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婚活支援は「人生の質」を考え直す場だった

今年に入ってから準備を始めて、夏から「セミナー」というカタチで始まった婚活支援。
先日初めてのパーティ型のイベントを開催して、小さな規模ではありましたが無事に終わりました。
 
 
なにせ僕らも初めての取り組み。準備はしていましたが、どうなることやらと思いながら当日を迎えました。
結果として、初めてにしては多分いい出来だったと手前味噌ながら思います。まさかのマッチングも生まれたこともその場の温度感をぐっと上げたんじゃないかと思います。
 
 
今日は、婚活支援パーティというものを振り返って色んなことを感じたのでそれをまとめておきたいな、と思ったので書かせてもらいたいと思います。
 
 
 
今回の婚活パーティは、夏から今まで2回のセミナーイベントを開催してきたある種の「実践トレーニング」的な要素の強いパーティイベントでした。
夏から始めたばかりの婚活支援。まだまだ認知も低いし、参加してくださる当事者の方も当然始まったばかり。みんなで探り探りの部分はあったと思います。
 
 
 
実践トレーニング、とはいえプログラムは一般的なマッチングイベントと遜色ない構成。
おしゃれなカフェバーをお借りして、皆さんにはオシャレをして参加してもらいました。
自己紹介タイムに始まり、お互いのコミュニケーションを促進するためのゲーム、そしてフリートークの時間を設けた上でマッチング結果の発表。
 
 
あっという間の2時間でした。
 
 
最初の自己紹介タイムの頃はまだまだ参加者の方もちょっと緊張気味で、一緒に来ていた支援者さんがちょくちょくフォローしていましたが、時間を追うごとに少しずつ馴れてこられてだんだんと空気感が生まれていました。
 
 
僕は一緒に携わってくれている運営スタッフにある程度現場を委ねながら、ずっとその景色を眺めていたんです。
サボっていたわけじゃなく笑、初めて生まれたこのイベントを次につなげるために必要なエッセンスをしっかりと見て感じて拾っていくためです。
 
 
会自体の進行は元々立てていた予定通りにいくものなのか、参加者さんが困っている時の対応はどうか、参加者さんの楽しみ感は得られているのか、他の支援者さんはどんな様子でこのパーティを見守っているのか、などなど。
 
 
 
結果としては結構盛り上がって、さらにはマッチングも1組生まれ、(正直びっくりしました!)最後のアンケートや、各支援者さんからのコメントから見てもどうやらなんとか初めてのイベントとしては成功だったのかな、とは思えています。
 
 
 
そして改めてこの日を僕自身も過ごしてみて感じたことがあります。
 
 
 
 
どうやら今回参加してくださった方のほとんどは、そもそも「パーティ」というか、オシャレをして出かけることやカフェバーという場所に足を運ぶこと、イベントを楽しむことなど今回の婚活支援パーティの中に含まれているものをほとんど体験したことがなかったようです。
 
 
そりゃ緊張します。
 
 
もちろん今回のパーティのために初めてオシャレ着を買った人もいますし、改めてメイクやヘアなどを気にかけてこられた方もいます。
つまり、今までそんな機会が生活の中になかった、ということです。
 
 
婚活支援パーティそのものよりも、こういった機会自体が面白かった、という声もいくつか頂きました。
 
 
そしてもうひとつ。
 
 
これは僕も自分で実際に目の当たりにして反省したことですが、僕ら支援者自身もこういった場をやってみて改めて「リアルな体験」というものをいかに当事者の方にお渡しできていなかったか、ということです。
 
 
今回のパーティ、確かにちょこちょことサポートは必要でした。でも結果的に「オシャレなカフェバーでパートナーを見つけるためのマッチングイベント」はきちんと成立していましたし、皆さんめかしこんでプレゼントを考えて買ってこられて、楽しい時間を過ごすことができました。
そして、それは彼らの生活自体を確実に彩っていたと感じられましたし、すごく意味のある体験につながっていたと思います。
 
 
なんというか、障害があるから、ということだけではないでしょうが、こういったリアルな体験を積めていないのって、本人の問題では片付けられないことだよな、と感じたんです。
 
 
こういった体験を積むことよりも学校だったり療育だったり、福祉サービスに通うことだったり、就労のための訓練をすることだったり。
彼らの生活や人生の優先順位の上の方に、オシャレをすることや、パーティだけじゃなく飲み会とか旅行とか、そういう「人生の質」を上げるような体験をすることが来ることがなかったのはもしかしたら周りにいる僕らがそうしてきたからなのかもしれないなぁ、と考えさせられました。
 
 
もちろん、彼らが社会の中で生きていくために必要なものは確かに必要なんですが、それって僕ら自分自身に置き換えてみると随分窮屈な生活です。
楽しむことの選択肢のなさ、といえばいいでしょうか。
 
 
 
昨年からコロナのおかげで「外出自粛」「飲食店の営業の自粛」「渡航制限」「イベントの中止」など、僕らの生活の中からもいわゆる「不要不急」とされるものが一斉に断絶されました。
その時多くの方が「娯楽」とか「楽しみ」とかがない「要」で「急」ばかりの生活に心を疲弊させたと思います。
 
 
なんの楽しみもない生活に希望を見失いそうになったり、中には少し心を病んだ方もいるかも知れません。
僕らの生活や人生だって、一見なんの生産性もないかもしれない「不要不急」なものが実は人生の豊かさにつながっていたことを思い知りましたよね。
 
 
こう言ってしまうと言い過ぎなのかもしれないけれど、彼らの生活や人生もそれに近いのかもしれない、と感じます。
 
 
生きていくために、社会に適応するために、働くために、他の人と同じようにするために、「要」で「急」なことばかりに生活が埋まっていって、気がつけば休みの日はゲームをするか近くの商業施設くらいしか楽しみや遊びがなくなってしまったんじゃないかって。
 
 
 
気づかないうちに僕らが彼らからその体験の機会を奪ったり、障害があるということだけで避けさせてきてしまっていたのかなぁ、と感じました。
 
 
 
今回の婚活支援パーティは、「婚活」ということだけじゃなく彼らの人生や生活の質、というものをめちゃくちゃ考えさせられた機会だったなぁ、と個人的には思います。
それだけに余計にやってよかった、とも思えたんですけどね。
 
 
福祉の枠の中で囲った疑似体験じゃ得られないものが確実にあって、それはやっぱり限りなく「リアルな体験」の中だからこそ得られるものなんじゃないかと思います。
 
 
ちょっと大げさな話かもしれませんが、改めて僕ら支援者や福祉が、福祉の中で完結しようとするんじゃなく、社会の中に踏み出していくことの大切さを感じさせられた機会でした。
 
 
 
婚活支援プロジェクトはまだまだこれからもブラッシュアップして、いろんなリアルな体験を生み出せるようなものにしていきたいと思います。
はたらくこと、生活することも大事ですが、楽しむことを生み出せる支援にしていきたいな、とこっそりと決意を新たにした日でした。
 




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