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好きでもないのに振り回されて。【後半】

前半はこちら。


当日は、「私はあなたには脈がないですよ」を全身で表して過ごした。

先輩には申し訳ないけれど、これで完全に諦めてもらいたかった。

会話は話しかけられなきゃ話さないし、広げない。

笑顔も極力見せない。

スマホを出すのは流石に気がひけたので控えたが、

カフェやカラオケに誘われても断って、早く帰りたいアピールをした。

改めて振り返ってみても、自分は最低な人間だと思う。

でも、当時は精神的にも追い詰められていて、こうでもしないと相手が離れてくれないと思っていた。


解散して、一応お礼LINEを送ったら向こうからも返信が来た。

でも、そのあとは連絡がぱったり来なくなった。

良かった、終わった。

連絡が来るたびイライラしていた私の気持ちはだんだんと落ち着いていった。


ご飯に行ってからたったの1週間後。

先輩は、明らかに女の子と飲みに行っているであろう写真を

インスタのストーリーにあげていた。

いわゆる匂わせだ。

あれは女友達などではないと直感した。

その後、その人は先輩の新しい彼女であることがわかった。


ストーリーを見た瞬間、私は何とも言えない感覚になった。

脱力感、怒り、諦めともまた違う。

でも、大学生ってこんなものかと思った。

たくさんのDMで送ってきた

「特別だよ」「〇〇ちゃん(私の名前)以外連絡取ってる人いない」

は全部嘘だったんだ。

そりゃそうだ。

誰かの「特別」「1番」になることってそんなに簡単なことじゃない。

だからこそ、本当の「特別」に出会ったとき、心が通じたときの感動は計り知れないのだろう。


先輩のことを好きだと思ったことは一度もない。

ずっと私を好きでいてほしかったわけでもない。

そもそも私のことが本当に好きだったかどうかも今となっては怪しいけれど。

ただそんな人に精神を振り回された自分が

情けなくて情けなくて、無性に腹が立った

特別感を出すテクニックもわかっていたけど、

もしかしたら本気なのかもしれないと思ってしまった。

ちょっとほめられたからって舞い上がって、

でもそのしつこさにうんざりして。

先輩だからメッセージを無視するのは失礼だと思って

精神を削りながら考えた文面もバカバカしくて仕方がなかった。


好きじゃなくても自分を大切にしてくれる人なら付き合ってみるという選択肢もあった。


2年になったら彼氏ができると笑っていたあの女の先輩の通りになるかもしれないチャンスを私は自分から手放した

先輩の言う「みんな」にはなれなかった。

でも、後悔はしていない。

今は、大切な友達と定期的に遊び、オンラインの授業を受けて、家でまったり過ごす日々。

精神的にも体力的にも穏やかで幸せだ。

私は私らしく、これからも自分のペースで生きていきたい。