中学生の私、タイ人の夫と一時帰国した際の私、そして母が亡くなってしまった後、施設にいる父と一緒に来た私、それぞれの時にこのレストランで食事を頂いたなと、感慨深い気持ちになった。


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