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大分トリニータはクソッタレが原動力。強さんからのギフトにスタジアムが心震わせた日

2019年11月2日、昭和電工ドーム大分では明治安田J1第30節・大分トリニータ対FC東京が開催されました。その試合前に、トリニータのファンやサポーターたちへ向けて、サプライズなプレゼントが!

そうです。8月10日、明治安田J1第22節、ヴィッセル神戸戦の日にスタジアムライブを開いてくださったアーティストの #強 さん。

その強さんが、スタジアムライブでも聴かせてくださった曲『クソッタレが原動力』の、なんと「大分トリニータver.」を作ってくださったのです!

ドームの大型ヴィジョンから流れはじめた突然のプレゼントに、トリサポのみなさんは騒然。そして釘付け。

もともとこの『クソッタレが原動力』は、現・浦和レッズ所属の岩波拓也選手のリオ五輪応援歌として生まれた曲でした。

その頑張る人に寄り添う歌詞、励ますように背を押してくれる歌声が、岩波選手のみならず多くのJリーガーをはじめとするアスリートたちに愛されるようになり、トリニータの選手たちの間にも広がっていきました。現・清水エスパルス所属の福森直也選手が車で聴いていたのがきっかけで、伊佐耕平選手がハマり、伊佐選手がロッカールームやトレーニングルームで流しているのを聴いて、岩田智輝選手や岡野洵選手がハマり。前田凌佑選手はヴィッセル神戸所属時代に岩波選手バージョンのリリースに立ち会っていて、現・ヴィッセル神戸所属の藤本憲明選手はご家族と強さんとの個人的なつながりもあったりと、それはもうものすごい浸透力。

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そしてこの曲は、ここまでトリニータの歩んできた日々と歌詞との親和性によって、トリサポの心をもガッチリと掴みます。少ない予算で頑張って成長してきたクラブ。そうそうたるJ1のビッグクラブに果敢に立ち向かい、一度はカップ戦タイトルも獲ったチーム。ところがクラブの経営難で存続の危機に陥り、J2にも降格。地方自治体やサポーターから支援金を募り、J1昇格プレーオフでJ1復帰&リーグからの借入金返済を同時にこなすという離れ業を演じて喝采を浴びたのも束の間、まさかの戦績不振でJ3転落。その奈落の底からコツコツと新たなスタイルを築きながら4年かけてJ1まで這い上がり、今季も相変わらずリーグ最少予算で頑張っているトリニータ。

まさに「クソッタレ」な思いをバネにして、現在がある。そしてそれは、ピッチで戦う選手たちだけでなく、雨の日も風の日も遠いアウェイまでも応援に駆けつけ、街頭募金に立ったりもしながら、幾度も挫折と歓喜の瞬間を味わってきたサポーターたちも、身体レベルで知っていることなのです。

そんなふうに俺たちは間違いなくクソッタレが原動力。「今に見てろ」という思いに背中を押されながら虎視眈々と靴紐を結んできた仲間たちだから、神戸戦の日のスタジアムで『クソッタレが原動力』を聴いたとき「これ俺たちの歌やん!」と勝手に思ったサポーターが続出したのは運命的な必然だったのだと思います。

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そんなサポーターたちの思いを汲んでくださったのでしょうか。

9月、強さんから「恩返し企画準備中!」との一報が入りました。送られてきたのはレコーディング風景の写真と、歌詞カードの一部。歌詞カードはところどころ赤い文字で記されていました。

これは…!!

2015年J3降格の屈辱、そこから這い上がってきたトリニータのことが歌詞に織り込まれている! 思わず鳥肌が立ちました。

そして10月初旬、届けられた音源。これは心震える。

さて、どうやって公開しましょうか、とクラブと強さんの事務所とプロモーションの会社が話し合った結果、わたしがオフィシャル有料コンテンツで制作している「トリテンTV」の特別版としてPVを作れと指令が下りました。

きゃー。責任重大。

あらためて何度も音源を聴き、イメージしながら、スライドショーのようにシンプルに写真を並べていこうと決めました。2015年J2・J3入れ替え戦以後、今季に至るまでの試合写真を中心に、メリハリをつけて強さんのライブ写真を散りばめながら。

写真素材はたいへん贅沢です。

関西を拠点に普段はガンバ大阪の遠藤保仁選手のポートレートなどを手がけている「OTSUKEMONO」さんによる、強さんの8月のライブの様子。ファンやサポーターとの記念写真もそうです。

それから、長年にわたりトリニータのオフィシャルカメラマンを務められているお二方による試合写真。主にホームゲームは「スタジオシーン」の安藤隆さん、アウェイゲームはワタナベエリさんの手によるものです。戦う選手たちの表情や試合の迫力が生々しく伝わってくるものばかりで、使う写真を選ぶために見返していると、いつの記憶も鮮やかに蘇ってきます。

J3降格時のことを歌った2コーラス目からは、それに合わせて過去の写真を並べました。入れ替え戦の風景。そこから、2016年J3、2017年と2018年J2、J1昇格と時系列をたどりながら、その当時に在籍した選手たちの写真も、歌詞に重ねて。

だってこの歌は間違いなくクソッタレが原動力なトリニータの、前を向いて歩んできた日々そのものだったから。そしてその風景の中にいた誰一人として欠けては現在がない選手たちだから。

強さんのそんな思いを伝えられるように、カメラマンたちのとらえた瞬間を蘇らせるように。そうやって編集して、こんなPVに仕上がりました。

本当はもっともっと入れたい選手があったのだけど、写真がなかったり、あっても入りきれなかったりしたのが無念です。

歌詞だけでなく、アレンジも岩波バージョンとは違っていますので、是非聴き比べてみてくださいね。

で、この反響が、予想以上にすごかった。

並べていたら、キリがないんだけれども。

そして、この歌に励まされたトリニータは優勝争い中の強豪FC東京をなぎ倒…すことはできず、地力の差を見せつけられるように0−2で敗れたのですが。でも、この第30節の結果をもって、今季目標としてきたJ1残留を勝ち取ることができました。これまたいかにもクソッタレな展開でしょ(笑)。

その後、強さんからのメッセージも、追って届きました。

いや、いきなりスタジアムDJのMC MAXネタから入るかー!!(笑)

…ね。歌詞をたどってくれる口調からも、そこに込められた思いが伝わってくるよね。

強さんありがとう。トリニータをずっと取材し続けてきた身としても、これは本当にうれしくて。また是非、来年の夏? 昭和電工ドーム大分にいらしてください。みんなで大合唱しましょう。だからオカジュンも千葉に帰っちゃダメだよ(笑)。

これからも俺たちはクソッタレが原動力。圧倒的感謝!!

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