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パラ旅応援団 -千葉シティトライアスロン大会観戦イベント-

2023年9月24日、NPO法人おりがみによる「パラ旅応援団 -千葉シティトライアスロン大会観戦イベント-」が行われました。パラ旅応援団(以下パラ旅)では障がいのある方と学生ボランティアが一緒にスポーツを応援しに行きます。
私たち岩渕薬品も千葉のユニバーサルツーリズムの発展に取り組むオフィシャルパートナーとして参加させていただきました。


1.背景

NPO法人おりがみ

NPO法人おりがみは、ボランティア企画のマネジメントを⾏うNPO法⼈です。2014年当時、2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックに向けてボランティアを募集していたそうですが、募集枠8万人に対し、希望者は20万人もいたそうです。これは勿体無いという想いから、自らの企画でオリンピック・パラリンピックへの参画を⽬指し、当時千葉大学の学生だった都築則彦さんが、学⽣団体として⽴ち上げられました。

おりがみ、という名称はそのキャッチコピー「『おり』ンピック・パラリンピックを、『が』くせい、『み』んなで」にちなんだ名称です。これまでに東京2020⼤会関連企画のレガシーの継続・発展に取り組まれてきました。
現在は580人ほどのメンバーが在籍し、様々なボランティア企画の研究・開発を進めています。

パラ旅応援団について

パラ旅も、NPO法人おりがみが企画するボランティア事業の一つです。障がいのある人の外出をより活発にするために「外出の楽しさ」「外出を共に楽しむつながり」「周囲の障害理解」を促進し、障がいのある人と学生ボランティアが、ヘルパーや同伴者のサポートのもと、パラスポーツ観戦や観光、ショッピングなどのアクティビティを通して交流を深めるユニバーサル観光事業です。

一緒にいたいから支援する

パラ旅の活動の中で大切にしているのは、「支援するために一緒にいるのではなく、一緒にいたいから支援する」ということです。
イベント当日は学生ボランティア4名・障がいのある方2名・ヘルパー1名でグループを組みます。ヘルパーの方には学生と障がい者の方をつなぐコーディネーターとして同行していただきます。

例えば車椅子の方は普段、砂浜へ行くことは難しいことの一つです。以前行われた海辺でのイベントの際には、「今、この人と一緒に海の近くまで行きたい」という想いから、みんなで車椅子を持ち上げて運んだそうです。車椅子は重いですが、学生ボランティアたちはその重さも楽しんでいるようだったという思い出話も聞かせてくださいました。

障害のある方の社会参加について

日常では施設と家の行き来で、支援員や家族以外との外出機会が少ない人が多いと言われています。その結果、同伴者はいても外出の感動を共有する友だちに恵まれず、必要以上の外出意欲が湧かないというケースも多いそうです。

パラ旅は、支援者や家族の支えのもと、若者の賑わいに障がいのある人が溶け込み、学生とだから味わえる青春を共創することで、障がいのある人の社会参加が活発になることを目指し、障がいのある人と若者の青春をオーダーメイドすることをミッションに掲げています。

2.千葉シティトライアスロン大会観戦当日

当日は稲毛海浜公園で行われた「千葉シティトライアスロン」のパラトライアスロンの観戦・体験会、砂浜や芝生広場をつかった大型スポーツレクリエーション、イベント終了後には懇親会が行われました。

パラトライアスロンの観戦

開会式やアイスブレイクを通して、支援する側される側という立場を越え、共にパラアスリートを応援する仲間であることを感じられました。スタート前から応援の練習にも大きな声で熱心に取り組んでくださる参加者もいて、大変盛り上がりました。
そして互いの性格や想いを知り「遠慮感」を解消していきました。
パラトライアスロンのスタートを全員で見守り一斉に応援することで、スタート特有のワクワクを共有し、一体感が生まれました。

パラスポーツ選手の方々も、こんなに応援されたことは今までなかったということでとても喜んでくださったそうです。

グループごとに自由に過ごす

観戦、競技体験、レクリエーション、休憩、お昼ご飯など、グループごとにやりたいことを決めて自由に過ごすことで、チームワークを醸成しました。

パラトライアスロンの感動のゴールを一斉に応援して、その後自分が応援した選手と交流会を行うことで、パラトライアスロンの観戦をした達成感や特別感を共有し合うことができました。

この人と過ごせて良かったと実感できる旅

障がいのある人もそれぞれに、一緒にいたい人や行きたい場所があります。買い物や通院、仕事などのルーティンの外へ出て、賑やかな若者と共に、「スポーツ観戦」という”未知”の世界を体験をしていただきたいと思っています。
パラ旅は支援 - 被支援の関係をも超え、一緒にいたいから自然と支え合う、そんな友だちができる機会となりました。

3.ボランティアは社会に関わる権利

都築さんにお話を伺う中で心に残ったエピソードがあります。
ある時、活動を進めて行く中でボランティア活動を日本に広めたとされる年配の方と出会う機会があったそうです。ボランティアは仕事や家庭に縛られずに自由に社会に参加し、社会を創っていける権利であるのに、日本では慈善活動の意味で捉えられていることが多く、ボランティアを当初広めたかった意図とは違った形になってしまっている、という話を聞いて衝撃を受けたのだと聞かせてくださいました。

その時、都築さんがおりがみを立ち上げるきっかけとなったオリンピック・パラリンピックへのボランティア活動に対して感じていた問題意識と重なったそうです。そこからボランティアに関する研究をしたいと考え、当時理学部で物理を専攻していましたが社会学に転部し、現在大学院で研究をされているそうです。今後の都築さんの活動にも注目です!

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