ビーフシチューとアマローネ ~日伊の料理とワイン⑥ヴェネトの赤ワイン~
秋が深まり冬がやってくると、飲みたくなるイタリアの赤ワインがある。
それはヴェネト州の「アマローネ」や「ヴァルポリチェッラ・リパッソ」。
凝縮感のある赤ワインが好きな方におススメ。
ヴェネト州のアマローネ
「アマローネ」は陰干ししたブドウからつくられる、ヴェネト州の高級ワイン。
濃厚で香りが豊か、チョコレートのような苦みもあるワイン。
イタリア語の「アマーロ」=「苦い」から由来する「アマローネ」と呼ばれる。
その「アマローネ」のブドウの搾りかすを加えてワインを再発酵させたのが「ヴァルポリチェッラ・リパッソ」で、「アマローネ」に近い甘やかで香り高いワインになる。
「リパッソ」は「元に戻す」という意味で、搾りかすを再びワインに戻すことから、このように呼ばれているよう。
「アマローネ」は3~4ヶ月かけて陰干したブドウから作られ、量が多く作れないため高価になるが、それでも「バローロ」や「ブルネッロ」に比べると控えめ。
「ヴァルポリチェッラ・リパッソ」は、さらに手頃にいただける。
今シーズン、購入したのはこちら。
このワイナリー「テヌータ・サン・アントニオ」は、ヴェネト州のヴェローナとヴェネツィアの中間あたりに所在し、4人兄弟が栽培・醸造・マーケティングを分担している。
夏ワインとして、ソアーヴェも紹介したワイナリー。
アマローネのブドウ品種は、コルヴィーナ、ロンディネッラ、クロアティーナ、オゼレータの4種類。
価格は酒屋で7,000円ほど。
さて、このワインにどんな料理を合わせようか。
アマローネは濃厚だが、いわゆるボルドーワインのようなカベルネ・ソーヴィニヨンのフルボディよりはタンニンが滑らかで柔らかい。
ガッツリと肉々しいステーキより、煮込み料理に合うのではないか。
久しぶりにビーフシチューを作ろう。
ビーフシチュー
肉が柔らかく煮込まれて、野菜がゴロっと入ったシチューをイメージして、食材を準備。
牛肉(煮込み用)、玉ねぎ、人参、ブラウンマッシュルーム、赤ワイン、デミグラスソースなどを用意。
いざ調理開始。
牛肉を煮込む前の炒め方については、以前ペポーゾを作った時のレシピに、焼き目をつけるだけではなく、肉に味がしみ込む準備ができるまで炒めることが大切とあった。
牛肉を炒めていると肉汁が出てくるが、その後、肉から水分が出て肉汁をまた吸うようになると、フライパンの底の液体が透明になってくる。
そこまで炒めてから、ローリエを加え、赤ワインをカップ2杯ほど入れる。
玉ねぎと肉と赤ワインを鍋で煮込むと、いい香りがキッチンに充満!
煮込み料理では、美味しい香りが漂うこの過程が、ほっこりと冬らしくていい。
鍋を弱火にかけ10~15分おきに様子を見て、水分が少なくなっていたら、水を足す。
鍋の蓋をあける度に、肉が少しずつ柔らかく、玉ねぎが溶けていくのがわかる。
2時間ほど経ってから、輪切りにした人参、半分に切ったブラウンマッシュルーム、デミグラスソースも加えて、さらに20分ほど煮込んで完成。
実食!
肉はトロリと柔らかく「飲み物」1歩手前で、よく味がしみている。
大きめの人参やマッシュルームは、よい存在感。
ワインはやや濃いガーネット。ブラックチェリーや干し葡萄の香り、プラムのような果実の凝縮感があり、タンニンは滑らか、ボディは重い(アルコール度15%)が上品な印象。わずかにクローブのようなスパイスの香り、余韻にチョコレートのような苦味も。
シチューとワインを合わせてみる。
赤ワインの風味をまとった肉と玉ねぎが溶け込んだシチューに、干し葡萄の風味のワインが良く合う。
冬らしい重さのある組み合わせ。
クリスマスシーズンのはじまりを感じる。
シチューに添えた、パン屋の「キノコのフォカッチャ」や「フロマージュパン」も、アマローネによく合った。
美味しかった過去ワイン
その他、ここ数年で美味しいと思った「アマローネ」「ヴァルポリチェッラ・リパッソ」のアプリ記録はこちら。
いずれもイタリアワイン専門店でいただいた。
興味のある方、年末年始の集まりなどに合わせてアマローネやヴァルポリチェッラ・リパッソはいかが?
🍷 🎄 🍷
クリスマスあたりに煮込み料理をする余裕がなさそうだったので、フライングでクリスマスっぽい料理とワインの組み合わせを楽しみました。
シュトーレンも、近所のパン屋さんで購入したので、これから少しずついただきます。
どうぞよいクリスマスシーズンをお過ごし下さい。
今回もお読みいただきありがとうございました🍷
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