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【音楽活動レポ】2024年1−7月の音楽活動報告 op.9

こんにちは、あるいはこんばんは。ベルギーはやっと夏らしくなってきたここ最近、どうやら日本はとてつもない猛暑のようですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

この記事を読んでくださる方の中にはご存知ない方もいらっしゃると思うので、少しだけ説明させて下さい。
私は現在、ベルギーの音楽大学の修士課程で勉強していますが、昨年の8月ごろに学士課程を修了し修士課程へ進学するタイミングで家庭の経済的問題が発覚、一時は完全帰国になるかも、という状況になりました。その時に、個人的な事情ではありますが学費支援を募るクラウドファンディングを立ち上げ、有難いことにたくさんの方からの温かいご支援をいただきました。そのような甲斐もあり、今年一年はなんとか学費の目処が立ちまして、勉強を続けることができています。この記事は、クラウドファンディング、または個人的に様々な形で支援して下さった方への活動報告を目的としています。(英語版も後日投稿予定です。)
前回の記録はこちら
クラウドファンディングについての記事もぜひ読んでみてください。

1月

前期試験

1月は恒例、大学の試験シーズン。
私の大学では、学士1年と修士2年以外は実技試験が後期しかありません。そのため、今年は座学系の試験が一つと、論文の中間報告、そして室内楽試験のみだったので、昨年までに比べればとても気が楽でした。もう学士課程は二度とやりたくない、少なくとも海外では。笑

室内楽試験は学士2年以上は学年関係なく、年間最大3グループ組んで試験を受けることができます。今シーズン、私はギターとのデュオ、ヴァイオリンカルテット、そして後述しますがピアノ五重奏を組んでました。

ギターの子はリトアニア人の留学生で昨年から組んでおり、今年は少しチャレンジングなレパートリーを選んだこともあって、より一段とお互い成長できたかなと思います。お互いどんな音楽にしていきたいかが明確にあって、それを割と遠慮せずに言い合えるし、意見のすり合わせも必要な部分は譲り合えたので、とても居心地の良い関係でした。あとなんと言っても彼の人柄が良い。笑

ヴァイオリンカルテットは私と同じ先生のクラスのメンバーで組んでました。スペイン人留学生の二人は去年からの付き合いで、もう一人のベルギー人の子は別の学校からエラスムスで半年間だけ来てる子でしたが、とても仲良くなれて嬉しかったです。そしてこちらも、メンバーみんな人柄が良すぎてとても恵まれてました。人間力って本当に大事。

おかげさまで、どちらのグループも高得点をいただくことができて、今後のモチベーションにつながりました。


2月

Brussels Philharmonic Orchestra

昨年からご縁があって乗せてもらっているオーケストラのコンサートでした。余談ですが、実はブリュッセルにはBrussels Philharmonicというプロオケがありまして、それとよく間違えられることがあるのですが、残念ながら違います。なんでこんな紛らわしいネーミングにしたんや。(両者ともにな。)

それは置いといて、2月のコンサートではシベリウスのヴァイオリン協奏曲をやりました。まさかこんな早いタイミングでシベリウスのオケパートを弾けるとは思わず。(ちなみにチャイコフスキーはオケもソロも未履修です。いい加減弾きたい。)リハーサルもコンサートも終始ニヤニヤしながら弾いてました。私めっちゃ不審者。

後半のメインプログラムはグリーグのペールギュント第1・第2組曲。実はこれにはちょっとした思い出(?)がありまして、昔ヴァイオリンを初めてまだ1年にも満たない頃、福岡のミュージックフェスティバルでアマチュア誰でも参加できるみたいなオーケストラに参加して、そのときのプログラムにこのペールギュントから「山の魔王の宮殿にて」が入ってました。当時始めたての赤子レベルだったのでこれが全く弾けず、終わった後も悔しくてずっと記憶に残ってました。これでリベンジ達成(?)ということで。


