見出し画像

日本ワイナリー巡り 甲斐ワイナリー【山梨県甲州市】

仕事で新プロジェクトが立ち上がり、落ち着かなかった秋。
ワイナリーの収穫祭などに行ってみたいと思いつつ、予定が合わず見送った。

師走に入り、合間を縫ってワイナリーに行こうと決断。
週末にワイナリー見学の予約を入れた。


塩山へ

特急かいじで山梨に向かう。
今年、かいじやあずさに乗るのは、4月、9月に続いて、今月で3回。
本を読んでいるうちに、あっという間に塩山えんざんへ到着。

勝沼ぶどう郷駅には何度か降りたことがあるが、その隣の塩山駅で降車するのは初めて。
北口から出ると、目の前に古民家が。

甘草屋敷

江戸時代に、薬用植物である甘草かんぞうを幕府に納品していた高野家の母屋。
甘草屋敷かんぞうやしきと呼ばれ、重要文化財に指定されている。

土間の奥には広い畳敷きの座敷。
太い大黒柱の上には2階があり、登ってみるとお蚕さんの解説がある。
勝沼のあたりから長野、群馬まで、かつて養蚕が盛んだった。

この一つ一つのマス目に蚕が繭を作ったそう

現在は、果物やワインの産地になっているところも多い。

ほうとうランチ

駅の南側へ10分程移動。
山梨の郷土料理「ほうとう」のお店へ。

甲州ほうとう 完熟屋 本店

古民家を改装した店舗。
11時半過ぎに席は7割ほど埋まっており、その後も続々と来店者があり、30分後には満席になった様子。

古民家を改装して吹き抜けになっている部分も

ほうとうを注文して暫し待つ。
メニューには、ここにしかないという地ワインがあり、まわりではビールやもつ煮を注文している人も。
とはいえ、これから試飲する予定なので、アルコールはやめておく。

十数分でほうとう到着。

鶏肉ほうとう

鉄鍋で煮込まれた熱々のほうとうは、具沢山で美味しそう。
具材は、山菜、きのこ、キクラゲ、白菜、大根、人参、カボチャ、油揚げ、ネギ、鶏肉。

「辛みのある特製の薬味をスープにとかして、お召し上がりください」とすすめられる。

特製の「すりだね」

お椀に、この特製「すりだね」を入れ、スープで軽くとかしてほうとうをよそう。

野菜と出汁の旨味がほうとうにしみていて、カボチャの甘味と薬味の辛いニュアンスがよく合う。
ほうとうって、こんなに美味しかったのか。
アツアツでボリュームのあるほうとうを堪能。

気づくといい時間に。
ワイナリー見学の開始時間に向けて、急いで店を出た。

甲斐ワイナリー

Google mapでルート案内してもらって、12:57にワイナリーに到着。
見学3分前にギリギリ間に合った。

甲斐ワイナリー
こちらの建物も重要文化財

ほどなく、見学開始。
以下、記憶をたよりに綴ってみる。

若手の男性スタッフの方が、甲斐ワイナリーでは、甲州、メルロー、そして、バルベーラを栽培してワインを造っていると教えてくれる。

主に北イタリアで栽培されているバルベーラの栽培は、日本国内ではとても珍しい。

畑に向かいつつ、母屋を振り返る。
さすが、日本酒蔵から代々続いてきたワイナリー。
独特のレトロな雰囲気がある。

畑側からの母屋

甲斐ワイナリーは、かつて日本酒を製造していたが、ワインをつくり始めてから、現社長で3代目とのこと。

甲州の棚栽培の畑、
奥にバルベーラの垣根栽培の様子がうっすら見える

ブドウ畑の棚の下で、甲州というブドウ品種の特徴や、枝の長さや剪定方法、草生栽培などについてわかりやすく教えてもらう。
1本の樹が棚として広がる面積の広さや、枝の伸び方を実感。

これくらいの大きさの畑が全部で6箇所ほどあり、そこを4人で協力して栽培・醸造などを行っているそう。
実際にワインづくりに関わっているからこそ、何を大事にしているか、どこがポイントなのかを自分の言葉で語ってくれた。

今年のブドウの出来を尋ねると、晴天が多く雨が少なくて、とてもよかったそうで、これから2年熟成するメルローは、特に楽しみとのこと。

その後、醸造所に向かい、実際に機械やタンクを見ながら、ワインの作り方を説明してくれた。
とても厳しい基準で選果せんかをしていること、衛生管理を徹底していてタンクは消毒して一滴も水がない状態にすること、かつて日本酒を作っていた頃の酵母が入り込む隙はないこと。

一方で、かつての日本酒蔵だった名残はあり、ワインを熟成させる酒蔵は日本酒を製造していた頃からの歴史があり、分厚い土壁と二重屋根のおかげで、空調を入れなくても蔵内は夏でも涼しいそう。

そして、飲み疲れしない、エレガントなワインづくりを目指していること。

最後に、試飲をさせてもらった。

かざま甲州辛口 2022など

白、ロゼ、赤に加えて、おまけで2023年の甲州の新酒も味見させてもらった。
いずれもクリアな印象で、選果にこだわっているという、先ほどの説明が思い出される。
また、メルローとバルベーラをブレンドした珍しいロゼは、メルローのベリー系の香りとバルベーラの酸味が効いているという特徴を実感。
これらの試飲を含めて、見学ツアーは1人1,000円。

見学が終了し、どのワインを連れて帰ろうかと考える。
醸造長が社長に黙って作ったものの結果的に美味しくて商品化されたという逸話のある「かざま甲州SurLieシュールリー」の2022年と、メルローとバルベーラがブレンドされた赤ワイン「キュベかざまファミリーリザーブ」の2019年を購入することにした。

かざま甲州SurLie 2022
キュベかざまファミリーリザーブ 2019
(自宅で撮影)

ふと気づくと13:45ほどに。
見学中は話に集中、試飲中も香りや味わいに集中して、撮影を忘れ、時間の経過を忘れていた。

次のワイナリー見学は14時から。
慌ててタクシーを呼んでもらう。

甲斐ワイナリーでの滞在時間は約1時間だったが、濃い時間だった。
小規模ワイナリーならではの良さ、距離感の近さや個性が感じられた。
もっと時間があったら、通りかかった風間かざま社長らしき方やお子さんとも話してみたかった。

また、ワイナリーのカフェ「古壺ここ」も良さそうだった。
カフェ限定で提供しているスパークリングワインもあり、塩山駅から徒歩十数分ほどの距離にあるので、比較的アクセスもしやすい。

甲斐ワイナリーのカフェ 古壺

想像以上に印象的で再訪したいワイナリーとなった。

次に向かうのは、全く違うタイプのワイナリー。
この続きは、また次回に。

今回もお読みいただきありがとうございました🍷

この記事が参加している募集

ご当地グルメ

休日のすごし方

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?