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銭婆とカオナシ 第3話

(メインブログ「神様達と共に」で2017年3月8日にアップした「銭婆とカオナシ 第3話」の内容を、一部修正&加筆して再アップしております。)

(過去のお話しのリンクはこちら⇒「第1話」「第2話」)


安良見命「もう、ずいぶんと昔のことです・・・。

人間の世界の時間で言えば、おそらく200年よりも前・・・。

私は・・・ある小さな山村に降り立った、まだ駆け出しの神でした・・・。



かつて私は・・・神界から時々この村の様子を見ていたのですが・・・。

この時期は・・・疫病が流行っており・・・この村でも多くの人が犠牲となりました。

このままでは・・・村人のほぼ全員が亡くなってしまいかねない・・・。

そんな危険な状況だったのです・・・。


私は神界からこの村を見ていたので・・・心根が優しい人が多いことをわかっていました。

だから・・・どうしても見捨てておけなかった・・・。

そこで私は・・・危険を承知でこの地に降り立ち・・・人々に癒しと力添えを届けることにしたのです・・・。



しかし・・・状況を改善していくには、長い時間とエネルギーが必要でした・・・。

やはり全ての起因は心にあります・・・。

それ故に・・・まず各々の心が前を向けるように励まし・・・支えながら・・・。

その後に・・・癒しと加護によって病を取り除いていく必要がありました。

ですから・・・人々の回復は本当に少しずつだったのです。

その途中・・・いくらかの疫病神や邪神達の妨害もありましたが・・・。

しかし話せばわかる者も多く・・・幸いなことに私が大きな困難に遭遇することはありませんでした。

こうして・・・徐々に村人達から疫病を遠ざけることが出来たのです。


たとえ少しずつでも・・・人々が元気になっていく様子を見ているのは・・・とても嬉しかったものです・・・。

やはり元々、心根が優しい人達が多かい村でしたから・・・。

村の雰囲気も徐々に穏やかに・・・平和になっていきました。



すると・・・。

少しずつ・・・私の存在を感じ取る者が現れはじめました。

最初は子供から・・・。

徐々に大人達の間でも、私の存在が噂されるようになっていきます。

そして・・・。

私が降り立ってから・・・およそ30年後ほど経った頃・・・。

村人達は・・・私のために小さな社を建ててくれたのです・・・。



村人達の生活は・・・けして豊かではなかったのに・・・。

皆で頑張ってお金を集めて・・・この社を作ってくれたのです。

私は・・・皆の気持ちが心に染みて・・・とても・・・とてもありがたかった・・・。


しかも・・・。

この時に・・・ある一人の少女が・・・私にこう祈願してくれたのです。」



少女「神様!

いつまでも、ず~っとこの村にいてください!!」



安良見命「嬉しかった・・・。

この少女は自分の幸せを願うよりも・・・村人みんなのことを想って・・・こう願ってくれたのです・・・。



その少女の言葉と・・・。

その時の村人達の優しい笑顔・・・。

私は・・・ずっと忘れることはありませんでした・・・。


だから・・・これからもずっとこの人達のために・・・この村に残って力を届け続けようと・・・そう思ったのです。

その後・・・。

いろいろなことがありましたが・・・村人達は皆で力を合わせて、一つ一つの問題を解決していきました・・・。


非常に長い月日が経ち・・・。

日本は何度も戦争をしましたが・・・幸いなことに・・・いずれもこの村には大きな影響は届きませんでした・・・。

そして・・・少しずつ少しずつ・・・時は流れ・・・。




全く予想もしていなかった、”あの時”が・・・やって来たのです・・・。」


(つづく)

次の話⇒第4話


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