見出し画像

いまこの状況だから気づく「好きから生まれるちから」と日々の積み重ねの浸透

2月27日、とうとう全国の小中学校と高校までが一斉休校の方向に。新型コロナウイルス感染対策はますますものものしく、深刻な雰囲気になってまいりました。

報道陣もシャットアウト。コンテンツどうする!?

25日のJリーグ開催延期決定を受けて一般の方々はしばらく練習見学中止となり、翌日はメディアのみグラウンド立ち入りOKということで取材には行けたんだけど、その日をかぎりに報道陣もシャットアウトに。とりあえず取材できたチームの予定と監督の囲み取材をクラブオフィシャルコンテンツ「トリテン」でお届けしています。囲み取材のほうは無料公開。

こういう状況なので練習取材も出来ず、しかし月額330円の有料コンテンツなので相応の情報をお届けしなくてはなりません。電話取材とかビデオ電話インタビューとかなら許可してもらえないかと交渉中ですが、どうなるか。

エルゴラ編集部が編み出した苦肉の策!

サッカー専門新聞「エルゴラッソ」編集部も大わらわです。試合が開催されないので試合まわりのプレビューやレポートが掲載できません。それでもサッカーファンにさみしい思いはさせないように通常どおり週3回の発行は続けると、まずはわれわれ番記者のもとへ編集部からの連絡が届きました。

でも紙面どうする? なにしろ取材が出来ません。エルゴラの最大の魅力は、各チームの番記者がグラウンドに足繁く通う取材力。それを封じられてしまった以上、次の手を考えねば…でも、締切は刻々と迫りくる!

そんな中、編集部から28日発売号の原稿依頼メールが届きました。送信タイムスタンプは02/26/3:43。うわあ大変だ、こんな深夜まで企画練ってたんだな…と思いつつ開いてみて、思わず声が出た。

開幕前の恒例企画、番記者たちによる順位予想。今季もやったんですが、ルヴァンカップとリーグの開幕戦を終えたところでシーズンは中断に。というわけで、開幕2試合を終えての感触をもとに「変えるならいまだ!!」と順位を再予想。こんな企画を出してくるなんて…追い詰められると人は天才になるのです。編集部3150。

無観客試合ならぬ、無試合観客…!?

サポーターたちも、楽しみにしていた試合が延期になって拍子抜け。しかし気落ちしたままの彼らではありません。試合開始(予定だった)2時間前。

ツイッターで唐突にはじまった「エアルヴァン杯」。スターターはトリニータサポーターの「ふぉれ」さんです。トリサポにとっては公式戦2連敗状態で迎える、今季最初のホームゲームのはずだったのです。

これに続いてまずはふぉれさん周辺のトリサポたちが、続いて対戦相手のガンバサポのみなさんが、次々にエア観戦に参加。ピッチ内アップにはじまりキックオフ、そして生々しい試合展開。

白熱のスタジアム、あるいはスカパー!、さらにはタイムラインでのエア観戦。そのほぼすべてのツイートを、waserin12さんがまとめてくださったのがこちら。

その中からひとつの世界線にそって、ドメサカブログさんが一試合にまとめ上げてくださいました。すごい、すごいぞー!

Jリーグの楽しさは確かに“ここ”にある

この膨大なツイートには感銘を覚えずにはいられません。ここにはJリーグの楽しさがいっぱいに詰まっている。だって、試合だけじゃないんです。

名物実況アナに解説者、チャント、スタグル、ホームゲームイベント、ハーフタイムに流れるお馴染みのCM…そして他会場の経過まで!

ドキドキしながら見守る試合後インタビューは…やっぱりカタさん声嗄れてるんかい(笑)。

浅田飴公式アカウントの中の人さんも参戦してくれてました!

パロディ化してもらえるほど根づいていた

こんなふうにクラブ公式ツイッターの試合経過ツイートをパロってる人もいらっしゃいました。絵文字もハッシュタグも雰囲気出てるー!

そして監督の記者会見でのエアコメント。いつもあたしたちが文字起こししてるカタさんコメント文体ばっちりそのままで、これは記者としてよろこびを感じる出来栄え。

そう思って笑いながら読んでたらこんなのも…!

これなんか完全にクラブ公式のトリテン更新告知ツイートフォーマットをなぞってるし(笑)。

エアトリテンの出現は心底うれしかったな…。

…うっ。コウシンイソギマス…(笑)。

地味に地道に日々積み重ねていることが、トリニータのある日常に、そしてJリーグ文化の一端に、ほんの少しでも貢献できてるんだと、思いがけず実感できた出来事。あらためて、ふぉれさん、みなさん、ありがとうございました。あなたがたみんな素敵です。

「好きから生まれるちから」がいちばん強い

22日にJ1開幕戦を終えたあと、大分トリニータ所属の松本怜選手の愛犬チェルがご実家のある北海道室蘭市で行方不明になるという事件が起きました。怜選手がSNSで情報提供を呼びかけると、捜索の輪はトリサポから他サポへ、そして全国へと一気に拡大。おかげでチェルは24日、無事に怜選手のもとへと帰ってきました。その一連をまとめたのがこちら。無料記事です。

このときも感じたんですよね、人々の善意のちから。Jリーグやサッカーが好きだから余計に、他人事とは思えず尽力してくれた人もたくさんいると思う。一人のJリーガーの発したSOSが全国ニュースになるまでのエネルギーが、そこには潜在的にあったということです。それが自然発生的に発揮されたんですね。自然発生するものって、いちばん底力を感じます。そしてそれは上昇気流を生み出す。優勝するチーム周辺に自然と生まれていく雰囲気を知っている人は、それ、わかるんじゃないでしょうか。

今回のシーズン中断にあたり、クラブはもちろん、リーグやクラブのスポンサーや、スタグルに出店している飲食店や、その他Jリーグ運営に関わる人たちを支えようとするサポーターの動きが、SNSなどでも多く見られます。

あるいはこんなふうに、エアレビューでサッカーファンを楽しませてくれる人もいらっしゃいます。いや天才かよ。

われわれの仕事はエンターテイメントビジネスだから

われわれも頭を抱えてばかりはいられません。こんな状況だからこそ、ファンやサポーターの方々を楽しませるのがサッカーメディアの使命。まあ放っておいてもファンやサポーターは勝手に楽しめるのだということがエアルヴァンカップで証明されましたが、そのお手伝いの一端を担うことが出来れば幸いです。ウェブ媒体なら外に出なくても購入可能だし!

まずはエルゴラの順位“再”予想をよろしく。コンビニや駅の売店に行けなくても、紙版の販売地域外でも、デジタル版ならこちらから買えます。バックナンバーも勢揃い。部屋が散らかることもありません。最新号は通常、発売日のお昼前後に配信されますよ。

さて…明日以降のトリテンどうしようかなーと考えつつ。この機会に同業のみんなとコラボするのもありかなと思ってます。むしろいつもとは違う趣のコンテンツが楽しめるかもね。こういうのなんて言うんだっけ、溺れる者は藁をも掴む? ちがーう。禍転じて福と為す! 怪我の功名!

そうそう、告知遅れました。昨年、拙著『監督の異常な愛情』が読者賞をいただいた「サッカー本大賞」、今年もはじまってます。詳細はこちらで。

中断期間はサッカー本で読書三昧。いかがですかー?

文章を書いて生計を立てています。楽しんでいただけましたらサポートお願いいたします♪