オウル市、冬のサイクリングの取り組み(2016年WWFのレポート)

フィンランドのオウル市における冬の自転車利用に関するレポートを見つけました。
ここでは、アカデミックな面に引っ張られず、ライトな感じで投稿しようかと思います。今回は2016年とやや古めのレポートですが、とてもまとまっていて、最初には馴染みやすいかと思いましたのでシェアします。

概要

フィンランド北部の海岸に位置するオウル市は、 20万人弱の人々が住んでいます。
冬の気温は-40℃まで下がることもあるが、人口の12%以上が冬にサイクリングをし、年間平均では22%にもなります。
これは、全長613kmの広大なサイクリングロード網が四季を通じて整備されているためです。
この都市における自転車利用率は、スコットランド(現在、自転車での移動はわずか1.4%)を大きく上回り、同規模の都市であるアバディーンの44倍にもなるとのことです。

目的

オウル市の自転車インフラ整備は、1970年代の計画決定後、1980年代に開始されました。
それ以来、年間平均17kmのサイクリングロードを整備し、職場、お店、レジャーをつなぐことに注力しています。
このインフラ計画は当初、寒冷地や凍結した路面において自転車での移動に消極的であることに取り組むことを目的としていました。
フィンランドが実施した冬のサイクリング調査によると、冬にサイクリングをしない理由のトップは、寒さと滑りやすい路面であることがわかりました。
しかし、冬のサイクリングを可能にする一番の理由は、整備が行き届いていることでした。

活動内容

サイクルネットワークは、サイクリストと歩行者のために、家庭と職場、学校、買い物などの目的地を結び、短距離を移動するための最も迅速で便利な方法を提供することが多いです。
このネットワークは、道路網から分離され、道路を横断するための300の安全な場所を含んでいます。
都市の高いモーダルシェアを確保するために重要なのは、このネットワークの維持。冬には、ネットワークの98%が整備され、道路より先によくサイクリングロードの雪が取り除かれることがあります。
現在の活動としては、サイクリングルートプランナー、年間を通じてのサイクリングをさらに増やすための冬のサイクリング開発計画、サイクリングと健康に関する新しいビジネス機会の創出、オウル市での冬のサイクリングに関する地元・国内・海外の認知度向上などがあります。

メリット

フィンランドの冬のサイクリング調査では、サイクリングロードの整備が進んでから、冬のサイクリング率が25%増加したことを報告。13歳から17歳のほぼ半数が主な交通手段として自転車を利用し、高齢者の多くが年間を通じてサイクリングを楽しんでいます。研究によると、成人中期に定期的に自転車を利用する人は、通常10歳若い人と同等のフィットネスレベルを持ち、平均寿命が2年延びるとされています。2010年以降、オウル市の炭素排出量は約2.2MtCO2eから2014年には1.5MtCO2eと約3分の1に減少。この削減の多くは電力部門によるものだが、運輸部門からの排出量も着実に減少しています。

Timo Perälä(オウル市、ウィンターサイクリング連盟創設者)
「冬になるとサイクリングをやめる人たちは、安全なインフラがないこと、冬のメンテナンスがないことの2点を最も重要な障害として挙げている。適切なサイクリングインフラと冬のメンテナンスがなければ、一年を通してサイクリングをすることはエクストリームスポーツになってしまう。冬のメンテナンスに投資することで、オウルでは冬のサイクリストの数が25%増加しました」

以上です。
私も似たような寒冷地で暮らしていますが、冬のサイクリング率を高める要因は、整備が整うこと。これは直感的にも体感的にもよくわかりますね。健康や環境にも効果的な自転車。冬にも可能なものにできれば健康寿命にも大きく寄与すると思います。また、ヨーロッパのどこの国かはど忘れしましたが、信号待ちの間に、ボランティアの人が自転車の点検をしてくれたりするそうです。

オウル市の最近の報告にはどのようなものがあるかとても興味ありますので、改めて調べてからまたシェアしようかと思います。

参考資料URL https://www.wwf.org.uk/sites/default/files/2016-12/Finland%20case%20study%20-%20active%20travel.pdf


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