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まだまだ読んでない本がたくさんあることに気づいてしまった。

こんばんは、たなべです。

自己紹介noteのいいねが増えたので、ここにもう一度掲載します。ゆるっと読んでいってください!


今日、「誕生日プレゼントで初めて人に本を贈った記念日」になった。

ここ最近、誕生日プレゼントの話題が多い。遅生まれの友達たちが誕生日ラッシュなのだ。

自分の誕生日が夏にあるからか、仲良くなれるのは冬の人ばかりだな、と小学生のときに思っていた。磁石がそうであるように、対極にいる人が合うのかもしれない。因果関係はまだない。ただ、自分で勝手にそう思っているだけだ。

本をプレゼントしよう、と思ったのにはきっかけがある。プレゼントを贈る友達を仮にAちゃんと呼ぶことにすると、1週間前、Aちゃんからとあるラインが届いた。

「人生変えられたとか、考え方が変わったっていう本ある?」

ちょうど彼女の誕生日プレゼントに悩んでいた。この際、私のおすすめをプレゼントとして贈ろうとナイスな考えにたどり着いたのだ。

と、そこまで考えたはいいものの、私はうーんと頭を抱えてしまった。

事前情報をお伝えすると、Aちゃんはここ最近、時間があるから読書を趣味にしようとしているという。つまり読者初心者だ。そして、気持ち的に落ち込んでいる時期に突入しているから、発見とか気づきがある本が読んでみたい、とご所望している。

これを読んでくれているあなたは、そんなAちゃんに何をおすすめするだろうか?

私はこれまで、それなりに本を読んできた、と思う。こればかりは自分の主観になってしまうのでなんとも言えない。多いほうだと思う、という具合だ。

今では、主にハードカバーの小説とエッセイが好きで、作家さんだと朝井リョウさん、原田マハさん、伊坂幸太郎さん、燃え殻さんが特に好きだ。

でも、昨日のnoteに書いたけれど、私は本の内容をちゃんと覚えているわけでもなければ、何かを得たという経験が少ない。

気になる一文や、好きな言葉、言い回しは携帯にメモしたり、写真を撮るがしかし。読み終わって、「ああ……!人生が変わった……!」と感動することはあまりない。

偏りのある私の読書歴の中でAちゃんに何をおすすめしよう。

伊坂幸太郎さんの「チルドレン」はどうだろうか。

そもそも彼らは一人でいるときは問題がなくとも、集団になると歪むのだ。陣内さんは、「子供のことを英語でチャイルドと言うけれど、複数になるとチャイルズじゃなくて、チルドレンだろう。別物になるんだよ」とよく言った。そういう性質なのだ、と。

私はこの一文はお気に入り。

よしもとばななさんのサーカスナイトも読みやすくて好き。牛のようにものを食べるお父さんのシーンが特に好きだ。

それとも今、本屋大賞で話題になっている朝井リョウの正欲はどうだろうか。今のAちゃんには刺激が強いかな……。


おすすめする本を選んで数時間。これはめちゃくちゃ難しい!! と思った。先にあげた本はどれも好きなのだけれど、それは私が好きなだけであって、彼女へのおすすめ、とは言いにくい。
それに、Aちゃんに自分を見られるような気がして気恥ずかしい。人を品定めするような子ではないけれど「へ~……こういうのを読むのね……」と思われることを想像するとより恥ずかしい。正解がない問題は、なんと不自由なんだろう。

今日、渋谷の紀伊国屋書店に行って、文庫から雑誌、自己啓発本の棚をぐるぐるぐるぐると回った。

帯を見ては手にとって置き、あらすじを読んでは置いた。うーん、うーん。

2時間が経過し、あげたい本は大方決まってきた。

候補は、全部で4冊。この中から2冊をあげることにした。

初めの3冊は、さくらももこさんと朝井リョウさんのほんとうにくだらないエッセイだ。読書初心者でもするすると読める文体だし、何より笑っちゃう。落ち込んでるAちゃんには、これらを読んでちょっと脳のねじを緩めてほしい、そんな思いを込めてみた。
同時に、いろんなことに気づくと世界はこんなにも面白くなるんだよということに気づいてほしい。どれもこれも特別な話じゃない。自分と地続きの話もある。それをこういう見方をすることで笑い話にできるし、人生は視点を変えればネタになる、コンテンツになる、なんて思いも込めてみた。

羊と鋼の森、は個人的にAちゃんっぽいからあげたかった。これは彼女のことを知ってる私にしかできない技だけれど、この本の透明感が彼女らしい。調律という仕事に向き合い、ピアノに向き合い、そして最後のセリフ「美しい」と「善い」は羊からきている、というのが、可愛くて好きなのだ。Aちゃんにも読んでほしい、そう思った。

ただ。まだ4冊。どうしよう……。

そのときふと、この選択はほんとうに正解なのか? という想いが湧いてきた。私の多いとも言えない読書歴の中から決めてしまっていいのか? ほんとうはもっと彼女に合う本があるんじゃないのか?

そこで思い立って、店員さんに相談することにしてみた。

「あの、すみません。本って結構読まれますか?」

対応してくださったのは、20代、女性の店員さんだ。

「読みますよ!」

「主観で教えていただきたいんですけど、友達に本を贈りたくて……何かおすすめはありますか?」

すると店員さんは、少し悩んでから、

「普段本はけっこう読まれる方ですか?」「最近どんな状況にあって、どんなことを感じてほしいとかありますか?」「性格ってどんな方なんでしょうか?」と質問してくれた。

そうして店員さんが紹介してくれたのがこの2冊。私も読んだことがなかった。

あらすじを簡単に教えてくれて、私はなるほどと思った。やっぱりその道のことは、その道の人に聞くのがいい。

そのあとも少し悩んで、結果、「もものかんづめ」と「あしながおじさん」をラッピングしてもらった。

数時間後、Aちゃんに本をプレゼントした。目の前でラッピングを開いて、本を取り出しているとき、なぜか緊張してしまった。どきどき。喜んでくれるだろうか。
彼女は「嬉しい! 本なんて初めてもらった! この装丁どっちも可愛いね」と笑って言ってくれた。意図せず、どっちも彼女の好きなピンクで繋がっている。無意識だったのにすごい。よくやった自分。そして店員さんありがとう。いいセンスといいチョイスのプレゼントができた。

本を贈ってみて思ったことがある。

本を選んでいると、悩んだけれど、同時にもっと本を読もうと思った。世の中にはたくさん本がある。まだまだ読み切れないぐらいある。その中には、私だってまだ出会ってない本がある。そんなのもったいない。そう思ったのだ。

人にプレゼントしたり、紹介するためにはまず、私が読んでいないといけない。もっと本を読もう。私のために、いつか本を贈るあなたのために。そんなふうに思ったのだった。

”終わりよければすべてよし” になれましたか?もし、そうだったら嬉しいなあ。あなたの1日を彩れたサポートは、私の1日を鮮やかにできるよう、大好きな本に使わせていただければと思います。