進撃の巨人 最終巻を読みました
最初から最後まで胸が締め付けられるような感覚でした。
「どうして… 失う前に気付けない ものでしょうか
ただ… 損も得もなく 他者を尊ぶ気持ちに…」
キヨミが呟いたこの言葉が印象に残っています。
全世界の人々がこの気持ちを持てたら、争いも起きないのに。
本当は世の中に敵はいない。
いるのは、欲に支配されてしまった人、理想の自分になれなくて苦しむ人、過去に囚われてしまっている人、生きる意味を見失ってしまった人、子供を戦士として育ててしまう親…
争い、平和、欲、自我、以外にも壮大なテーマをいくつも掲げて、すべてが腑に落ちるようなエンディングでした…とにかくすごかった。(※ネタバレを含みます。)
最初は鬼退治みたいなストーリーを想像していた。冒頭でパラディ島を襲ってきた巨人が敵の設定で、主人公のエレンが徐々に強くなっていって、巨人を倒していくのかなと。そしたら実はエレンが巨人化できることが判明…単純な対立構造ではないんだとその時わかったけど、次から次へとリアルな人間の闇の部分を突き付けられて、目を背けたい気持ちもありながら、見事にはまっていった。
仲間を殺して裏切ったライナーを、最初は恐ろしい人だと思った。でもライナーにも守りたい人がいて、親の期待に応えたかっただけなんだと事情がわかっていくうちに、罪を背負って死に時を探していたライナーを励ましたくなった。結局誰も悪くないんだなと知る。
マーレではパラディ島の住民が悪魔と呼ばれていることに対してなんだかムカムカしていた。でもマーレに住んでる人々のことを知っていくと、それは得体の知れない巨人に対する恐怖心によって悪魔を作り上げてしまったんだと理解させられた。これも人間の心理だよね、と。そして特定の誰かが悪魔なのではなく、みんなの中に悪魔が住んでいることを気づかされる。誰もが罪を背負いながら、それでも前に進まないといけない。
ガビとファルコのことを子供だからと、大人が守ろうとするが、実は大人が思っているより二人は前を進んでいた。ガビとファルコは自分の可能性を信じて、純粋に人類を救うために巨人と戦った。大人も子供もみんながお互いに助け合って生きている。
自由になるために外の世界に出たかったエレンとアルミン。皮肉にも、自由だからこそ辛い側面がある…
他にも、愛、ジェンダー、宗教、人間の歴史など様々なテーマに触れていて、いろいろと考えさせられる内容でした。残虐的なシーンの多い漫画や映画は普段見ないのですが、進撃の巨人は最初アニメを見て、展開が気になったので途中から漫画を買って読み終えました。中途半端な状態での感想にはなってしまいましたが、今感じたことを率直に書かせていただきました。
この作品に出会えて本当に良かったです。
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