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食品業界から林業会社に転職。その時の悩み・きっかけと1年経って思うこと。

林業会社に転職しようと考えている人、どのくらいいるんだろう?
今回は、林業とは無縁の人間が食品業界から転職し、これまでに感じてきたことをつらつら書いてみる。同じように別業界からの転職で、悩んでいる人の参考になれば嬉しいし、少しでも前に進むきっかけになればと思う。

【なぜ転職を決意したのか】

まず先に前職の話を少しだけ。

僕の前職はキッコーマンという日本ではお馴染みの醤油の会社。会社では色んなブランドを持っていて、僕が関わっていたのはデルモンテブランドの飲料関連。11年間で研究→営業→商品企画・マーケティングと部署を渡り歩き、最後5年間はプロダクト開発から損益管理まで結構責任ある仕事を任せてもらっていたと思う。

仕事も楽しいことが多かった。特に最後の商品企画・マーケティングの部署では、会社全体を見渡すことができるようにもなって、とても良い経験を積ませてもらったなぁと、本当に感謝するばかり。
組織体質への不満はゼロではなかったけど、職場の仲間も気のいい人達ばかりだったし、やり甲斐も感じてはいた。

じゃあなんで転職を考えたのか・・・。

転職に悩む人、世の中に無数にいると思う。理由も人それぞれだけど、キャリアアップをしたい、給料をあげたい、会社や上司に不満がある、体質に合わない、などなど。

僕の場合は、大量生産・大量消費という構造への違和感と、使いきれなかった原料や、売り切れなかった商品を「廃棄・廉売する」というボタンを自分が押さなければいけない心苦しさだった。

商品の欠品が起こらないように原料も余裕を持って買い付け、商品が予測より売れなかった場合に余って廃棄・廉売することは、少なからずメーカーでは起こっている。ちゃんと需要予測の精度を高めろよ、と思う人もいるかもしれないが、100%当てることなんて多分できないし、そもそも欠品が許されず、ペナルティなんてものが課せられたりする業界構造にも問題はあったと思う。

まあ言い訳と言えば、これも言い訳でしかないんだけど。。
でもこのボタンを押す作業。自分にとっては本当にきつかった。どうにもできないもどかしさと、自分の無力さ。何やってんだろうという感覚。

そしていざ原料廃棄をするとなった時に強く感じたことがある。それは原料を作ってくれた農家さんたちに申し訳ない気持ちがあるにもかかわらず、その人たちの事を知らなかった恥ずかしさ、そしてご飯に困っている人達がいる中、なんで捨ててるんだろうという後ろめたさだ。

結局廃棄はしてしまったけど、これを「仕方ない」で済ませてはいけなかったと今では本当に思う。業界が違っても同じ経験した人、多いんじゃないかな。食品じゃなくてもありうる問題だし。僕と同じように「廃棄」というボタンを押して、悩んだことのある人もいると思う。

でもこの経験をきっかけに、自分の中での違和感は加速し、人との繋がりだったり、生産や消費のあり方について考えることが増えた。あるものを無駄なく使い、持続可能な消費をするスタイルが必ずあるはず。そんな風に思うようになっていった。

【林業界を目指した理由】

廃棄問題で色々と悩み始めた頃、国内では台風や豪雨での災害が増え、たくさんの被災者が出た。2018年の西日本豪雨、2019年の千葉の台風、2020年の熊本豪雨。

元々登山や自然が好きで、環境問題にも興味があったこともあるが、連続した豪雨などの被害を見て、地球環境大丈夫なのか?と本当に心配になった。

じゃあ今の自分に何ができるのか。。
自然の中で仕事をしながら、環境問題に貢献できることがしたい。そう思い、自ずと林業についても勉強するようになった。

でもそこで目にしたのは、「林業界は斜陽産業で、労働人口も減少、補助金がないと成り立たない」そんな情報ばっかり。
この状態で林業現場に自分が行っても、やりたい方向性で貢献することは難しいかもと思いつつ、でも林業で採用募集のかかっている企業を探し続けた。

【注目していた企業からまさかの募集が!】

半ば探すのも諦めていた中、ほとんど開いていなかったtwitterをたまたま開いたら、注目していた林業会社からいきなり採用募集のお知らせがあった。
それが今いる「東京チェンソーズ」。

六次産業化をしていて、事業も多様。ここなら自分の経験を活かしながら環境問題に絶対貢献できるし、林業の業界を少しでも面白くできるかも!
そして会社の掲げる「木を1本まるごと活用する」と言う概念は、転職の時に考えた無駄なく使い、持続可能な消費をするスタイルとピッタリだった。

もうこれは何かの縁だと信じ、採用募集がかかってから1週間以内に書類を書き上げ、すぐに応募。熱意が伝わったのかはわからないけど、最終的に採用をしてもらうことができた。

【転職して思うこと】

今は本当に林業界、そして東京チェンソーズに転職できて良かったと思う。正直、給与はかなり減ったけど、そんなところに全くの後悔を感じないくらい仕事が充実している。

補助金に頼らない林業の形を模索し、「1本まるごと販売」「森デリバリー」など関われる事業の幅も広い。事業が始まったばかりということもあるけど、自分が蓄積してきたマーケティングの知識も活かせる。現場から販売まで一貫した考えのもとで会社も動く。だから本当に仕事が楽しい。

そして転職してから、「持続可能な〜」という言葉の本質的な意味をよく考えるようになった。字面で書くことと、本質的に捉えることはまるで違う

林業で例えると、間伐して山を整備した。これで終われば別に持続可能ではないし、山の価値も上がっていかない。山と人が関わり、活用されるところまで含めてデザインしていくことが、これからの林業には必要なんだと思う。

補助金を当てにするのではなく、山を活かすことで経済的にも自立できるようにならないと、産業全体が良くならないと思うし、だからこそ色んな方法で林業の自立を目指す企業が増えてほしいと思う。

僕も東京チェンソーズをその成功事例にできるように、とにかく行動し、発信していきたい。まあ何がどこで引っかかるかわからないけど、考えて行動に移すことがベンチャーでは本当に大切。

多分失敗することなんて山ほど出てくるだろうけど、失敗したら修正すればいいだけの話。とにかくみんなが楽しく山に関われる方法をどんどん考えていけたらなーと思ってます。


結構長く書いちゃいました。
最後まで読んでくれた皆様、ありがとうございます。
これからまた少しずつ書いていくので、末長くお付き合いください。

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