自分でできる、トラウマを解放するエクササイズ:TRE(緊張・ストレス・トラウマ解放エクササイズ)

前回、「震え」(トラウマのエネルギーの解放)が起きたことで、精神的に楽になった話を書きましたが、トラウマを解放する「震え」を起こすためのエクササイズを紹介します。私の場合は、このエクササイズによって震えが起きたわけではないのですが、TREは、トラウマに悩む方々が一人でもできるエクササイズとして開発されたものです。

TRE(Tension & Trauma Releasing Exercises/緊張・ストレス・トラウマ解放エクササイズ)といいます。
このエクササイズは、7つのステップがあって、具体的なやり方は、TREの公式サイト(https://traumaprevention.com/)で公開されています(和訳をつけて後述します)。

TREの日本公式サイト(https://www.tfa-japan.com/)では、トラウマによるストレスがどのように体に蓄積され、なぜ・どのように解放する必要があるか、ということを分かりやすく説明した動画があります。和訳付きで、とても分かりやすいので、トラウマに悩む方々に、是非みて頂きたい動画です!

デイヴィッド・バーセリ博士は、TREを開発した方ですが、私はこの本を読んで、著者の考え方にとても共感しました。

トラウマに苦しむ人々の多くは、薬物に助けを求めます。しかし薬による治療は高価なうえに、長期的にみると深刻な副作用があります。しかも、世界のあらゆる場所ですぐに手に入るわけではありません。
薬物による治療と同じように、個人面談形式のセラピーも、誰もが受けられるわけではありません。このようなぜいたくを享受できる人は限られています。週1回、それもかなりの長期間通うのでは、時間的にもほとんどの人には無理です。そのために開発途上国はもちろんのこと、西欧の国々でさえも、子供のいる人や仕事の忙しい人が、こうした治療を受けることはほとんど不可能です。
さらに津波、竜巻、または地震などの大災害が一瞬のうちに、ある地域の何万もの人々をトラウマに陥らせた時も、面談によるセラピーを行うのは、ほとんど不可能です。

セラピストにかかる時間もお金もない、またはセラピーに行こうと思ってもいけない場所にいる時、私たちはどうすればよいのでしょうか?
もしトラウマがすべての人に起こり得るのであれば、それを癒すプロセスもすべての人に与えられるべきだと、私は思わずにはいられませんでした。

回復のためのそのような療法は、誰もが自分で行うことができ、すぐに結果が分かり、セラピストの指導がなくても大勢の人々が簡単に使えるべきです。
人間が自分の体の中に有機的な回復能力を持っていることに気がつきました。トラウマを一生抱え込む必要はなく、そこから完全に抜け出すことができるのです。
しかも、ひどいショックを受けた出来事から回復できるだけなく、トラウマを受ける前よりも、もっと優しく思いやりのある人間に生まれ変わる可能性さえ持っています。
この回復プロセスをきちんと使えば、私たちは必然的にもっと生産的で充実した人生を送れるようになるのです。しかもほとんどの場合、そのために高価な薬も専門的なカウンセラーのセッションも必要ありません。

デイヴィッド・バーセリ『人生を変えるトラウマ解放エクササイズ』(p.39-41, 46-47)


TRE(緊張・ストレス・トラウマ解放エクササイズ)の方法は、以下の動画で公開されています。
TRE公式サイト(https://traumaprevention.com/

デイヴィッド・バーセリ著『人生を変えるトラウマ解放エクササイズ』から引用して、日本語でやり方を記載します。(動画の英語ではなく、本の引用を記載しています:動画の英語と完全には一致していません)

動画の最初で話している男性が、デイヴィッド・バーセリ博士ご本人です。「軽度のトラウマがある場合は、TREプロバイダーに相談するように、重度のトラウマがある場合は、臨床経験のあるTREプロバイダーがいる所で安全に行うようにしてください」と前置きされています。

