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介護をしている全ての人へ#96 ~ コンソメスープ

 抗がん剤の影響が家の中の雰囲気を暗くじめじめさせていた。
 母の笑い声のない家は、陰鬱な病人の館。味の分らないスープを飲んでおいしいと言ってくれた母の優しさが綴られていた。

2019年4月6日(土) 母の日記

 発熱(37.6℃)、全身の倦怠感、全身の骨がハンマーで叩かれているような痛み、吐き気、アレルギー症状(++)

 今朝は、全身の痛みで目が覚める。夫の心療内科の予約が入っていたが、予定をキャンセルしてゆっくり過ごす。
 夫は、だんまりを決め込んで終日テレビのまえにいた様子。
 病院勤めをしていたころの同僚から電話をもらう。まだ私を心配してくれている人がいると思うと嬉しい。
 一日何も食べることができなかった、夜長男がコンソメスープを作ってくれたけど、味がわからなかった、苦いお湯を飲んでいるよう。

2019年4月6日(土) 私の日記
 母に副作用が強く出ている。寝床から起きて来なかった。
発熱、全身の痛み、倦怠感、吐き気。
 枕元に洗面器をおいて嘔吐に備える。
 父は終日テレビの前、ピザが食べたいと言うので、イオンのパン屋さんでトマトとチーズのピザとリンゴジュースを買った。
 母は食欲なし、ポカリスエットをコップに半分だけ飲んでくれた。
 こういう時、息子は何もできない。家の中に波風を立てずに父子の仲良しを母にアピールするしかない。
 こういう小さな嘘が積みあがって、母子の関係も壊れていくのだろうか?恐ろしい。
 誰かに相談したい。
 夕方近く、Jちゃん(父の弟)のレストランから、コンソメスープ届いた、ごうちゃん(従弟)が持ってきてくれた。
 「美味しい」と言いながらカップに一杯飲んでくれた。
よかった。

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