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沖縄を電気自動車の普及特区とする提案

■電気自動車の爆発的な普及

先日、上海モーターショーで「日本車のガラパゴス化」が鮮明にというニュースが飛び込んできた。2023年にはアメリカのEV普及率は約3.5%、中国のEV普及率は約20%になると予測されている。世界全体では、BEV(バッテリー式電気自動車)の販売が好調で、2025年には新車販売の20%を占める見込みです。欧州では、EVの販売シェアが2021年の8.3%から2023年には13%まで拡大すると予想されている。EVは売り上げが毎年ほぼ倍増、指数関数的な成長段階に入り、世界全体的にみると、2025年には新車販売の20%を占める見込みだ。

■二つの大きな問題

【航続距離・充電時間】
電気自動車の弱点は、航続距離が短く、充電に時間がかかることだ。電気自動車の航続距離は、一般的には200km~600km程度と言われている。その為、日本列島のように長い国土や、大陸のように広い地域を走行する場合、途中で何度も充電しなければならない。

【寒冷地域】
寒冷地域での電気自動車のバッテリーには、2つの問題がある。

1)外気温が低いと、充電スピードが落ちてしまう事。バッテリーの温度が低すぎると、エネルギーの一部が利用できなくなる。
2)暖房を使うと、バッテリーの減りが早くなる。消費電力が通常時の約1.5倍になることもある。

■日本の取るべき道

日本はハイブリッド車の性能が高く、電気自動車の開発・普及が出遅れている感があるが、必ずしも全ての地域で普及を促進させる事が最適解とは限らない。理由としては上記に挙げたように、寒冷地域や航続が長距離になる場合には、途中で30分もしくは1時間以上、充電の為の不便を強いられるからだ。とは言え、世界各国が普及を進めているものを、指を加えて待つだけでは、日本の自動車産業が衰退してしまう。であれば、最初からデメリットの克服出来ていない車を無理に全国展開するのではなく、電気自動車と親和性の高い地域で普及を進めれば良いのではないか。

■沖縄が最適な環境である理由

電気自動車の最大の弱点は、外気温が低いと、充電スピードが落ちてしまう事や暖房を使うとバッテリーの減りが速くなる事である。しかし沖縄は冬季においても平均気温が17度であり、車内で暖房を使うこともほぼない。その為、バッテリーが本来の力を発揮できる。

合わせて、沖縄本島は南北の距離が直線で100キロほどであり、どこに行くにも途中での充電が不要である。離島においては、さらにその傾向は強くなる。

■BEVと自動走行

電気自動車の開発は、その延長線上に自動走行の開発がある。この自動走行において一番の課題と懸念は安全性だ。東京などの都心部においては、他の自動車だけでなく、自転車や歩行者などが複雑に往来していて、AIが全てを認識して安全性と速度の問題を一挙に解決することは困難である。その点、沖縄の人口密度の低い離島などでは、事故などのリスクを低く抑える事ができる。島の人々の合意が得られれば、制限速度を低く抑える事で、そのリスクはさらに低く出来る。その上、公共交通機関の充実していない沖縄において、運転が出来ない高齢者などへの利便性を提供する事ができるなどのメリットも大きい。

【その他の問題】
車両価格が高いこと、急速充電インフラ数とその技術不足、電池の安全性。


価格、技術面、安全性については、生産を進める事で低コスト化、安全面を含めた高性能化が期待きる。
充電インフラについては、狭い地域に特化する事で、リソースの選択と集中が可能となる。

■おわりに
何にしても、始めないことには問題点も見えてこないし、問題の解決力も身につかない。かと言って、むやみに日本が現在のハイブリッド車の利点を捨てて、全国的にBEV化するのにも疑問が残る。それは先にあげた、航行距離の問題と寒冷時のバッテリーの性能の問題が未知数であるからだ。であれば、温暖で短距離の移動を主戦場とする沖縄において、開発・普及をすすめるのが得策なのではないか。2014年には、沖縄久米島で自動走行の実証実験がスタートしているそうだが、今のところ観光地の目玉商品のような、ゆっくりと走る自動走行車という形である。それとは別に、一般のガソリン車の代替としてのBEVの普及・開発を沖縄県各地で、戦略的に国家プロジェクトとして進める必要があるのはないか。このままでは、一本足打法と言われている日本の産業が、いつのまにか他国の後塵を拝し、一本足すら失うという可能性もある。考えてみると、少し前まで最先端を走っていた日本の半導体メーカーは、今では見る影もない。まだ間に合ううちに、既にリスクをとって多大の投資をして下さっているメーカー各社だけにおんぶに抱っこしてもらうのではなく、国、メーカー、沖縄県、各自治体の協力体制を築いていく必要がある。

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