be aware of HSP
繊細さんという言葉を知ったのは、いつ頃だったか。いつの間にか本棚に入れてあった繊細さんの本を手に取り、思い出そうとしたけど、記憶をたどるのが億劫でやめてしまった。
数年前、ある俳優が自ら生きることをとめてしまった。年齢が近く、レギュラー番組もよく見ていたから、とても衝撃的な知らせだった。最初に目にしたニュースがネット上だったからか、テレビでは取り上げないような言葉も目にし、一気に落ち込んだ。
在宅勤務のさなか、ひとり自宅で落ち込む時間が増え、ふとした瞬間に泣いてしまう。ビッグファンではなかったけれど、いつも笑顔でとても柔らかい雰囲気の人だったから、どんな苦しみがあったのかと考えるだけで苦しくなった。
そういえば、何年か前にみた、出稼ぎ外国人の立てこもりのニュースで、民家の壁面に血の跡があるのを見つけた時も、あまりの生々しさに、その衝撃でしばらく落ち込んだことがあった。
そのころだった。おそらくニュース記事の合間やインスタで見かけた「HSP」の記事が気になって、色々調べて読んでいるうちに、もしやと思った。
疾患ではないから診断も受けられないらしい。自称になってしまう。ネットの診断テストで、うっかりそのつもりになってしまうことだってある。だから、きっと私も違う。違うはず。そう思って、友達にHSPについて話してみた。
その20年来の友人は、自分だと項目がひとつも当てはまらないと断言した。
正直、驚いた。みんなこう感じてるでしょ、当然でしょ。っていうか特別に項目にあげるようなことじゃないし。自分にとってはどれもデフォルト設定なんですけど、と思っていたから。
人と人とは感じ方も考え方も違う。他人の感じ方は、見えないし、自分で感じることもできない。わかっているつもりだった。
でも、わかっていなかった。考え方とか考えている事よりも、もっと感覚的な部分。ふと感じること、それすらも事細かに違うんだということ。
その友達に、あてはまらないと断言されてから、自分がこれまで感じていたことは、過剰に感じていたものなのか?どれが過剰で、どれが一般的な範囲内なのか。わからなくなった。
子供のころから「普通は~~」というフレーズがものすごくきらいだったのは、そういうことか。大抵の普通が、自分の普通とずれていたからなのかもしれない。
時代劇やサスペンスドラマの刀や拳銃のシーンで気分がわるくなったり、本音を話そうとするだけで涙が出てきたり、季節の変わり目の風の匂いに気づいて一人でテンションがあがったり、仕事場での空気感にすごく影響されたり、業務用の穴あけパンチは煩いんだからデスクじゃなくて人がいないところで使ってよって思ったり、なんでこんな誤記に気づくの?って言われて、むしろなぜ気づかない?って思ったり、お気に入りの刺繍付きハンドタオルを持って出かけるだけで嬉しかったり。
そういえば、別の友達に「簡単にハッピーになれるんだね」っていわれたことがあった。「簡単にアンハッピーにもなれるってことなんだけどね」って笑って返したけど、つまりあれもそうだったのか。
もしかしたらと思ってからは、いろんな書籍を読み漁り、ネットでもいろいろ調べて、当時はだいぶ落ち込んだ。
けど、この落ち込み方もHSP特有のものなのだろうか。と思ってるうちに、あぁぁぁぁめんどくさい!考えるのめんどくさ!ってなって、だいぶ落ち込まなくなった。
影響を受けやすいのであれば、予防しまくればいい。それでいい。この感受性の感度のせいで悩むことは確かにあったけど、このおかげで楽しめている部分や仕事に生かせている部分があることも事実。そう思ってからは、書籍も読まないようにして、あまり考えずに生きている。ノイズキャンセリング機能付きのイヤホンなんか最高ですから。
そういえば、後日、HSP項目に一切当てはまらないと断言していた友人から、人間関係に関する悩み相談を聞いていたら、それって、、、って思ったことがあった。それを察した友人はまた、私が違うと否定したけれど、なんかその最初の拒否反応もちょっとわかるなぁと思ってしまった。
彼女がそうであろうと無かろうと、きずつくことがあまりおきませんようにと願っている。
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