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Man the bowline! (映画『ダンケルク』より) ━英語における名詞と動詞の話

先日、Netflixでクリストファー・ノーラン監督の第二次世界大戦を舞台にした映画『ダンケルク』(2017)を観ていたのですが、

その中の残り1h34mくらいのところで、

Man the bowline!

という台詞が出てきました。

このmanは何?

bowlineというのは「もやい」という船を繋ぎとめる網のこと。

ポイントはここのman。
実はこれは動詞としての用法で「持ち場につく」といった意味があり、「もやいを解くための持ち場につけ!」ということ。映画の日本語字幕では字数も考慮して「もやいを解け!」と訳されていました。

私がこの台詞におっと思ったのは、少し前ですが、X(twitter)中心にmanの動詞用法が話題になっていたからです。以下のブログ記事でそちらの顛末がまとめられています。

『ダンケルク』のような戦争映画では普通に使われる用法のようですね!

このmanのように英語は名詞と動詞がまったく同じ形で使えるものが多いので、もともとは名詞のみだった語まで文脈によっては動詞に転用されるパターンがかなり見られる印象があります。

例えば、textは本来「文章」を意味する名詞でしたが、現在では"I'll text you the details later."のように「テキストメッセージを送る」という意味の動詞としてよく使われています。

また他にも、例えばgaslightは、普通の辞書には本来の「ガス燈」の名詞しか載っていませんが、"He is gaslighting his supporters."のように「(嘘などで)心理的に操作する」という動詞としても近年はよく使われています。これはイングリッド・バーグマン主演の映画『ガス燈』"Gaslight"(1944)から来ているとのこと。

辞書で用法を確認することの重要性とともに、そもそも英語の場合、少なからぬ名詞がまったく同じ形で動詞としても使われる特徴も知っておくと良さそうですね。name, plan, drink, dance, book, chairなどなど日常語にもとっても多いですから!

【おまけ】
そういえば「ダンケルク」'Dunkirk'の英語発音も「ダンカーク」で意外な発音地名に仲間入りです!

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