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第二回:南洋帰りのいごっそう「後藤猛太郎」[和魂の酋長・南洋雄飛篇]

高知生まれの二人の青年の人生が、南洋への運命と絡み合う…!

明治維新の元勲・後藤象二郎の嫡男でありながら、日本初となる南洋探検でとんでもない国際問題を引き起こしてしまう快男児・後藤猛太郎。そして土佐藩船奉行の父と大阪裁判所判事の兄を持ち、理想の政治を求めて過激な自由民権運動で大阪府警に捕まってしまった森小弁。

国際化を目指す日本に南洋開拓の可能性をもたらすことになる、この2人の土佐っ子の運命とは?

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南太平洋と日本の架け橋となった日本人の大酋長・森小弁の生き様を描く「和魂の酋長・南洋雄飛篇」(全8回)、第2回をどうぞ!

▼歴史発想源「和魂の酋長・南洋雄飛篇」〜森小弁の章〜

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【第二回】南洋帰りのいごっそう「後藤猛太郎」

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■維新の元勲の放蕩息子に、白羽の矢が立つ

同郷土佐の板垣退助らが主張した自由民権運動にどっぷりとのめり込み、「大阪事件」に関与して逮捕され刑務所に入れられてしまった若き日の森小弁。

そんな森小弁が、遠き南太平洋へと旅立つきっかけはどこにあったのか。

それを紐解いていくと、そこには同じ土佐出身のある人物の名前が挙がってきます。


江戸幕府に変わって政治を司ることになった明治政府において、大政奉還成功の立役者となった土佐藩出身の人物たちの存在はとても大きいものでした。

特にその中でも圧倒的な存在感を持っていた人物が、後藤象二郎(ごとう しょうじろう)です。

坂本龍馬のいわゆる「船中八策」を具現化して、主君・山内容堂を通じて大政奉還を実現させた人物であり、現在でも幕末の歴史ファンにはとても通好みとして人気の高い人物です。2010年のNHK大河ドラマ『龍馬伝』では、青木崇高が怪演し、圧倒的な存在感を見せていました。

後藤象二郎がいなければ大政奉還は成功しなかった、つまり明治維新はあり得なかったという研究家もいます。

明治新政府では大阪府知事などの要職に就き、内閣制が始まった後も逓信大臣や農商務大臣などを歴任して、政界に大きな影響力を持っていた人物です。


さて、この維新の英傑の一人・後藤象二郎には、後藤猛太郎(たけたろう)という名の長男がいました。

1863年(文久3年)生まれの後藤猛太郎は、諸外国との仕事の多い要職を歴任してきた父の影響で、幼い頃から外国人の家庭との付き合いが多く、この時代の人物にしては外国語がとても堪能な若者でした。

ところがこの猛太郎、その名の示すとおり、ものすごく豪快な性格。

土佐弁で気骨のある快男児のことを「いごっそう」と呼ぶそうですが、後藤猛太郎はまさに、その「いごっそう」を絵に描いたようなやんちゃな人物でした。

達者な外国語の能力をさらに伸ばしてやろうと、父の後藤象二郎は猛太郎をオランダに留学させますが、猛太郎は勉強そっちのけで、現地でとてつもなく豪遊し、びっくりするほどの金額の借金を作ってしまいます。

その金額はあまりにも凄まじかったらしく、後藤象二郎は、栄えある後藤家の行く末を案じて、猛太郎を勘当し、親子の縁を切ってしまいました。

後藤家から追い出されてしまった放蕩息子とは言っても、開国に湧く当時の日本にとって、外国語がペラペラというのはとても貴重な能力。

1879年(明治12年)に外務卿に就任していた長州出身の政治家・井上馨(いのうえ かおる)は、この後藤猛太郎の外国語の能力を惜しんで、彼を外務省へと呼び寄せます。

そして猛太郎は、父親から勘当された後はしばらく、外務省で通訳としてのアルバイトをしていました。

そんな頃、海外である不可解な事件が起こります。

1884年(明治17年)、「エーダ号」というイギリスの捕鯨船が横浜に入港したのですが、その船員たちが、

「マーシャル諸島のラエー島という環礁で、日本人が何人か漂着してきたらしいが、現地の部族に殺害され、その人肉を食べられたようだ。その証拠に、我らは日本の衣服や紙幣なども見た」

という情報を報告してきたのです。

これが本当に事実なら、これから国際化を目指していく明治政府にとっては大問題です。…

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