見出し画像

不整脈の種類と重症度スペクトラム(独断と偏見)①

 出ました、独断と偏見シリーズ!だけど現場で役立つ自信はメチャメチャありますので最後までお付き合いください!

まずはこの図を「じっくり」見て解釈してみてください!

スクリーンショット 2021-06-25 8.48.03

ちゃんと「にらめっこ」できましたか?

 2年目の研修医くらいであれば、自分で解釈して人に説明できるところまで読み込むことができると思います。「もう少し」この下の文章を読む前に、我慢してじっくり図とにらめっこしてほしいと思います。その方が、「絶対」タメになります!

 また循環器病棟に勤める3年目以上くらいの看護師さんにも、「あー、なんとなくそういうことが言いたいのね」と思えるところまでにらめっこしてみてほしいなと思います。

この図を現場教育で役立ててほしい!

 僕の理想としている光景は、「3年目以上の中堅看護師さんが、1-2年目の後輩指導にこの図を役立ててくれている」です。
 もしくは、2年目研修医が1年目研修医にこの図を使って「キモ」を伝えている姿も見てみたいなと思っています。

スクリーンショット 2021-06-25 9.10.22

図の見方 (縦軸 = 患者さんの様子・重症度)

 シチュエーションとしては、病棟で心電図モニターのついた患者さんの「頻脈アラームが鳴っ」て、患者さんの様子を確認しに行った」という場面です。もう一度図を出して説明しましょう。

スクリーンショット 2021-06-25 8.48.03

 まず、横軸が、「モニターを見てざっくり分かる心電図波形の種類」です。モニター上のアラームが鳴って、波形を確認。不整脈であれば、横軸のどの不整脈か、「ざっくり」アタリを付けて患者さんを見に行くでしょう(この横軸については後で説明しましょう)。

 ベッドサイドで感じ取る(もしくは診察により分かる)患者さんの重症度が縦軸です。
 ざっくり「生きているかどうか」「重症そう?軽症そう?」は分かるでしょうし、患者さんに「胸がどきどきする感じとか、重苦しい感じはありませんか?」と聞けば「症状があるのかないのか(はっきりしないか)」もわかりますね。それくらい「まずはザックリ」確認しましょう。とりあえず、血圧測定でもしながら患者さんと会話しましょう。

縦軸の「精度」は、ざっくりで良い

 患者さんを見に行ったときに、重症の徴候がないかをチェックしていきます(慣れたら「感じる」ことができるはずです)。

① CPAかどうか?
 まず無意識に判断するのが「生きているか、CPA(心肺停止)か?ですね」。息をしていて、開眼していて、話しかけに反応するかどうか。当たり前ですが、我々は無意識にそういうことをして相手の状態を確認していますよね。

② ショックかどうか?プレショックかどうか?
 勘が鋭くなってくると「あれ、顔色が白いな、じんわり汗をかいてるな」「しんどそうだな」「ちょっと無理してそうだな」「やたら生あくびしてるな」みたいなことも無意識に感じ取ることができるでしょう。これは「プレショック」もしくは「ショック」の状態かもしれません。「一人で対応しないほうが良さそうだな」と感じ取ってください。

③ 症状があるか?
 患者さんがケロッとしていて、のどかな雰囲気で血圧を測定しながら会話できるようなら、まずは急ぎません。(あなたが)落ち着きましょう。そして症状の有無を聞きましょう。
 ここまでくれば、あとは大事なのは、「症状に困っているかどうか?」です。
 「ドキドキ?たしかに、言われてみればするかもなぁ」というレベルの人もいますね。夜中であれば、「無症状でグースカ寝ている」のか、「ドキドキ発作が強くて起きちゃった」のか?によっても対応が違います。

④ 軽症そうで無症状(というか患者さん自身が「他人ごと」)
 もし患者さんがケロッとしていて無症状なら、様子観察で良い可能性はグッと高まりますね。

横軸の『精度(解像度)』は「慣れに応じて」で良い

 モニターをどこまで短時間で判断できるか、というのはかなり慣れに左右されると思います。
 たとえば、慣れた看護師さんなら、遠目にモニターを見ただけでざっくりアタリをつけてしまうかもしれません。パッと見て、いきなり患者さんのところにいって、普通に会話して戻ってくる。もちろん、厳密にわからないことは多いですから、12誘導心電図などで答え合わせは必要でしょう。でも、モニターだけ見て、「narrowだな、wideだな」くらいは分かるでしょうし、「初心者はその程度の理解から」で良いでしょう

モニター波形は「細かい分類より、現場で必要な分類を!」

 極論、初心者にはこの表がこう見えていても良いのではないでしょうか?

スクリーンショット 2021-06-25 9.47.59

 つまり、一年目の医療従事者が、「モニターをみて、いつもとぜんぜん違う波形じゃん!」と思って患者さんを見に行ったら、「めっちゃしんどそうで、よくわかんないけどヤバそうだった」んで助けてくださいとあなたのもとへ駆けつけてきた(左上のエリア)とします。「でかした!」という感じですよね?

 逆に、一年目の医療従事者が、「モニターをみて、いつもの波形でタキってるだけだな」と判断し、患者さんのところにいって、「やっぱりヤバくはなさそうだ」と確認して落ち着いて対応できた(右下のエリア)らどうでしょうか?あなたの業務負担はかなりラクになりますよね。
 例えば、ちょっとあなたの仕事が落ち着いたタイミングで後輩からこう相談される感じでしょう。「○○号室の□□さん、10時くらいからHR120の頻脈でアラームが鳴っていて、ご本人はちょっとドキドキするかな程度で自覚していてケロッとしていて、血圧もあまり変わりなくて元気そうでした。心電図とったんですが、主治医に報告したほうが良いですか?」という感じ。これなら、あなたも落ち着いて方針を相談してあげれますよね?(一年目の4-7月くらいの新米看護師がここまで「デキ」てしまうと逆に「この子は危ない」と怖がられるかもしれませんが(笑))

この表から初心者がまず学ぶことは2つ!

① 波形に関係なく患者さんがヤバそうならすぐ誰かに報告

② 波形がヤバそうなら、患者さんの状態に関わらずとりあえずまず報告

 様子を見ても良いのは、「波形もヤバそうじゃなく」、「患者さんもヤバそうじゃない」とき(表の右下)だけです。とはいっても、実際にはそういうケースが多いですね。

 あと、表で左下とか右上のエリアのことってあんまりないんですよね(実はそのあたりのニュアンスも、この図では伝えているつもりです)。

 今日は「初学者への指導」編でした。では、次回から、この表の細かいところに踏み込んでいきましょう!ベテランにとっても学ぶことがある内容になっていきますよ!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?