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Hello, stranger danger! ━映画『ナイヴズ・アウト: グラス・オニオン』より

Netflixでアガサ・クリスティ風のシリーズ物ミステリー映画『ナイヴズ・アウト: グラス・オニオン』を観ていたのですが、

作中前半、名探偵ブノワ・ブラン(ダニエル・クレイグ)がセレブのバーディー(ケイト・ハドソン)にはじめて声をかけられる場面で、

But you...Hello, stranger danger.

という面白い台詞が出てきました!

まず前半の'Hello, stranger'は、strangerが「見知らぬ人」という意味の名詞なので、初見だと日本人には「こんにちわ、見知らぬ人」ということで奇妙な感じのするフレーズですが、実際にはこれで「久しぶり!」という意味を表す挨拶の定型表現。

ただここでユニークなのはその後ろにdangerをつけ加えているところ。

'stranger danger'というのは試験英語ではまずお目にかからない表現ですが、「見知らぬ人は危ないよ」、ということを伝える韻を踏んだ子ども向けの標語から来ていて、それを大の大人のブノワ・ブランに向けて使うことで戯けた感じを出しているという仕組み。

But you...Hello, stranger danger.

以上の2つのニュアンス(冗談めかした警戒心?)を同時に入れた訳出はとても難しいけれど、日本語字幕では、

あらどうも、危ないストレンジャー

というよくわからないものとなっていましたが(笑)、日本語吹替では、

こちらは、危険なかおり

となっていて、これは声優の方(園崎未恵)の節回しも相俟ってなかなか雰囲気出ています!

Hello, stranger danger.

私も今度(人を見て)実際に使ってみようかな(笑)

【おまけ】
ちなみにstrangerというのは面白い語で上の「見知らぬ人」という名詞だけでなく、形容詞strange「奇妙な」の比較級でもあるんですよね。なので同じくNetflixで人気のドラマ"Stranger Things"は、こちらstrangeの比較級を使っていると。「より奇妙な出来事」。

由来としては、スティーブン・キングの小説"Needful Things"に寄せてつけたとのこと。確かに80年代テイスト全開の作風にぴったりですね!

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