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【形容詞】Take it easy.からはじまるお気楽じゃない文法の話【副詞】

山根あきらさんのこちらのnoteに触発されての投稿です。コメント欄にもお邪魔させていただきました。ありがとうございます!

実のところ、私もあまりに日常表現すぎて文法的に考えたことはなかったのですが、Take it easy.「気楽にいこう」のeasyの品詞は何なのだろう?(S)VOCのCと見立てて形容詞?それとも(S)VOMのMと見て副詞?

結論から言うと、辞書の説明によると「副詞」ということになります。

上記のようにeasyは副詞としても載っていて、その中の慣用表現として、

Take it easy.も紹介されています。

ところが、そうすると、コメント欄で山根さんも言われていた通り、なんでeasilyはダメなのか?という問題が出てきます。easilyは「簡単に」という意味で「気楽に」という意味はないとか?

4.気楽に、live easily、あるやんけ!ならそれを使えばよくない?

ということで、take it easilyが駄目な理由は文法的には特になく、単にそうは言わない、というところに落ち着くわけですね。。

ところで、この流れで私が想起した形容詞・副詞問題がありまして、それが次のフレーズ。

Think differet.

スティーブ・ジョブズありし日のAppleの有名な広告の文句です。これも辞書に載っているのですが、

副詞的に使う形容詞!?
それはもう副詞でよくない?

このdifferentとeasyとの違いを言うと、こちらはthink differentlyという言い方が存在し、むしろそちらの方が普通であること。

それでも形容詞を「副詞的に」使う用法は他にもあって、例えば、

エルビス・プレスリーの'Love Me Tender'のtenderは普通の辞書には副詞項目がないのでやはり形容詞が「副詞的に」使われていると思われます。ちなみに'Love Me Tenderly'という曲も、それはそれであるようですが。

これはどうやら学問的にはflat adverbと呼ばれる言語事象のようですね。

このWikipediaの記述は非常に興味深かったのですが、なんと歴史的には-lyなしで形容詞を副詞的に使う用法はもっとたくさんあったらしい。それを18世紀の規範文法家たちが間違いであるとレッテルを貼り、徐々に-ly型の副詞に置き換えられていったいきさつがあると。ここら辺の規範文法家の暗躍は「分離不定詞」をめぐる経緯と似ていますね。

それを考えるとスティーブ・ジョブズがThink differently.は絶対にダメでThink different.にこだわったという有名な逸話は、彼が無意識のうちに英語の原初の感覚にむしろ忠実だったことを表しているのかもしれませんね。

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