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stainless steel

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stainless steel 2007.8.12
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過去になるこの朝

ta la la
雨は今日もどこかで降り続いて
完璧な反転を目指している

ここもきっと
明日には窮屈

ta la la
それは雁字搦めでは無い
別の場所で待ってさえいれば

いつだって
朝になる
朝だって
過去になる

こんな素晴らしい今日
真っ白なブラウスに着替えて
存在する全ての色に染まってみようか
目に映る鮮やかな全てを
拾い集めて飾り付けてみようか

ta la la la
スタッカー

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沈殿している。

あたしが思っているよりも
あたしは普通かもしれないな
あなたが思っているよりも
あたしは低俗だけれども

安心する
それが道徳的かは
今は考えない
焦燥する
それは自業自得だと
自覚している

瞬間
自分が誰だか
分からなくなった
それは
寂しい乍らも
枷が外れたような

安堵


低俗でしょう

あなたが思っているよりも
あなたは出来た人間で
あなたが思っているよりも
あたしはあなたに憧れてい

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更に鋭利に

振り返らないのは 振り返りたいから
ほんの少しの寂しさを 味って欲しいから

あなたへの言葉を発する時必ず喉にしみるから
痛みに顔を歪めているよ
あなたの嘘を感じる時必ずナイフが刺さるのは
あの頃から変わらないよ

伝えないでおくよ
病的に求めていること
気づかないで良いよ
どうせ繰り返してしまう

子どもの顔でタクシーに乗る君の
横顔を見つめたまま
僕は動けなかった

新しい君を知ることを
こんなにも嫌がる僕は
きっとみっともない人間
大人になれない僕は
君とは違う捻くれた子どもの顔

バタン

ドアが
閉じて

くしゃり

その顔
崩して

流れた涙を僕は
忘れないけれど

きっと君はあの日と同じように
きっと君は素直な子どもの心で
きっとどこかで

逃げるように進む

道が見えなくても
行く先知らなくても
片足一本
前に出せば
足は勝手に歩き出す
時計がなくても
居場所もなくても
寝て起きれば朝が来るように

rapid

“扉が閉まります”
ねえ此処から先
誰にも会いたくないなんて願い
許される?

巻き込む理由なんて無かった筈
地下鉄なんて乗り慣れている
貴方の手を煩わせない
理想のあたしでも良いけど

“駆け込み乗車はおやめ下さい”
ねえたまには
何も言わずに助けて欲しい
不可能?

連れ出すなど訳ないでしょ
地下鉄なんて乗り慣れている
ああどうしてもまだ
猶予が貰えると思ってしまう

見覚えのないあたし
見覚

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→song←

手を繋ぎ階段を降りる男女と擦れ違う
あたしはひとりですが
問題はありません強がりではありません
あたしの耳には恋人
JAZZのナンバー
トランペットに身を任せ
今夜も優しく抱いて頂戴

足音が地球を壊し乍ら勝手振る舞い
明日のあたしもひとりですが
不満などありません強がりではありません
あたしの手を取るピアノ
秘密の暗号で
安易に繋がれたい
夜が更けていく

金平糖ひとつぶ
まるで薬物
まるで幻聴

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反対

偶数で出来た身体に心臓は孤独を知っていて
何かを待っているのではないかと思う
指紋の通りに物事が進めば楽ではあるけど
誰もが途中で迷い間違えてしまう

上手くレールに乗せて行けばそれ相応
理由がないなんて理由にならないけど
生きていけないことはない
優しさ履き違えた言葉も
海まで
運んで

いつまでも貴方が正常で私が異常
それで構わない

食べかけの実

帰って来たあの音に
食べかけの実を落とした

君がなくした物を 僕が持っていたとしても
補い合うことはとうに諦めた
君は君自身を守る揺り籠に揺られて
僕はそれを遠くから見ていて

君の為の僕になれると思ったあの日の僕だって
今と同じように生きていた
今と同じ意識のラインの上で判断したこと
生きている僕が全身で感じたこと

また同じリズムに僕は取り残されて
空気も滑り込めない歪みの隙間に流されて

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非常灯

あたしの中で
いくつものスーパーボールが暴れてるみたいに
騒がしい
そんな非常ランプを隠して
冷静な顔でこの場所を歩くには

さっき買った駄菓子じゃ足りない
さっき施したメイクじゃ足りない

言葉はきっと
口に出す前は無菌室で保管されてて
音となってこの薄汚れた外気に触れた途端

嘘になってゆくんだわ
古くなってゆくんだわ

そう思わなきゃ
あたしの中で暴れるスーパーボールも
ウォータープルーフで

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stainless steel

この世の中を低空飛行
金魚鉢は砕け散り
公衆電話は繋がらない

溢れる酔生夢死を
蛍光ピンクに染めても
出力したら多分白黒

そして
蜂蜜は歌わない
青色をただ混ぜ込んでいくだけ

出来あがれば
貴方の手元へ

正解は恐らく
揺るぎないステンレス
明日も変わらぬ鈍い輝き
軽量化されたシルバーが
東京を
日本を
世界を今日も駆け抜ける

さあどうぞ
ごらんあれ