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怒涛の連戦からのリーグ再開で感じた戸惑いと喜びと、そしてこの先への希望

7月4日にJ1が再開されて、いきなりの3連戦。わたしが取材している大分トリニータは、ホーム鳥栖戦、アウェイ広島戦、ホーム神戸戦を戦って2勝1分でした。中断前に比べて新戦力がよりフィットしたことが確認できたりひさしぶりにメンバー入りした選手が変わらずいいプレーを見せてくれたりと収穫の多い3戦でしたが、とにかく疲れました…。3戦のうち2戦はホームで、アウェイも広島まで車で往復というスケジュールにしてこの疲労感。イレギュラーな中断からの過密日程でコンディションの再調整が必要なのは番記者もチームと同じらしいです。

再開幕という感じで単純に書くものも多かったのですが、新型コロナウイルス感染対策が厳重に施されたJリーグのプロトコルを遵守するために膨大な資料を読んだり毎日検温して問診票に記入したり、取材も申請から当日の動線、オンライン記者会見のありようまでと、あらゆる面で通常とは異なることだらけで、そういうところでの疲労も重なったのかもしれません。

それでも最初の2戦のリモートマッチ、そして3戦目の入場者数制限付きのゲームは、それぞれに特殊な状況ならではの難しさと、それをクラブやチームとファン、サポーターがともに乗り越えようとする心の動きが見えた、貴重な機会でもありました。

このあたり、クラブ公式メディア「トリテン」のマッチレポートも御覧いただければと思います。

次第に環境から試合内容へと記事の比重も変わっていく感じ。この「特殊な状況」に慣れながら、少しずつでも日常を取り戻していく流れが、自ずと表れてくるのかなと思います。

試合後のオンライン記者会見では案の定、戸惑うべき状況続出。クラブごとに少しずつ対応に差異があるため、「あ、質問しそこなった…!」と呆然とすることもあったし、限られた時間の中で空気を読まずにいくつも質問する他社の記者にみんながイライラしてる空気が記者席中に蔓延することもあったし。それは極端な例としても、現地に来ていない記者も同じ内容のネタを得ることが出来るこのオンライン記者会見方式では、自社媒体が他社と差をつけることが出来ません。同じ内容で同じ分量のネタを、どういう切り口でどのくらいの濃度とボリュームにして伝えるかというところで、記者の力量が問われるだけの勝負になります。それも殺伐としている。どのメディアもコロナ禍の影響でシャレにならないほどの窮状を強いられているので、みんなが目の色を変えるのも仕方ないことなのですが。

それでも、試合を取材できることは喜びでしかありません。縦パスやサイドチェンジや裏抜けやシュート、ひとつひとつのプレーに感嘆したり、5枚に増えている交代枠を試合の流れの中でどう使うのかと息を詰めて見守ったりと、サッカーはなんて奥深いスポーツなんだろうと、4ヶ月間もそれを失っていただけに、あらためて認識を深くしました。

いや、本当に大変だったんですよこの中断は。エルゴラも頑張ってます。ここは鹿島担当のゲルさんのツイートをお借りしよう。

まあ、ここからも過密日程で大変なんですけどね。体力的にもそうだけど他にもいろいろと。こうなることはわかっていたから経費はちゃんとプールしといたんだけど、7月はアウェイ3試合、8月はアウェイ4試合と遠征費用がとんでもないことに。いつも自慢できるレベルの貧乏出張ですが、それでも今月の経費の引き落とし額、1ヶ月ぶんの収入とほぼ同額ですよ…orz

でも、知るかぎりで同業者に廃業する人が出なかったのは本当によかったと思ってます。いやマジでそういうレベルだった。

そしてクラブも入場料収入激減で苦しい中、初のクラウドファンディングに踏み切るなど新しい試みもスタートしています。トリテンで、大分FCのクラファンチーム精鋭4人にお話を聞きました。動画からも、チームを支えるスタッフたちの熱い思いを感じ取っていただけたら。

今週末はアウェイでガンバ大阪戦です。パナスタ行きます。その後はホーム名古屋戦を挟んでまたアウェイで清水戦。今度はアウェイ2戦の3連戦だから、前回以上にハードそう。勝っても負けても記事を書くテンションは変わらないけど、移動疲れは勝ったほうがずっと軽く感じるので、チームのみなさん是非勝ってください。期待してます。

あと、しばらくnote更新できなかったのは再開幕から連戦の流れで死んでたばかりではなく。3月の発売予定が延期されていたこちらを進めていたからでもありました。ようやく7月30日発売。

企画段階からもう本当にいろんな紆余曲折があって、何度も「いやもう書きません。白紙に戻してください」と編集Tに訴えた、そんなことも乗り越えて(乗り越えたのは主に編集Tのほうなのか…?)陽の目を見る一冊。前作のこちらとはまた少し違う角度から掘り下げています。

前作は、出版社の自社広告によるとこんな感じ。

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今回は、『監督・片野坂知宏のすべて』的な一冊で、戦術や采配、チームマネジメントといったテーマにそって、それを裏付けるエピソードや裏話などをまとめました。4シーズンの指揮ぶりと、5年目の新型コロナウイルス禍という霹靂。

まだまだ未熟なわたしではありますが、カタさん就任以来、全試合を現地で取材しているという自負がある。どんだけ大変でも必ず現地へ取材に行く運動量でいろいろと足りないものを補う、ハードワーク型ライター(自虐)。

本当はこの状況下で試合後の取材も記者会見のみになるところを、カタさんのご厚意により、オフィシャル枠として記者会見後に特別にコメントをいただくことも許されました。こちらは月額330円の有料コンテンツになりますが、是非ともトリテンでご堪能ください。よりディープかつ本音に近いかたちで、指揮官の試合評を垣間見ていただけます。

最後になりましたが、このたびの豪雨災害で被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。亡くなられた方には深くご冥福を。どうか一日も早くこの雨が止み、晴れ間とともにかけがえのない日常が戻ってきますように。


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