好きでもないのに振り回されて。【前半】
大学1年生の夏、サークルで女の先輩に言われた。
「今彼氏いなくても大丈夫!2年になったらみんなできるから~」
「みんな」なわけないじゃん。
と思ったが、まあ彼氏持ちの女子は増えるんだろうなと思った。
そんな私に2年生の春、彼氏ができるかもしれないチャンスが訪れた。
サークルの先輩がどうやら私に好意を持っているらしい。
話した回数は少ないけど、授業や大学生活についていろいろなことを教えてくれる先輩で、常々良い先輩だな~と思っていた人だ。
おうち時間で作った手作りお菓子をインスタのストーリーに載せたら、DMで反応が来た。
そこから、ずっと会話が続いた。
というより終わらせたくても終われなかった。
先輩が話を続けようとしてくるから。
他愛もない話の中で、先輩は、私の人柄をほめてくれた。
真面目で、一生懸命で、頑張り屋。
そういうところが好きだと言ってくれた。
数えるほどしか話したことが無いのに私の何を知っているんだろうと思った。先輩が私を恋愛対象として見ていることがひしひしと伝わってきて嫌だった。
ほめられるのは嬉しかったが、私は先輩のことを恋愛的な意味で好きとは思えなかった。
ただ先輩後輩として仲良くしたいとだけ思っていた。
夏になり、ご飯に行こうと言われた。
会話の流れでそうなることは予想できたけど、私は何かと理由を付けて断った。
こちらに気が無いのに変に期待させるようなことをしてはいけないと思ったからだ。
ご飯に行くだけなら友達でもよくあることだから、先輩後輩として行けば良い。
だけど、YESと言ったら先輩のむき出しの好意に応えることになってしまうのではないかと思ったのだ。
私と先輩の互いに対する気持ちには、とても大きな差を感じた。
それでも先輩はしつこく誘ってきた。
これは私が行くと言うまでメッセージを送り続けてくるだろうなと思ったら面倒くさくて、私は折れた。
1回だけ、その日だけであとは会わないと決めた。
約束の日が近づいてくるたび、私は憂鬱だった。
何でわざわざ安くない交通費をかけてまで好きでもない人と会わないといけないんだろう。
この頃には、私は先輩として仲良くしたいとも思わなくなっていた。
一刻も早く私から離れてほしい。
そう思っていた。
今振り返ると、我ながらひどい人間だ。
きっと、恋人ができる人はこんなこと思わないだろう。
とりあえず会ってみたら良い人かもしれないし楽しもう~
くらいに考えてニコニコお話できるんだろう。
そんな簡単なこともできない私自身のことも嫌になってきた。
なぜできないのか。
恋愛経験が少ないからだろうか。
自分に自信が持てないからだろうか。
人として何か欠けてるんじゃないか。
どれも正解かもしれないしどれも不正解かもしれない。
考えても考えても答えは出なかった。
後半はこちら。