見出し画像

県知事賞だった「私の読書論」きっと本が読みたくなーる💫

これは私が高校3年生の頃に書いた作文である。学校の夏休みの課題だった。確か、文字活字コンクールだったと思う。

ある本との思い出を書いているのだが、今読み直しても感嘆してしまう。正直、今でもこれは超えられないくらいの傑作だと思う。自分で読んでも本が読みたくなるし、実際に新聞を読んだ人から高校宛てに「本の名前を教えてください」と手紙が来たくらいだ。本の名前はハッシュタグで明かそうと思う。

読書の良さをもっと伝えたくてここに再掲する。
そして素晴らしい本や文章を届けてくれる、作家さん、編集者さん、出版社さん、本屋さん、noteの皆さんに感謝します。


私の読書論

私はあまり図書館に行かない。あるこだわりがあって、今から読むその本にとって私が1番に本をめくる人でいたいのだ。だから私と本が出会う場所はいつも本屋である。そしてもう一つ、私は物語や小説はあまり読まない。実用書や哲学のような本にばかり惹かれるからあまり縁がない。難しい本が好きとかそう言うわけではない。私にとって本を読む行為は筆者との対話であるからそのような本ばかり手にとってしまうのだと思う。

私はいつも直感で本を選ぶ。題名とカバーだけで選んでしまうのがほとんどだが、失敗したことはない。本はいつも必要な時に私に出会ってくれている。出会ったら大体どんない分厚い本でもその日のうちに読んでしまう。時には6時間程ぶっ通しで読んだこともあった。それでも読み終わった時にしか時間がだいぶ経っていたことに気づかないのだから、本当に筆者のところまで行って対話を楽しんでいたのではないかと思うこともある。そして、読み終えるとその本を本棚に飾るまでが読書だと思っている。カラフルな本の背表紙が並ぶ部屋は私にとってとても居心地が良い。

忙しい日々を過ごしていると、時にやる気がそこを突いてしまうことがある。そんな時の私の打開策が読書である。本がどうしようもなく読みたくなる時はストレスが溜まっている時なんだと最近気がついた。私は人に甘えるのが苦手であるし、自分の気持ちを整理するのに時間がかかって結局言い出せないことも多々ある。そんな時、本はいつも私の話し相手になってくれ、何時間でもたくさんの複雑な感情ととことん向き合ってくれる。

私は今まで何度も本に救われてきたが、その中で今でも熱く心に残っている本がある。中学2年の秋だった。本屋の最前列にあるその本の題名に思わず足を止めた。その頃部活内で人間関係のトラブルがあった私は自己嫌悪に陥っていた。その本は私の痛いところを突いてきたり、空いていた穴を埋めてくれたりした。あるいは絶対に納得できないところもあった。私は険しい顔になって筆者に反論したり、頷いたり涙が浮かんできたり、つい口元を緩めたりしながら一枚ずつページをめくる。ページをめくる時の音と感触は私の気持ちを盛り上げる。読み終わるととても清々しい気分だった。その本を通しての対話は私に一歩を踏み出す勇気を与えてくれた。読む前まで持っていた悩みがとても小さなものになっていた。今でもその本は本棚の一番上の右隅にたてられている。私は苦しいときや心を引き締めたいときにその本を読むため、今ではもう5回程通読している。この本との出会いに心から感謝している。

読書をしていて私が一番好きな瞬間は本を読み終わって顔を上げる瞬間だ。その時世界は皮が一枚むけたように新しくなっている。幻覚とかなどではなくて、気持ち次第で世界はどうにだって変えられる。私は本を読むたびに新しい見方を手に入れることができる。本が与えてくれるのは知識だけではない。本は私たちに会話の擬似体験を与え、次の行動へ向かう私たちの背中を押してくれる。

今年、私は受験生になった。だから読書は控えようと思う、と言うとでも思っただろうか。そんなことは絶対にあり得ない。受験勉強では辛いことがたくさんあるからこそ、私は本なしでは合格まで走りきることはできないだろう。私にとって本が勉強の邪魔になることはない。前に述べた通り本は会うべきときに出会ってくれる。辛いとき、やる気が尽きてしまったとき読書をしてリフレッシュしながら前に進んでいこうと思う。

最後に、私はたくさんの人に読書の良さを伝えたい。ネット社会となった現代ではインスタグラムの「いいね」に代表されるような周りからの評価を気にしすぎて苦しむ人がたくさんいる。スマホを持つその手で一冊の本を手にとってみて欲しい。本屋に出向けば必ず今の自分にピッタリの本が待ってくれているはずだ。私は読書とは本を通した筆者との対話であると言ったが、本当は自分自身との対話であるのかもしれない。周囲の評価に過敏になっている心を読書を通して内に向けてみると、読み終わってから必ず世界が一変している。その感動は読書でしか味わうことができないのだ。

さあ次はどんな対話を繰り広げようか。対戦相手を探すように私は次の本へと手を伸ばす。


#嫌われる勇気 #読書 #作文 #本 #好き

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?