エクササイズ1:肩幅の広さに脚を開いて立つ。ゆっくりと体を左右に動かして、左右交互に15秒ずつ重心を傾ける。これを5回繰り返す。

エクササイズ2:(本には2通りの方法が記載されていますが、動画で行われている方法)片方の足に体重をかけて、もう一方の足はリラックスさせて軽く後ろに引く。体重をかけた前の足のかかとを上げて、つま先立ちになる。疲れたら、かかとをおろす。これを10~15回繰り返す。足をゆすって、リラックスさせる。足を逆にして、同じように繰り返す。

エクササイズ3:(本には2通りの方法が記載されていますが、動画で行われている方法)片方の足に体重をかけて、もう一方の足は、少し後ろに引いてリラックスさせる。体重をかけた足をできるだけゆっくりと曲げる。そして伸ばす。この運動を5回繰り返す。逆の足でも同じように繰り返す。

エクササイズ4:両足を開いて立ち、足の内側の筋肉にストレッチを感じるまで両足を広げる。前にかがみ、両手を床につける。手がつかなくても自分が無理なく曲げられるところまで前屈する。この形で、大きく3回深呼吸する。
→ゆっくりと、床についた両手を片方の足の前へ動かす。そこで動きを止め、ゆっくりと3回深呼吸する。
→両手を、もう一方の足の前まで動かす。そこで3回深呼吸する。
→両手を、両足の間から体の真後ろへ動かす。そこで止めて、3回深呼吸する。ゆっくりと立ち上がって元の姿勢に戻る。

エクササイズ5:両手のひらを、腰に当てて、ゆっくりと背中を後ろに軽くそらせる。この姿勢のまま、ゆっくりとした深呼吸を3回する。
→ゆっくりと腰を右か左にねじり、後方を見る。この姿勢のまま、ゆっくりと3回深呼吸する。反対の方向へ同じ動きを繰り返す。
→元の姿勢に戻り、背中を少し後ろに曲げたまま、ゆっくりと3回深呼吸する。

エクササイズ6:壁に背中を押し付けて、椅子に座った格好になる。背中の高さを調節して、楽な姿勢にする。足の位置が膝よりも前に出るようにする。2-3分そのようにしていると、太ももの筋肉が振動し始める。筋肉が少し痛くなったら、壁につけた背中を5センチほど上にずらすと、揺れが強くなり、痛みが弱まる。この姿勢でまた痛くなったら、さらに5センチほど上にずらす。足に震えがきて、痛みのない姿勢を探す。
→揺れ始めたら、5分間揺らし続ける。その後、壁から離れて前屈する。手を床につけて、膝を少しだけ曲げる。おそらく揺れがひどくなるが、2-3分間そのままの姿勢を保つ。

エクササイズ7:床に横になり、両足の裏をつけて、膝をリラックスさせて、できるだけ足を広く開く。
→骨盤を床から5センチほど1分間持ち上げる。その時、膝は広げてリラックスさせる。腕はどのようにしても良い。
→骨盤を床におろす。膝を開いたまま、1分間リラックスする。
→両ひざを5センチ位、最初の位置から狭めて、両ひざ頭を上にあげて、この姿勢を2分間続ける。揺れが強くなるかもしれません。もし不快に感じたらいつでも両足を伸ばしてリラックスする。
→両ひざをさらに5センチ近づけて、振動が足全体に来るようにする。振動は強くなるが、もし不快に感じたら、両足をのばしてリラックスする。
両ひざをさらに5センチ近づけて、振動を続ける。これ以降は、心地よく感じる間、体が揺れるままにして良い。
→足の裏を床に平らにつけて、両ひざは少し開けたままにする。振動が長く続けば続くほど、深い慢性の緊張がより多く解放される。一度ですべての緊張を解放しようとしないでください。もし体に疲れを感じたら、15分以上は続けないでください。

運動をやめるときは、足を床の上にまっすぐに伸ばして、横向きになって背中を丸めて休んでも良い。足と骨盤の筋肉が楽になったら、ゆっくりと注意深く起き上がる。

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TREのプロバイダーの方に教えていただいたのですが、このエクササイズによって震えが起きたあとは、しっかりと休息することが大切だそうです。振動と休息がセットになって、神経系が統合されていくそうです。

実は先日、TREのセッションへ参加予定だったのですが、既に日常で震えが起きているので、参加を延期しました。いつか参加したら、体験記を追記したいと思います。