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映画「MINAMATA」観てきました

実はこの映画のことを前々から知っていて、観に行こうと構えていたわけでは無く、東宝シネマのマイレージの期限とか考えたときに、何か良さそうな映画は無いかな…って上映作品を探したら、この映画のタイトルが上映中作品として視界に飛び込んで来たんですね。

ジョニー・ディップはいい俳優さんだって、それはもちろん知ってはいるけれど、特別ファンということも無く、彼が出ているからと言って見に行くこともない。テレビで放映されてた「パイレーツ・オブ・カリビアン」を観たくらいで。他のはまったく観てなかったり。

親の郷里は鹿児島県ですから、熊本県はお隣の県。今は飛行機ですが、子供の頃は運賃が高額のため、帰省する際には夜行列車で一日かけての移動でした。小2の時に母と姉とで帰省した時、BOXタイプの寝台車にあと一人、同乗することになったのは、熊本県は水俣出身の女性でした。その女性とは旅は道連れと言うか、東京から長時間(東京駅を夕方発・鹿児島へは正午着)の移動を共にするため、朝になってベッドから席に戻された後、熊本での降車駅に付くまでの間、つかの間のおしゃべりをさせて頂いたと思います。(主にその女性と母との間ですが)

もちろん、水俣病のことは知っていました。ちょうどこの映画で描かれている、リアルタイムに裁判が行われている時期だったからです。でもって、あの写真も、今回映画の中で見た時、「あ…この写真、見たことある!」 と思い出しました。テレビもしくは雑誌の写真か何かで、確かに一度見たことのあるものだと、記憶が蘇りましたよ。もうずっと昔だと思うけど。

※ニュースとか新聞とか見たり読むのが好きな子供でしたので。

この頃は、ちょうどいくつもの公害問題・環境汚染・薬害が社会問題になっていました。サリドマイドの問題もちょうど私の世代です。私も母が飲んでいたならば、サリドマイドの被害にあっていたかも知れません。

イタイタイ病というのもありました。

昭和40年代には東京湾ヘドロ問題と言うのもありました。今は随分と改善されましたけど、高度成長化による工業化とゴミ問題(夢の島)で、東京湾がひどく汚染され、東京湾で取れていたアサリとか海苔などが取れなくなり、漁業が壊滅的な打撃を被った時代でした。

そんなことから、ウルトラマンでは「ヘドロ怪獣ザザーン」なんてのも生まれました。

私自身、工場の光化学スモッグが常に降り注ぐ町で育ちましたしね。同級生のほとんどが喘息持ち。気管支炎も多かった。お陰で今も咽喉が弱いです。24時間稼働する工場の灯りと、首都圏ドーナツ化現象で毎週のように転校生がやってくる光景は、日本の高度成長期の証でもあったのでしょう。

※高騰した東京の土地を売って、中心円である東京から、その周辺である千葉や埼玉や神奈川に人が広がっていくことをドーナツ化現象と呼びました。そして、地方から妻子を伴って、工場に働きに来る人達がいたことから、転校生が多かったのです。

今となっては遠い昔みたいに、オイルショックのことも、こうした公害問題とかのことも普段はすっかり忘れちゃって、文明の恩恵を目一杯楽しんでいたりするわけですが。

まだ終わってないんですよね、被害者の人たちにとっては。今も続いている問題

映画は…まあ、映画ですから、フィクションであって、史実(事実)とは異なります。実在の事件、出来事、人物を取り上げているわけだけれども。これは映画であって、ドキュメンタリーでもルポタージュでも無い。映画という作品にしている段階で、実話をテーマ(モデルケース)として脚色された、ディフォルメされた世界です。あるいは一部を切り取って題材とされただけの、アイデアの源からのインスパイア作品。

でも、映画はそれでいいのだと思います。伝記では無いし、限られた時間の枠の中で、効果的に製作者の意図するところを観客にインプットしたり、問いかけをする、思考よりも感情に訴えかける脚本や構成が、このようなテーマには効果的なわけで。

だからまあ…映画としては正解。水俣病と住民の闘い、水俣の現状やそこで起きた、すべての真実を伝えるためのドキュメンタリーでは無いから。このように見捨てられた問題が世にあることを、人々の感情、人としての良心に訴えかける作品としては良作だなって思います。

ただ、ちょっと解りにくいところがところどころありましたけどね。

それと音楽がとても良かったです。珍しく映画のことを予習しないで行ってしまったのですが、教授(坂本龍一さん)でした。私好みなはずだ。

あと、國村隼さん。熊本出身なのですね。だけど、映画の中ではチッソ(株)の社長役(ポジション的には悪役か…)。私、有楽町線の中で一度だけお見掛けしたことがあります。電車に乗ったなら、反対側にいるオジサマ二人。一人がとっても、ただものじゃない感を漂わせているオーラで。麹町で降りて行かれたけれども。

「誰だろう?この人、見たことがいるような気がするけど…解らない。思い出せない。スーツ着てるけど、リーマンには見えないよね??」と悩んだのでした。後で何かの予告編で見て、「あ、あの時のオジサマだー」と… 

長嶋茂雄さんも、手塚治虫先生も、後光が差すような圧倒的な存在感でしたが… やっぱ違うよなーって改めて思いました。

さて、この「MINAMATA」日本人なら、ぜひ観て欲しい映画です。とくにメディア関係、報道やジャーナリズム、映像やカメラの仕事をしている人にとっては観るべき映画の一つであると思うのです。映画でのこの問題の扱い方など、賛否両論はあると思いますけどね。

なんかまあ…ちょうどアメリカはベトナム戦争の真っただ中でしたが、アメリカ人のカメラマンが日本の水俣の問題を撮って、日本人のカメラマンがベトナムやカンボジアに行って… 自国の問題では無く他国の問題を取り上げて賞を取っていたりする不思議。

改めて色々な事を考えたりする今日この頃。

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で、どうでもいいんですが。東宝シンデレラ?の方のファッション。いつも思うのですが、酷すぎ。この方に似合ってないって言うか、魅力を引き出すどころか頓珍漢で、チンドン屋かよって位な、スタイルを悪く見せるコーディネイトで。スタイリストさん変えなさいよって、毎回思う。洋服が悪いのではなくて、身体の欠点をわざと目立たせるようなファッションで、可哀そうって思ったりする。髪型もね。センス悪すぎー

さてさて。予告編で見て気に入った映画がいくつかありました。アレサ・フランクリンの自伝的映画になるのかな?その「リスペクト」と、小野田さんの映画。津田さんがそっくりで、これは気になるって思いました。はい。小野田さんも横井さんもニュースにてリアルタイムで拝見した世代ですから。

あとは「カリオストロの城」も何度も見てるけど、また見たいなあって思ったのでありました。



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