愛をこめて花束を
私はずっと あなたに花を贈りたかった
あなたを愛おしく思うこの感情を花束にして
始まりは雨宿りのような恋だった。
ゆるやかな絶望の雨が降る中で
私は「今は誰にも傷つきたくない」と思っていたから
私よりずぶ濡れのあなたの隣に座って雨が止むのを待っていた。
あなたの隣はひとつも怖いものがなくて安心できた。
いつしか私の雨は優しくなって、少しずつ明るい空が見えてきた。
でもあなたの雨はまだ静かに強く振り続けてやみそうにない
傘をさしてあげたいと思った。それが恋の芽生えだったのかもしれない
きっと次は怪我をした野良猫に暖かい毛布を届けるような愛情だった。
誰よりも繊細なあなたはいつも隠れて傷ついて、一人で苦しんでいた。
私はただあなたが今日は穏やかに寝れますようにと毎日願っていた。
その頃あなたは私にどう思われてるかなんて関心なかったし、私もただ自分がしたいと思ったことをしていただけだった。
見返りの求めない愛情がいつかあなたの夜を包めるように。
あなたの怪我を私は治せなかったけど、暖かい毛布のなかであなたの零した心の欠片を拾い集める行為は私にとって祈りだったよ
そしてお守りのような愛に。
あなたを心から愛おしいと思うようになったのはいつからだろう。
明確な瞬間は覚えていないけれど、
きっとあなたを好きであることが意志から状態になったときからだろう。
私は好きでいることを一度やめようとした。
やめたはずなのにまだ私の心はあなたを想っていた。
やめるまえの「すき」と似ているけれど別物の「すき」がそこにはあった。
きっとこれが愛なんだと私は思った。
私はその心をお守りのように大事に持っていることにした。
だってあなたの笑顔を見ると嬉しくなった。あなたが好きな人たちや好きなものの話をしてくれるのを聞くと楽しくなった。
あなたが疲れて甘えてくると安心で包みたくなった。
私はきっとあなたにとってのお守りになりたかった。
いつからかあなたが安心したように私のそばで眠るようになった。
自分と一緒に私も守るように。想いをくれるようになった。
見返りなんて求めない私が私のために持っていたお守りだったけど、
信頼してくれていることが最上だと思っていたけれど、
それでも想ってくれることはやっぱり嬉しかった。
あなたの「すき」の正体が恋でも情でも愛でもなんでもよかったよ
あなたの「すき」に私がいることが本当にうれしかった
今日からあなたはこの街にいない。
でもまたいつか一緒に過ごせるときがくることを祈っている。
あなたの雨が止むまでそばにいる
あなたの傷が癒えるまでそばにいる
あなたのお守りになれたならきっとずっとそばにいるから
最後にこの愛の集大成をあなたに見せたくて
花束を贈った。手紙を添えて。
あなたに花束を送ります
「愛をこめて花束を」
あなたに愛を送ります
どうか伝わりますように
私たちがこれからどうなるか、誰にもわからない
それでも私のお守りはきっとここに在り続ける
また会おう、大好きだよこれからも
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