ソマティック・エクスペリエンシング(SE)の創始者、ピーター・リヴァイン博士の話
(動画の概要)
人間は、動物と同じ生存メカニズムの脳・神経系システムを持っているが、事故・医療処置・虐待・ネグレクト・戦争といった様々なトラウマ体験に対して、動物が、人間と同じようなトラウマ症状をもっていたら、生き延びることができない。
動物行動学の研究によって、動物は、殺されそうになると凍りつき、敵がいなくなると逃げ出すことが分かった。チーターに追われた鹿は、チーターに殺されたように見えたが、実は「死んだふり」をしていて、チーターが離れたすきに、鹿は起き上がって逃げ出す。猫に襲われたネズミも、死んだふりをするが、隙を狙って、猫に反撃して逃げる。
しかし、ほとんどの人間は、凍りつきから解放されて、逃げることや、敵に向かって反撃することを恐れていて、恐怖体験による「凍りつきの症状」を抱え込んでしまう。
そこで、トラウマ反応を抱えた人間が、「タイトレーション」によって、身体の安全を守りながら、恐怖反応を少しずつ軽減していくことができる。
自分の身体感覚に親しむことによって、レジリエンス・自信・喜び・平穏さが生まれる。エネルギーを解放して生きることは、大きな恩恵となる。ヨガのクンダリーニ、生存に関わる第1チャクラにつながるもの。
(動画の感想)
この動画を見ながら、ソマティック・エクスペリエンス(SE)療法とは、人間が、動物的な快不快の感覚を忘れて生きてきた、そのように生きざるを得なかった人々が、動物的な快不快の感覚を取り戻す手法なのだろうなと感じました。人間は動物の一部でもあるから。
同時に、動物と人間の違いって何だろう?と考えると、昔学校で習った「火を使う」とか、それが文明や文化に発展していったのだろうし、言葉を含めた人間同士の関わりとか、それが芸術表現になったり…ということを考えます。動物にはない人間の素晴らしさもあるし(私が人間だからそう思うだけかもしれないけど)全ての人間が何らかの人間が作った文明を享受して生きています。全面的に動物に返ればいいってわけではないけど、文明や文化から生み出された様々な人間の思考や複雑な感情が原因となったトラウマ体験によって、動物的な快不快を抑えられてしまったのが、人間のトラウマ症状なのかもしれないなと思いました。
以下の動画は、ソマティック・エクスペリエンス(SE)の創始者である、ピーター・リヴァインによる、怒りを解放するための方法です。
これも、動物的な感覚を取り戻すための、試みなのかもしれません。
怒りのエネルギーを少しずつ解放する
怒りは、パワーなので、一気に解放しないようにする
【方法①、動画4:19頃~】
体の感覚として、怒りを感じる
両手で強く握りこぶしをつくる
少しずつ少しずつ、その握りこぶしを強く握っていく
少しずつ少しずつ、その握りこぶしをゆるめていく
ゆっくり手を開いて解放する
自分の呼吸がどのように変化したか、肩がどのように変化したかを感じる
【方法②、動画5:30頃~】
歯を強く食いしばって、緊張を感じる
口をゆっくり開けて、抵抗を感じたところで、またゆっくり口を閉じる
※方法②については、ピーター・リヴァインの著書でも触れられていて、以下のように書かれています。
私がSEのセラピストから教えてもらった、怒りを解放するやり方として、
「安全な場所で、クッションを叩く」とか、「手で壁を押す」という方法があります。壁を手で押す方法は、両手を壁につけて、足を前後にして、壁にあてた手を壁に向かってグーっと押す、という方法です。
あと私は、叫びの壺というのをネットで買って、時々使っています(笑)