3月

LUCA Philharmonic


さて、3月は我が大学のプロジェクトウィーク②。そして今年は大学の伝統芸能(?)、ヨハネ受難曲をやる年でもあったので、結果的に4日連続本番とかいう、プロ奏者でも絶対1日休演日あるやろと言いたくなるスケジュールで死にかけましたがなんとか耐えました。大学側よ、2年後はもう少し余裕のあるスケジュールでリハーサルとコンサートを組んであげてほしい。両プロジェクト乗り番の人たち、みんなグッタリだったから。

というわけで、まずはLUCA Philharmonicから。私は今年度、副専攻としてヴィオラを取っていたのですが、その関係でPhilharmonicプロジェクトはヴィオラで乗ることに。そしてなぜかヨハネもヴィオラで乗りました。私副科なのに!両プロジェクト乗り番になってしまったので、その代わりPhilharmonicプロジェクトはメインのブラームスの交響曲第4番だけ弾きました。

ブラームスの4番のシンフォニーは日本でもベルギーに来てからも演奏する機会があり、今回でまさかの1stヴァイオリン、2ndヴァイオリン、ヴィオラパート全てコンプリートしました。ですのでブラ4やる時に人が足りません!という場合は上記3パートどれでも弾けるので、ぜひお申し付けくださいませ。笑
今回ヴィオラでオケに参加してみて思ったのは、弾いてることは地味であまり目立たないのにあんまり休みがないこと。こうしてみると、ヴァイオリンってラクだなと思いました。曲にもよるとは思いますが、ヴィオラパートがこんなにもブラックだったとは……。ヴィオラパートさん、いつもありがとうございます。

プログラムの他2曲はドビュッシーの牧神の午後への前奏曲と、ストラヴィンスキーのプルチネッラ。私は他の降り番の子たちと客席で聞いていたのですが、どちらも各パートトップのソロが素晴らしかったです!ブラボー!

Johannes Passion

私の通う大学の名物コンサート、2年に1回のバッハのヨハネ受難曲。前回の学部生の時は合唱で参加だったのですが、今回満を時してオーケストラで参加できたので嬉しかったです。ヴィオラだったけど。

オーケストラのリハーサル自体は3月のプロジェクト週間のみで、合唱の時よりは良かったのですが、なんせPhilharmonicプロジェクトとの掛け持ちだったせいで、本当に朝早くから夜遅くまでリハーサル、みたいなのが2週間くらい続きました。期間中によく身体壊さなかったなと思います。

ヨハネをやる時に嬉しいのは、普段あんまりお目にかかれない楽器が来ること。ヴィオラ・ダ・ガンバとかテオルボとか、バロックやってないとそうそう会えないし、また至近距離で聴く機会もあまりないので、自分のパートが休みの時は聴き入ってました。リュートはいいぞ。
そんなこんなで、LUCA Philharmonic 1公演、ヨハネ受難曲3公演を無事に走り抜けられました!


4月

Koinonia Orchestra of Europe

友人からの誘いで参加したオケ。バロック・古典作品を中心としたプログラムで、フィルハーモニーオケとはまた違った楽しみや発見があって良い経験になりました。あと何気にハイドン先生の交響曲初めて弾いた。
モーツァルトのハープとフルートのための協奏曲も弾いたのですが、あまりない組み合わせでとても新鮮でした。
そして、パリでもコンサートしました。人生初パリだったにも関わらず、全くパリらしさ感じることなく終了。笑
色々と良い経験になりました。

Brussels Philharmonic Orchestra

約2ヶ月に一度のコンサート、今回はチェロとピアノのソリストをお招きしてのコンサートでした。
プログラムのメインはメンデルスゾーンの交響曲4番〈イタリア〉でした。メンデルスゾーンの曲はどれ弾いてもなんだか忙しなくって息苦しさを感じるのはナゼ。


