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DATE SEVEN伊達セブン2015「美酒七色に輝いて」

言わば伝説の始まりの存在と称しても過言ではないでしょう。宮城県の7つの酒蔵の代表が一年のうちに一度だけ集合して共同でSakeを造る、そのような夢のコラボレーションのファーストリリース作品が2015年7月7日、宮城県にちなんで七夕の日に御披露目されました。その宮城県の7蔵とは、ア順の銘柄名で

「あたごのまつ・伯楽星」
「勝山」
「黄金澤・橘屋」
「墨廼江」
「萩の鶴・日輪田」
「宮寒梅」
「山和・わしが國」

です。いずれも宮城県の地酒として日本全国に求められる銘柄達で、時には世界各地に出荷されるものも。それらが、当時の時勢を鑑みつつ、嗜好品の造り手として更なる高みを目指して、その前年2014年に世界一の日本酒の出品数を誇るとされる品評会SAKE COMPETITIONにて純米大吟醸部門第一位を獲得した「山和・わしが國」醸造元の山和酒造店さんに集ったのでした。7蔵の代表がそれぞれに意見を上げたり技術の披露をしつつ各醸造工程を担当して、最終的には全体をホストの蔵元がまとめる訳でして、山和酒造店さんの代表であった伊藤大祐さん(当時専務取締役)とリリース直後に会話した際に、

先輩方や後輩達と共に初めて一つの作品を手掛ける訳なので、緊張感ある中、うちに可能な限り出来る事はしました

と仰ったのがとても印象的でした。その「DATE SEVEN」プロジェクトもいよいよ2021年まもなく一つのサイクルを終える最終作をリリースする予定です。それに先駆けまして、この処女作の封を開けました。。。


実は、そもそもこのSakeには熟成のポテンシャルを感じていました。宮城県が誇る原料の酒造好適米(醸造用玄米)である蔵の華は、タイトな、硬い酒質になりやすい傾向にありまして、それを33%という高精米で仕上げた為に非常に淡麗な味わいとなっていました。宮城県産酒はスッキリ純米と評されるようなスタイルがありますのでそれを突き詰めたという印象がリリース当時ありましたけども、そこに熟成の魅力が加味されたら・・・と考えるのがソムリエといいますか流通の人間の腕の見せ所です。0~5度の冷蔵温度帯で六年もの月日を熟成させました。

まず色調は六年の時間を感じさせないほどにクリスタル。おそらく高精米であるのと雑味を出さない事に長ける山和酒造店さんの技量によるものでしょう(今回の場合は雑味要素と通ずる褐変化する成分が巧みに抑えられている)。ほのかにエッジが琥珀色。またアロマもとても穏やか。ローレルや松葉など植物を思わせるニュアンスが上品に薫り、スミレや餅粉、そしてローストナッツもヒントに。何と言っても味わいに唯一無二のものがあります。熟成に耐え得る酒質から生まれる官能的なビターさはエスプレッソを連想しつつ、そこには米と丁寧な醸造による旨味がありバランス感がとても見事です。ボルドーワインの大古酒にも通ずる貴賓とでも言えるオーラがあります。余韻では程よくそのビターの香味が10~20秒くらい楽しめて、夜が深まる頃がよく似合います。


よって、どちらかといえばワインラヴァーの方々にお奨めします。枯れた風合いの味わいに大きな価値をお楽しみいただけるかと思うのです。もちろん自分がサーヴできるシーンでは左党の方々にもその価値を120%お伝え致します。ペアリングは宮城県産鹿肉のグリルが最上級かと思われ、カツオのたたき、山菜やキノコの天婦羅、もしくは長期熟成のハードタイプのチーズなど、至福のひと時をお過ごし出来るでしょう♪

≪DATE SEVEN エピソードⅠ 純米大吟醸 宮城県産蔵の華33%精米2015六年熟成≫

株式会社山和酒造店-宮城県加美町 ※7蔵の共同醸造におけるホスト蔵

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