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棲み分けが生み出した「分断」

つい先日、別の法人ではあるんですがよく一緒に活動をさせてもらっている法人さんと一緒にチームを組んで申請した助成金が採択されました。
5.8%という狭き門を通過したらしく、えらい事だなぁと思っています。
 
 
今回のプロジェクトは、地域福祉のプラットフォームづくりという大きな軸の中に4つのアクションを置きながら、複数の法人や個人事業主、いろんな職種の方達がチームを組んでそれらを進めていくというものです。最近時々耳にするかもしれませんが、「コレクティブ・インパクト」というやつです。
 
 
複数の主体がそれぞれの括りを越えて協働し、様々な社会課題の解決に取り組むことで集合的なインパクトを最大化する、という意味らしいです。
今までは個々の団体がそれぞれの分野の中で活動をしながら社会課題の解決に取り組んでいたわけですが、現代の社会課題というのはひどく複雑化していて、ひとつの団体だけでそれを解決することが困難になってきています。そんな中で生まれた概念がこの「コレクティブ・インパクト」だそうです。
 
 
実は僕もこの言葉、今回の助成金を申請するときに初めて耳にしました。
 
 
 
 
ただ、今回のこのプロジェクト、地域のプラットフォームを作るための取り組みではありますが、裏のテーマとして「分断」をなくしていきたい、という狙いが結構大きな目的としてあります。
 
 
 

多分元々は「棲み分け」だったんだと思います。
 
 
社会の中で生きづらさを抱えた方が生きていくために必要なのが福祉で、歴史の中では確かに一時的に社会から少し距離を置いて福祉という擁護が必要だった時期もあると思います。これはみんなが生きていくために必要な棲み分けでした。
 
 
福祉は福祉でいろんな生きづらさを抱えられた方がいる中で、必要な支援も違えば生活のフェーズも違うので、やっぱり煩雑になってしまわないように棲み分けが必要だったため、制度の中でもそれぞれの人生のステージ、必要な支援ごとに分かれていかざるを得なかったでしょう。

 
ただ段々と時代が進んでいく中で、棲み分けだったはずのものがそれぞれの分野の中で独自に成熟されていったのか、それぞれの分野の中でも新たな課題が生まれてそこに視野を向けていったせいなのか、そもそも棲み分けた事自体で生まれたものなのか分かりませんが、それぞれの場所に所属していると違う場所にいる人と関わることもなくなり、だんだんと専門特化していく中でお互いがお互いのことがだんだん見えなくなっていって、気がついたら棲み分けていただけのはずがまるで壁のようになって距離が生まれたような感覚を持っています。
 
 
つまり棲み分けではなく「分断」になってしまった、という。
 
 
 
1人の人を支援するのに、児童期は児童期の支援者がいて学童期の支援者がいて、成人期の支援者がいる。
児童期は児童期の支援をする、そこから学童期は学童期の支援をする、成人期は成人期の支援をする。ここに1人の人生を通貫するような支援になっているかというとおそらくそうではなくて、それぞれがそれぞれの専門性のみに基づいて支援をしていたりします。児童期は成人期の支援のあり方は知らない。もちろん成人期は児童期にどんな支援をどんな方針で行なってきたのか知らない、ってことは少なくないんじゃないでしょうか。
 
 
これはよくある話ですが、障害者雇用に携わっていると企業さんでも「障害を持った人と関わった事がないからどう接したらいいか分からない。」という声をよく聞きます。その方が悪いのでもなんでもなく、棲み分けた先にその存在を知ってはいても見ることも触れることもなく社会が回っているからだと思います。
これはちょっと皮肉っぽいのかもしれませんが、福祉にずっと居ると社会の動きに疎くなります。福祉の都合や理屈で社会を眺めてしまいがちになり、どこかで社会情勢の動きは自分達にはあまり関係ないように思ったりします。
 
 
そこかしこでもはや棲み分けじゃなくそれは分断だろ?と思えるような距離感を感じてしまいます。
 
 
 
ちょっと話が大きく逸れてしまったので元に戻します。
 
 
すごく根拠立てて示せるわけじゃないんですが、僕らの地域でも多分こんな分断というのは起こっていて、個人的な範囲では分野も越えて関わることはあるのかも知れませんし、単発的には異業種交流とか多職種連携みたいな機会もあるのかもしれませんが、それでも接点は少ないような気がしています。
 
 
今回のプロジェクト、というのはそれらを繋いでいきたい、という思いから発想が生まれたものでした。
 
 
障害福祉の領域がメインですが、「保護者×支援者のコミュニケーション」、「児童期×成人期の支援者のコミュニケーション」、「障害福祉×他業種のコミュニケーションとコラボレーション」、そして実際に地域社会で活躍している当事者と地域社会の接点。
大きく4つのアクションの中には、実はこんな「接点」を忍ばせています。
 
 
プロジェクトの活動そのものももちろん地域福祉のプラットフォームを具体的に構築するための施策だと自負はしているつもりですが、これは表面的なカタチだけを作れば機能するものではないと思っています。
その根底には必ずそれぞれの立場の人達がコミュニケーションを交わしながらお互いを知り合って、お互いの立場や状況を認知した先で何を生み出せるか、そこが一番重要なところなんだと思います。
 
 
多分これからプロジェクトチームで打ち合わせをしながら進めていくことになると思いますが、もちろん僕ら自体もしっかりとコミュニケーションを交わしながら、「分断」を少しずつ繋げていく気持ちを広げていかないと成功しないと思います。
 
 
ここから土台作りです。
どうなるか分かりませんが、また時々共有がてらnoteにも書いていこうと思いますので、見守ってやって下さい。そして、同じ地域の方がいらしたらぜひ声を掛けてください。
よろしくお願いします。

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