5月・6月

後期試験

5月は試験期間だったのと諸事情により主だったコンサートなどはありませんでした。
後期試験は前期試験よりも期間が長く、大抵6月中旬ごろまであります。後期は全学年実技試験があるので、みんな必死に練習しているのが各階の練習室から聞こえてくるのですが、試験期間終盤になるとだんだんと聞こえてくる練習の音が減っていき、結構メンタルにきます(今回は自分の実技試験が一番最後だったので)。

まずは室内楽試験から。
後期はピアノ五重奏のみでしたが、プログラムが結構ハードだったため、一つに絞っておいて正解でした。学年度のはじめ、仲良くなったヴァイオリンの子に誘われたのがきっかけで誕生したクインテット。このクインテットについては後日別記事にちゃんと書こうと思います。メンバーはみんなベルギー以外の国からの留学生で、人柄の良い人たち。私はつくづく人に恵まれているなぁと感じています。
ずっと弾いてみたかったシューマンのピアノ五重奏をこのメンバーで弾くことができたのは、何よりも幸せでした。先生方からの評価もありがたいことにとても良く、私は結果的に前後期ともに室内楽試験の点数が今までで一番良かったです。

最後は、実技試験。
学士3年と修士2年以外は一人25−30分演奏します。さすがにもう慣れましたが、最初の頃はそんなに長くソロの本番を弾いたことがなく(それまではだいたいMax15分くらいだった)、結構メンタル的にも体力的にもキツかったのですが、さすがにもう慣れました。
今年の試験ではモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第4番から第1楽章と、シベリウスのヴァイオリン協奏曲から第1楽章を弾きました。
ジュリーの先生からもとても良いフィードバックをいただくことができ、去年より成長できたと個人的に感じられるところもあって、また頑張っていこうと思いました。

Brussels Philharmonic Orchestra

6月のコンサートはフランスものを集めたプログラム。ドビュッシーの牧神の午後への前奏曲、ラヴェルのピアノ協奏曲、プーランクのシンフォニエッタ、どれも楽しかったです。特にラヴェルとプーランクはなかなか弾く機会も少ないので、今回のコンサートで弾けてとても嬉しかったです。
あとドビュッシーは両ヴァイオリンパートコンプリートしました。笑


Choir Concertでのゲスト演奏

メンバーと終演後のレセプションにて。


こちらはクインテットのメンバーが持ってきてくれた仕事で、ゲストとしてシューマンのピアノ五重奏曲を演奏しました。試験後にも再び弾ける機会があって嬉しかったです。
終演後のレセプションで、たくさんのお客様から温かいお言葉をかけていただき、改めて音楽やってて良かったなあと心から思いました。


7月

オーケストラアカデミーのオーディション

初めてオーディションを受けてきました。残念な結果ではありましたが、得るものも多かったです。オーディションについては別記事に書いてますので、そちらもお読みいただけると嬉しいです。

おわりに

2023−2024シーズン、無事にヨーロッパで終えられたことにホッとしています。1年前の夏以来、やはりお金のことやこの先の進路のこと、家族との関係、私を助けてくれる友人知人に何も返せていないことへのやるせなさ、本当の自分はどこで誰とどんな生き方をしたいのかなどなど、考えすぎてしまって目の前のことに向き合えず、精神的に病んでしまう日々もありました(今もたまにあります)。それでも、今年一年をまた無事に終えられたのは、やはり遠くから支えてくれる家族や、ヴァイオリンの先生をはじめヨーロッパで出会った人々にずっと支えられてこそだと思っています。本当に感謝してもしきれません。来期も経済的な面では今のところ危険信号が立ってますが、来年度が最終学年で5年近く頑張ってきたので、なんとかもう一年踏ん張ってきちんと修士課程を修了したいのが今一番の望みです。

今年も昨年のようにまたクラウドファンディングを立ち上げるのかは、今のところ未定です。できれば、もうしなくて済むことを願ってますが。
長文を最後までお読みいただき、ありがとうございました。また半年後に活動報告が書けますように!

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